正統派博士とマッドサイエンティスト

　特撮作品に欠かせないのが科学者。
　ただし防衛組織の科学者と悪の組織の科学者が いる。
　特撮モノ最初の作品であるゴジラには志村喬演じる山根恭平博士と、
弟子でゴジラを葬ったオキシジェン・デストロイアーを開発した平田昭彦
演じる芹沢大介博士だ。
　ただし芹沢博士は自らの研究が悪用されるのを恐れてオキシジェン・
デストロイアー使用と同時に命を絶ったのでマッドサイエンティストからは
外す。

　ゴジラの逆襲に登場した山根&田所博士や、ラドンに登場した柏木博士、
千田是也が演じたバランの杉本博士、上原謙が演じたモスラの原田博士
などは防衛組織側の科学者で この系譜はウルトラでは江川宇礼雄が
演じたウルトラQの一の谷博士やウルトラマンの岩本博士に引き継がれる。

　どちらかといえば正統派の怪獣モノは、このタイプの博士が多い。

　一方のマッドサイエンティスト系といえば、地球防衛軍に登場した平田
昭彦演じる白石亮一博士が最初か？
　優れた科学の信奉者の白石博士は遊星人・ミステリアンの進んだ科学
力に魅せられ、ミステリアンに利用されてしまう。
　当初は‘半径3㎞の土地だから’と協力するが、途中でミステリアンから
騙されていた事に気付く。

　白石博士と並ぶマッドサイエンティスト博士がメカゴジラの逆襲に登場
した真船博士だ。
‘恐竜を発見し自らが開発したコントロール装置で自由に操る’という事を
発表したため学会から追放され、人類に対する復讐心から侵略者である
ブラックホール第3惑星人に利用される。
　ゴジラから破壊されたメカゴジラを修復したりと、凄い能力を持つのだが
生かせる場がないのだ。

　このパータンはウルトラセブンでプロテ星人から利用されてしまった一ノ宮
博士が典型的だろう。
　
　凄すぎる能力を持っても、それを生かす場所がないと暴走してしまうケース
が多い。
 　だからマッドサイエンティストは悪人にも拘わらず悲劇を背負った人物が
多い。