76年 選抜高校野球Qファイナル・福井 0-4 崇徳

 2試合連続で逆転勝ちし勢いのある福井と、初戦は乱戦で打ち勝ち
2回戦では9回2アウトから相手ミスに乗じて逆転勝ちした崇徳の対戦。

 試合前の予想では2試合を1点づつに抑えている島崎が崇徳打線をどこ
まで抑えられるか?が注目で、2点までで凌いで競り合いに持ち込めれば
福井にも勝機があると思われていた。

 ジャンケンで勝って今大会初めて後攻になった福井は立ち上がりから
黒田の内外角に散るボールにかわされ手も足も出ない。
 2回戦の鉾田一戦でも7回までノーヒットに抑えたものの、鉾田打線が
非力だった事も刺し引いて見なければと思われていたが福井打線は東海
大一戦で10安打、天理戦でも8安打を放っていただけに本来の力を見せ
始めた感じだ。
 ランナーが出ないことには福井得意の機動力も使えない。

 一方の崇徳打線は島崎からランナーは出してチャンスを作るものの、
粘り強い投球と福井守備陣の固い守りの前に併殺などで得点できずに
4回まで0-0という展開。

 均衡が破れたのが5回表。
 2アウトから4番・永田がセンター前に打ち返して出塁すると、応武が
レフト線へ2ベースを放って2,3塁。
 釘屋が四球で満塁から兼光のレフトヒットで待望の先取点を挙げ、
なおも満塁から黒田の3塁ゴロを3塁手が悪送球して2点が追加された。

 こうなると黒田のパーフェクトorノーヒットノーランという大記録に興味が
移る。
 8回にも1点を追加して4-0としたその裏、2アウトまでこぎつけ6番・島崎
を迎える。
 島崎はカウント2-2から外角低めに投げた黒田の91球目のストレートを
センター前に打ち返す、センターの小川がダイビングキャッチを試みるが
僅かにグラブに当って前に落ちるヒット。
 これでパーフェクトはおろか、ノーヒットノーランまで逃す事に。
 それでも黒田は気を取り直し、9回にも1安打を打たれたが 2安打完封
という見事なピッチングで快勝した。

  崇徳の勝因は黒田のピッチングに尽きるだろう。
 あれだけの投球をされたら投げ合う島崎や野手陣にもプレッシャーが
かかる。
 5回の3点で試合は決したし特に先制された直後に3塁エラーで余分な
2点を献上したのが痛かったのは事実だが、4回まで再三のピンチを凌ぎ
ながら5回に2アウトランナーなしから先制されたため福井野手陣の気落
ちが呼んだエラーなので仕方がない。

 冷静に考えれば‘エラーがなければ1点で済んでいたのに’と思えるが、
1点で絶望的な気分にさせるぐらい黒田のピッチングが素晴らしかった
のだ。

  実際5試合投げた黒田のピッチングで、この試合がベストピッチだった
と思われる。
 そういう意味では福井は不運だったとも言える。

 崇徳 000 030 010 4
 福井 000 000 000 0

コメント ( 6 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
快腕ヒバゴンの真骨頂。役者が違いますね~ (なにわのヒバゴン)
2009-01-11 02:19:36
こーじ さん

ここまでの3試合の黒田の投球は、グイグイ力で押すと言うよりはコーナーワークを丁寧に突いていくイメージですね。それでも球に力があるので、軟投のように見えても打者からすると威圧感も多分に覚えたのかも知れません。

「ケンカ応武」のニックネームもあった現早稲田監督の応武氏。チャンスには滅法強いですね。彼がもっとも久保監督のDNAを受け継いでいると聞きます。何やら崇徳の次期監督就任の噂もあるようで、そうなれば強豪復活もより近付くのではないでしょうか

福井の三原監督は広島出身だけに崇徳は意識したでしょうし、大言壮語とも言うべき久保監督を絶対に許さん~!と闘志を内に秘めて挑まれたことでしょうね。福井も好チームですが、投攻守とも崇徳とは力の差が感じられました。この試合もそうですし、決勝の8回裏ダメ押しの4得点など崇徳の決定力は図抜けていますね

ベスト8が面白いとされますが、第一試合を除くと勝敗の妙味があまり感じられないような‥。関西人の私からすると、崇徳に北陽、天理、東洋大姫路のいずれかを対戦させてみたかったです。

話は逸れますが、78年春の豊見城×桐生で、初回豊見城の先制打を放ったのは三番エースの神里だったそうですね。続く石嶺はセンターへの大飛球(和田がファインプレー)。何でも同じような当たりが3度も続いたらしく、石嶺にとっても豊見城にとっても不運だったといえるのではないでしょうか‥☆
 
 
 
‘ケンカ応武’ですか (こーじ)
2009-01-11 23:40:50
>なにわのヒバゴン様
 昨年‘審判が明治OBだから’と噛み付いた事がありましたが、それが‘ケンカ応武’の真骨頂でしょうかね。
 黒田も事あるごとに‘応武のリードのおかげ’と連呼してましたからね。

 当時は気付かなかったですが、三原監督は広陵の監督だったのでライバル関係だったのですね。
 だから監督同士火花を散らしていたのかもしれませんね。

 78年春の桐生ー豊見城は1回に1アウト1塁から神里が
3ベースで先制した直後に石嶺は火の出るような痛烈な3塁ゴロを放ちますが、強烈な打球だったので飛び出した神里はホームに突入してアウト。
 以後の3打席、石嶺はセンターへの大飛球を立て続けに打ってましたから1回にこの打球を打っていればとも
当時は思いました。
 
 桐生ナインは豊見城相手で‘勝てない’と思ったそうですが、1回が1点止まりで直後に阿久沢の2ベースで
追い付き暴投で勝ち越して自信を持ったそうです。
 
 
 
三原監督は何年まで福井にいたのでしょうね(京都西の初陣まで7年間空白)‥ (なにわのヒバゴン)
2009-01-12 04:49:35
こーじ さん

福井商(前側)に続いて福井高校もベスト8入り。以後は福井商を中心に敦賀の復活、北陸、大野、福井高校が復活とブランクを繰り返し、90年代に敦賀気比が出現。。これで福井商時代が終わってしまうのか‥と内心ヒヤヒヤしたのを覚えています。昨年は春に気比が復活したと思いきや、夏はきっちりと4年連続で福井商でしたからね。北野監督の執念、オーラは福井県では絶対的な威信があるのでしょう

関西ではお馴染の元阪神・川藤幸三の母校、若狭高校も74年春を最後に遠ざかってます。春夏で10回出場ですから名門ですよね。敦賀も夏だけなら福井商に抜かれるまではトップの17回出場。80年夏の滝川戦(エース石本)は大熱戦でしたよね

崇徳は選抜優勝までは夏の県大会決勝進出を何年か続けていたようですし、近年も夏の県決勝敗退、秋の中国大会へも度々出場。あと一歩の壁が破れないようです‥。何とか頑張って欲しいですよね

黒田はカーブ投手のイメージもあったらしいのですが、本人はあくまでもストレート=空振り三振が理想だったとか。ヤクルトでの黒田はもうヒバゴンではなくなってましたね。何でも引退後は夏の甲子園で投げ合ったサッシー酒井と二人打撃投手を務めていたのだとか‥。現在、オリックスの用具係担当の松本(東洋大姫路)も然りですね。高校時代の勇姿を知るものとして、予想も出来なかった彼等の野球人生。。。プロ野球はまた別個の厳しさがあるのですね

78年春、5季連続出場で九州大会優勝の豊見城と、古豪ではあるが十数年ぶり突如復活した桐生。やはり豊見城有利と見られていても不思議ではないですよね。木暮×石嶺の対決も時代を象徴する華やかさ‥。前半に3点差くらい付けていれば、経験がモノをいって豊見城が勝利だったかも知れません。77年のチームは大型で脆さもあったが、78年は万能型で栽監督も手応えを感じていたとか‥。こーじさん、そのあたりはお話されたのでしょうか?

公立進学校がなぜか目立った78年春。特に桐生、小倉の突然の復活は今となっては何とも不思議ですよね。夏にその桐生木暮に1安打完封負けの膳所高校も滋賀県下トップの進学校。しかし79年にはそんな公立進学校躍進のイメージがないのですから面白いものですよね。
もし膳所が木暮にノーヒットだったら、春の比叡山(完全試合)に続いて滋賀勢の対群馬史上初の無安打無得点の不名誉(珍)記録‥。当時は考えもしませんでしたが、話題に事欠かない時代が懐かしいですね☆
 
 
 
私にも分からないのです (こーじ)
2009-01-12 23:52:47
>なにわのヒバゴン様
 福井が76年春夏に出場してから福井商と敦賀が交代で出てまして、82年夏の出場時には三原さんではなかったですからね。
 
 スワローズで黒田と酒井が打撃投手をしているというのを聞いて運命の皮肉を感じましたよ。
 広島工で86年春に防御率1位だった上田が明治に行ってから大した事なくなったのに、控えだった高津が亜細亜からプロ入りして今や日本一のセーブ王ですからね。
 分からないものです。

 78年の豊見城ー桐生はコチラでは桐生有利と思っていたので、驚きませんでしたよ。
 栽さんに言わせると‘78年のチームの方が自信を持っていたけど、小さくまとまり過ぎてダイナミズムに欠けた。これは86・87年の沖水にも言えるわけで上原が
3年になれば優勝可能と思っていたら、78年同様まとまり過ぎていた’との事でした。
 
 膳所は5回2アウトランナー無しからの内野安打1本で
いわゆる準完全試合でした。
 ちなみに5回裏だけ桐生は点が入らなかったのですよ。
 ですから二重の意味で興味深いですよね。

 ところでココでは話づらいネタもありますので、
お手数ですがコチラに載っている電話番号にhttp://www4.plala.or.jp/hs-utnmy/
21時頃に電話してもらえれば幸いです。
 
 
 
東北、北海道には近畿以西出身の監督が多いですね (なにわのヒバゴン)
2009-01-13 01:12:55
こーじ さん

やはり雪国で生まれ育った人が地元で監督すると、視野が広がりにくいと思います。関西などからの有力選手獲得にも影響してくるでしょうし。光星学院の金沢監督、酒田南の西原監督(上宮出身)、福井の大須賀監督(浪商出身)など雪国の私学は外部からの赴任が多いのではないでしょうか

お電話番号を確認致しましたので、ぜひ一度生でお話しましょう。21時頃、掛けさせて頂きますので~!
 
 
 
ありがとうございました (こーじ)
2009-01-13 23:55:25
>なにわのヒバゴン様
 先ほどは長いこと失礼しました。
 
 どうしても雪国に住んでいると妙な常識が蔓延るようですね。
 駒苫の香田監督の雪中ノックも雪国生まれの監督ではできなかった発想らしいです。
 また関西では自分の能力を試してみようという感覚で雪国にチャレンジする指導者も多いのかもしれませんね。
 
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