ラウンドマストシステムで確実にポイントを挙げるなら

 5月6日に行われたWBA:Sフライ級タイトルマッチで王者の河野公平は暫定
王者のリボリオ・ソリス相手と対戦しダウン応酬の末、0-2の判定で敗れて
初防衛に失敗した。


 結果的に8Rに喫したダウンと10Rに取られたローブローの減点が効いた形に
なったのだが改めてジャッジペーパーをチェックすると4Rまではダウンを取った
2R以外はソリスで、5Rから7Rは河野のラウンドになっていたのが8Rのダウン
以降11Rまでソリスペースで進んだとジャッジ達は解釈しているようなのだ。


 しかもソリスが足を使って河野の突進を捌いていたラウンドは、河野がボディ
ブローをヒットさせたにも拘らずソリスのラウンドになっているのだ。


 ご存知のようにボクシングの世界戦は80年代以降中立国によるジャッジ構成で
行われ極力10-10を点けずに どちらかにポイントを配分するラウンドマスト
システムである。


 だから以前のように日本人選手が敵地に乗り込んでもKOしないと勝てないと
いう時代ではなくなっているのも事実で、5月3日にタイで敗れた佐藤洋太は
4Rまで全てのラウンドを取られた感じだったが39-37が2人と佐藤が取った
ラウンドが1つあったし11年に
下田昭文と西岡利晃がアメリカで防衛戦を行った
時も採点基準が大きく違うという事はなかった。


 一方で今回敗れた河野は昨年の大晦日に3度目の挑戦で世界を取っているの
だが最初の名城信男戦や2度目のトマス・ロハス戦は いずれも判定負けで、名城
戦などは河野の勝ちでもおかしくない内容だったしタイトル奪取したテーパリット
戦もポイントではリードされていたのを見るとジャッジとの相性が悪いのかと
思ったりする。


 特に名城などトマス・ロハス戦やスリヤン戦にテーパリット戦でも微妙なラウンドを
全て相手に付けられているのを考慮すれば ある意味ジャッジ受けしないスタイルと
いう事だが、その名城に際どい判定負けをしているのだから河野のジャッジとの
相性の悪さが際立つのだ。


 河野以外で微妙な判定に泣かされるといえば最近では川嶋勝重や名城信男が
挙げられるのだが、3人とも前に出るプレッシャーは悪くないもののフックが多い
のに対してジャブの比率が少ないという共通点がある。


 特に欧米のジャッジはジャブを攻撃の基本と位置付けているので下がりながら
でもジャブを打っていけば当たらなくても攻勢と認識されてポイントをもらえる傾向が
強い。


 3人ともファイタータイプで日本ではジャブを多く打つのはアウトボクサーで
ファイターは あまりジャブを使わないというような固定観念があるのかもしれない。


 ただジャブを‘距離を計るだけのパンチ’と軽視して打たずに‘ジャブは効かない
から’と被弾しても気にしないと よほどいいパンチをヒットしなければ相手にポイントが
行くので、これから世界戦で しっかり勝ち続けたいと思うならばファイターでも しっかり
ジャブを重視し使っていく必要があるのではないだろうか。


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コメント
 
 
 
Unknown (チャベスのボディ・ブロー)
2013-05-15 23:15:47
今回の河野に関しては私はガードの上から打たれてもバランスを崩したりする場面が多いのが気になりました。実際に効いてなくても効いてる風に見えてしまうので微差でもポイントが流れてしまうので、世界戦でポイント稼ぐための視点をもっと洗練させた方がいいのではないかと思いました。
日本人同士の世界戦がここ何年かで増加したのでその弊害が多少なりともあるのかも知れません。もっと南米系の選手と拳を交えるべきかなとも考えさせられました。
 
 
 
なるほど (こーじ)
2013-05-16 21:04:00
>チャベスのボディ・ブロー様
 たしかに世界戦で日本人対決が増えると採点上の気を使わずに済みますからね。

 ホント中南米の選手との試合は重要ですし辰吉にとってもリチャードソン戦で勝てたのは、Aトーレス戦の苦戦が いい薬になっていると思います。

 日本には‘倒せばいい’という思想が根強くありますから、世界戦でのポイント稼ぎという要素は研究が足りないのではないかと思いますね。
 
 
 
私は・・・ (ある)
2013-05-17 01:16:22
「ロレンソ・パーラvs坂田健史」を思い出しました。

相手は、効いてても疲れても、休んだり攻めたりでメリハリ付けて、時折ジャブをヒットさせ、
例えラウンド中2分30秒ペースを奪われても最後の30秒で有効打をヒットして、ずるくポイントをピックアップ。

常に攻めてたはずの日本選手は「勿体無いラウンド」を失う。

私とか「日本選手が勝ったのに」と思うも、公式判定は逆。

現実に勝ち負けを決めるのはファンやジムでは無いですし。それは、あくまでジャッジがやる事ですし、記録は公式の物が残る分けですから。
当事者は採点傾向を研究して、勝てる作戦を練らなければいけないんですよねぇ・・・。

坂田、河野、名城・・・。
いずれも世界戦でポイント取れない傾向にある選手・・・。

坂田は波状攻撃を磨いたり、河野も出入りからの強打で世界王座を奪取したり・・・で

何かしらの工夫はあるのですが。
やはりポイントを奪われない試合運びと技量を磨く事は世界戦線で戦うには必須事項。

ずるく戦う事が苦手な日本選手だが、なんとか その課題は克服して欲しいともいます。
 
 
 
自分のボクシングに拘り過ぎると (こーじ)
2013-05-18 00:15:41
>ある様
 結局日本人選手は自分の型に拘り過ぎて、どうやってポイントをピックアップするかというテクニックを磨く事についても否定的な感じですよね。

 その点、中南米選手はそれが巧みですから、ジャッジ受けもいいのでしょう。

 鬼塚が勝ったのがタイ2、韓国2、日本1にメキシコ1でし日本とメキシコには完勝でしたけど、これがプエルトリコやベネズエラ選手相手だとどうなっていたか少し興味がありますね。
 
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