川内、ぶっちぎりゴールで回復に手応え 代表選考方法に戸惑いも/マラソン(サンケイスポーツ) - goo ニュース
今年の8月に北京で開催される世界陸上の女子マラソン選考が物
議をかもし、増田明美や高橋尚子ら元代表選手や現役の川内優輝
までが苦言を呈している。
巷では‘分かりづらい’とか‘スッキリしない’などという批判が
多く、必ず出てくるのが一発選考にするべきというものだがこれは
現実的に無理な話。
まず選考レースが各新聞社によって行われるので1つのレースを
一発選考レースにしてしまうと残りのレースを主催する新聞社から
文句が出るだろうし、陸連およびマスコミが望むのが世界最高記録
よりも五輪の金メダルなのだから難しさに拍車がかかるのだ。
モントリオール五輪までは気候のいい時期の開催だったのでマラ
ソンもタイムのいい選手を優先という形で大丈夫だったのだが、84
ロス五輪から暑い時期に開催される事になったためタイムだけでな
く暑さに強いという要素が加わる事になった。
おりしも84ロスでは瀬古利彦と宗兄弟、88ソウルでは瀬古に中山
竹通と新宅雅也らが選出されタイムだけならメダルは確実だったのに
メダルすら逃しているのも暑さの要素を加味する要因だ。
そこで92バルセロナの前年に東京で世界陸上が開催され、気候や
コース条件が似ていたので世界陸上の上位選手を選出した事で女子は
世界陸上4位の有森裕子が銀、2位の山下佐知子が4位に入ったのに
対し日本新記録で選出された小鴨由水は29位と惨敗したのが気候へ
の順応力という要素を加えた成功例になった。
ただし2010年代に入ると賞金レースで稼ぐプロランナーが主流に
なってきた事で、暑さに強いだけではメダルは厳しくなったという
のが現状だからセレクター達の力量が問われる事になっている。
現行の選考システムは五輪前年の世界陸上日本人最上位メダリス
トが最初に選出され、それから国内選考レースの日本人1位の比較
という事になるのだが基本的にどんなシステムでも100%ではない
ため問題が起きる。
最近のマラソン界はスピードで太刀打ちできない事から日本新記
録を出す事よりも、日本人1位に入って出場権を得ようとする現行
システムの悪用が目に余るので そろそろ選考基準の見直しも必要
ではないだろうか。
ちなみに一発選考レースにするならば五輪の前年の同じ日に五輪
と同じコースを借り切って日本人上位3位以内を選出すればいいの
だが、世界陸上などの関係もあり実現する事はありえないので現状
の選考システムをいじるしかなくセレクター達の責任は更に重く
なったと言える。