タイソンーホリフィールド第1戦から20年

 今から20年前の日本時間の今日96年11月10日にラスベガスの
MGMグランドガーデンで行なわれたWBAヘビー級タイトルマッ
チで、王者のマイク・タイソンは2位のイベンダー・ホリフィール
ドとの激戦の末に11Rレフェリーストップ負けし90年2月に東京
ドームでジェームズ・バスター・ダグラスに敗れて以来の敗北とな
った。

 試合前の予想はタイソンが復帰後1無効試合を含む3連勝3KO中
だったという事に対し、ホリフィールドは前年リディック・ボウにKO
負けしている事から圧倒的にタイソン有利というもの。

 しかしホリフィールドは‘アゴを引いて接近戦’‘タイソンの懐を
取る’‘相打ちをする’というタイソン勝利への3カ条を勇気を持って
敢行した。

 タイソンのパワーはステップインのスピードで増幅されるので接近
戦に持ち込み、胸元をえぐる右アッパーをタイソンの懐を取る事で封
じリーチの長いホリフィールドのパンチを相打ちする事によって先に
当てるというもの。

 試合が始まると例によって1Rからタイソンは攻め込むもホリフィー
ルドは一歩も引かずに打ち合い、2Rには左フックをヒットさせるなど
タイソンペースに持ち込ませず4Rと5Rにボディから顔面へのコンビ
ネーションをヒットされるが左フックのフォローまでは許さない。

 迎えた6Rに相次ぐ接近戦で両者の頭が当たるケースが増えていた中
でホリフィールドの頭が当たってタイソンは左目から出血。

 キャリア初ともいえる出血に動揺したかタイソンはパンチがラフに
なり、バランスを崩したところにホリフィールドの左フックで押し倒
されるように東京ドーム以来のダウンを喫する。

 ダメージはないものの場内が異様なムードになりホリフィールドに
勇気を与えるもので、以後は一進一退のラウンドが進みタイソンが徐
々にペースを取り戻しつつあった10Rも2分30秒まではタイソンの
ペースだったがホリフィールドの右クロスがヒットし後退するタイソ
ンが出した右にホリフィールドの右ストレートが相打ち気味にヒット。

 何とか踏み止まりダウンを拒否したタイソンだったがダメージは
深刻で、11R何とかコーナーを出たものの猛ラッシュを受けて遂に
レフェリーストップとなった。

 翌日の新聞は「オーバーウェートだったタイソンはホリフィールド
のプレッシャーの前に毎ラウンドロープを背負い続け6Rにダウンを
すると10Rに右の相打ちでグラつき11Rにラッシュを受けてストップ
負け」という論調には違和感を覚えた。

 クルーザー級上がりのホリフィールド相手にパワーで圧倒すべく立
てた作戦だったろうし‘アゴを引いて接近戦’は結果的にタイソンの
目をカットさせたが、ホリフィールドも目をカットするリスクあり。

‘タイソンの懐を取る’は年上のホリフィールドの方がスタミナを消耗
しやすいし‘相打ちをする’は一歩間違えればタイソンの右が先に当た
るリスキーなもので3つの賭けが全てホリフィールドに吉と出た結果
だったわけである。

 だからメディアの論調とは逆にタイソン敗れてもなお強しと思ったし、
そのタイソンに勝ったホリフィールドは正しくリアルディール(本物の
男)だったわけで魂を揺さぶられる名勝負を見られて幸運だった。

 ここまでの名勝負ならば再戦は必至だし素晴らしい試合を再び見ら
れると期待したのだが、7ヵ月後に行なわれた再戦では別の意味で歴史
に残る一戦になってしまったのである。

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