WBC、三連覇ならずは残念だが

侍ジャパン３連覇ならず…打線沈黙、準決勝で敗退／ＷＢＣ(サンケイスポーツ) - goo ニュース

　今日サンフランシスコのAT&Tパークで行われたWBCのSファイナルで、日本
代表はプエルトリコに1－3で敗れて大会三連覇は ならなかった。

　１回に先発の前田健太が２つの四球でピンチを招きアービレイスのタイムリー
で先制されると７回にはリオスに２ランを打たれて０－３とリードを広げられ、
８回に鳥谷の３ベースから井端のタイムリーで１点返し内川のヒットで１・２塁
からサインミスで内川がアウトになって流れを手放した形だ。

　恒久的に勝ち続ける事は不可能な事だから、大会三連覇を逃したのは残念
だが仕方ないだろう。

　故・佐瀬稔氏の‘彼らは支払いを拒否できない’という名文の中で‘勝ち続ける
という事は負債を貯め続けるのと同じで、誰もが いつかは支払いをしなければ
ならない’と語られているが、第１回、第２回とWBCを連覇していた間に日本も
負債を抱え始めていたという事だろう。

　すなわちスモールベースボールでWBCを連覇する事によって小技や機動力
のみが強調され本場でホームランを打てる打者の育成に目をつぶってきた負債で
ある。

　今大会の日本代表は福岡での１次ラウンドで打てなかったのが東京での２次
ラウンドで台湾戦をクリアした事で対オランダ２連戦ではサイクルホームランなど
打ちまくり、打棒復活を印象付けアメリカに渡ってのSFジャイアンツ戦やシカゴ・
カブス戦でも打線の好調さが目立っていた。

　しかし投手の質が今ひとつのオランダ相手にホームランの出やすい東京ドーム
で打っても・・・という引っかかりはあった。

　強化試合でホームランを放った中田翔も今日はスタンドの手前でレフトから
難なく捕られてしまっているのだから東京ドームでの一発攻勢はホームランの
出やすい‘東京ドーム効果’だったと思わざるを得ない。

　一方で頼みの機動力はプエルトリコの捕手がMLBでも有数のYモリーナだった
事から完全に封じられ、機動力で揺さぶってという手も使えなかった。

　正直言って８回の阿部の打席は過去３打席の内容から打てる気がしなかった
ので交代した左のロメロのモーションが大きかっただけに走って２・３塁にする
ギャンブルを仕掛けるのに値すると場面だと思っていたから１・２塁ランナーが
走った時は‘よしっ！’と思ったので２塁ランナーが止まった時には愕然とした。

　東京での台湾戦で９回２アウト１塁でが失敗したら敗戦どころか翌日の
キューバ戦も危ないという場面での盗塁だっただけに、今日の８回の場面では
機動力野球を標榜するなら例え４番でも仕掛けるべきだと思っていた。

　ホームランを打てないのに機動力による奇襲も仕掛けないのなら点を取る
のは難しい。

　代表チームの問題は その国のプロ野球の問題でもあるから三連覇すれば
更なるミニマム化が進む可能性が高かったわけで、そういう意味ではNPBが
今回の負けを反省し本物の日本人ホームラン打者を本気で育成しようという
体質になれば４年後に向けての意義ある敗戦になるだろう。