東京多摩借地借家人組合

アパート・賃貸マンション、店舗、事務所等の賃貸のトラブルのご相談を受付けます。

更新料請求は撤回、供託した地代を地主が還付

2013年06月15日 | 地代家賃の供託
大田区蒲田で宅地約115・5平方メートルを賃借中の高野(仮名)さんは、平成10年末の更新期日を迎えて更新料の支払拒否により、地代を供託して今日に至っている。この程地主から委任されたという業者より、これまでの14年余の供託金(地代)を還付する。今後の地代は業者指定の口座に振込むこと。さらに、併せて更新料の支払請求を通知してきた。

高野さんは、更新料は支払義務ないこと。すでに法定更新されて今日に至っていること。また、最高裁の商慣習や事実たる慣習は存在しないとの判決内容と今後の地代は指定の口座に振込むことを書面で通告した。すると、業者は再び通知してきた。更新料の請求はなく、地主が供託通知書を紛失したのか、供託金を払い戻しての手続きを求めてきた。高野さんは、
電話で業者に当初の通知通り自社の責任で、還付を行なうことを伝えて一件落着した。
(東京借地借家人新聞より)
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一方的な地代値上げには応じられない!

2011年03月25日 | 地代家賃の供託
 足立区大谷田で約90坪の土地を賃借している吉村さん(仮名)へ昨年11月に地代値上げの通知が送られてきた。地代の額が他の賃借人と比べ公平性を欠くという理由だった。早速組合へ相談に行った。組合では、賃料の値上げ・値下げについては双方の合意が原則であること、一方的な通知に応じる必要がないことを説明した。

 そして地主に対して「一方的な値上げの請求は認めない。地代額は当事者間の協議によって決定することを原則として考えており、現行地代額で引続き支払うこと」を書面にして通知した。

 12月末にいつも通り地主の所に地代を持っていくと、現行地代額では受け取れないと拒否された。今年1月5日に東京法務局に組合役員と一緒に行って貰い供託して来た。念のため地主に対して文書で通知した。現在、地主から何ら連絡はなく今後地主の出方を待ち、対処していくことを組合と確認した。(東京借地借家人新聞より)


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管理委託会社に支払っていた賃料を賃貸人に直接請求され、債権者不確知を理由とした供託の効力

2008年09月30日 | 地代家賃の供託
 賃貸用建物の管理委託会社に賃料を支払っていた賃借人が賃貸人から直接賃料の支払いを求められた場合に債権者不確知を理由として行った弁済供託の効力 (東京地裁平成15年2月19日判決、判例タイムズ1136号)

 (事案の概要)
 ①Xは平成10年2月、本件建物(賃貸用)を競売により取得し、従前からの賃借人Yに対する賃貸人の地位を継承した。

 ②同時にXはZに対し全面的に本件建物の管理を委託した。ZはYとの間で賃料を月額21万円に増額する旨合意した。

 ③XとZは管理をめぐって争いになり、Yは平成14年1月Zから、XがZを差し置いて賃料を請求してもXには支払わないでもらいたい旨要請され、他方、Xから直接Xに支払うよう要請されたため、債権者を確知できないとしてXZ両者を被供託者として同年2月3月分を供託した。

 ④これに対しXは、右は債権者を確知し得ない場合に当たらないから供託は無効であるとして、Yに対し右2か月分の賃料は無効であるとして、Yに対し右2か月分の賃料の支払いを求めた。

 (判決要旨)
 ①Zは本件建物の管理を全面的に委託され、その管理権限に基づいてYに明渡を求める調停を申立てたことがあること。

 ②調停を申立てる権限があることについてはXも了解済みであったと窺われること。

 ③Yが前賃貸人と取交わしていた賃貸借契約がXを賃貸人、Yを賃借人とする契約書に差し替えられていること。

 ④ZはYとの間賃料改定を行っている等をあわせ考えると、Yにおいて、Zを本件建物の賃貸人であるか、賃貸人でないとしても、自ら固有の権限で、訴訟上でも、その取り立てが可能な権限を有する立場にあると判断してしまうことは無理からないところというべきである。

 Zの立場が現に賃料の固有の取立権者であったとすれば、債権者不確知を理由とする弁済供託にいう「債権者」と同視して差支えなく、実際に固有の取立権限がなかったとしても、YがZを取立権者であると判断したことに過失はないといわなければならないから、本件供託は、少なくとも債権者であるYにおいて過失なく債権者である本件建物賃料の賃貸人ないしその取立権者を確知することができない場合であったとして、有効なものであったと認めるのが相当である。本訴請求は理由がない。

 (寸感)
 マンション・アパートや貸地を何件も持っている地主の管理人がどこまで権限を持っているのか、賃借人には分かりにくい。本件の事実関係のもとでは判決は妥当である。

 一般的には、どちらに賃料を支払ってよいか分からないとき、管理会社が賃貸人の代理である場合には、債権者不確知を理由とする供託は無効とされている。だれを相手に供託すべきか迷ったらちょっと慎重になった方がよい。 (2004.02.)


(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より



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地代の供託10年経つと時効で国に没収されるの?

2008年02月02日 | 地代家賃の供託
Q 私は、18年前から地代の供託をしていますが、今度地主側弁護士から供託が10年経つとその分は時効になって国庫に没収されるからおろしてくれといわれました。本当でしょうか。

A 地主側弁護士のいうことは完全に間違っています。
 供託の原因となった紛争が解決しないで続いているかぎり、時効は進行しません。したがって国庫に帰属することもありません。これは昭和45年7月15日の最高裁判所の大法廷によって確定しています。
 供託者(借地人・借家人)が法務局から供託金の払渡しをうけることを取戻しといい、被供託者(地主・家主)が払渡しを受けることを還付といいますが、この取戻請求権も、還付請求権も時効については同じ扱いになっています。
 供託の原因となった争いが続いている間に(たとえば、明渡しとか賃料増額、更新料問題など)、供託金の払渡しを受けるのは、相手側の主張を認めて自分の主張を撤回したものと解釈される恐れがあるので、争いの解決を見るまでは供託金の払渡請求権の行使を期待することは事実上不可能に近いわけで、そのような場合にまで供託の時から時効が進行すると解釈するのは、供託者、被供託者の利益に反するからです。
 したがって、当事者間の話し合いや調停・和解叉は判決によって争いが解決したにもかかわらず、供託金をそのままにしておきますと、解決したときから10年経ちますと、地主も借地人・借家人も払渡しを受けることができなくなります。


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地代家賃を受領拒否された場合の供託する手続き教えてください

2007年06月29日 | 地代家賃の供託
1 弁済供託について
土地・建物等の借主は,地主・家主等の貸主からの賃料の値上げ要求等を不
当とする場合に,相当と認める額の賃料を提供し,その受領を拒否されたとき
は,相当と認める額の賃料を「受領拒否」を供託原因とする弁済供託をするこ
とにより,賃料債務を消滅させることができます。

2 「受領拒否」の場合の供託原因
弁済供託によって債務を消滅させるためには,供託原因が必要です。供託原
因としての「受領拒否」とは,例えば,債務者である借主が,弁済期日に弁済
の目的物を債権者である貸主の現在の住所地に持参して受領を催告するなど,
債務の本旨に従った適法な弁済の提供をしたにもかかわらず,貸主がこれに応
じなかった場合をいいます。したがって,「受領拒否」を供託原因として供託
する場合には,借主は,供託をする前にまず貸主に対して弁済の提供をする必
要があります。
なお,例えば,貸主が賃貸借契約そのものの存在を否定して明渡訴訟が係属
中である場合等,口頭の提供をしても債権者が弁済の受領をしないことが明ら
かである場合は,弁済の提供をすることなく供託することが可能な場合もあり
ます。
ただし,家賃の値上げを要求されたというだけでは,債権者による「受領拒
否」が明確であるとはいえず,弁済の提供が必要です。
したがって,受領しない意思が明確か否かは,個別の事案により判断するこ
とになります。

3 供託手続
供託をする場合には,地代・家賃弁済供託用の供託書の書式(各供託所に備
え付けられています)に必要事項を記載し,これに供託物を添えて,債務の履
行地の供託所(債務の履行地に供託所がない場合は,その最寄りの供託所)に
おいて供託の手続を行う必要があります(インターネットを利用して供託をす
ることも可能です。詳しくは,法務省ホームページの「オンラインによる供託
手続」( http://www.moj.go.jp/MINJI/minji67.html )を御覧ください。)。
供託金の提出方法等については各供託所にお問い合わせ下さい(供託所一覧表
については,情報番号8051で御案内しています。)。

4 供託書の記載方法
- 2 -
(1) 「申請年月日」欄
供託所に供託書を提出する年月日を記載します。
(2) 「供託所の表示」欄
供託所(法務局・地方法務局若しくはこれらの支局又は法務大臣が指定す
るこれらの出張所)の名称を記載します。
(3) 「供託者の住所氏名」欄
供託者(借主)の住所・氏名を記載します。代理人によって供託する場合
には,供託者の住所・氏名の下に代理人の住所及び資格・氏名を記載します。
(4) 「被供託者の住所氏名」欄
被供託者(地主等の貸主)の住所・氏名を記載します。
(5) 「供託により消滅すべき質権又は抵当権」欄
供託により消滅すべき質権又は抵当権がある場合には,当該質権又は抵当
権を具体的に記載します。
(6) 「反対給付の内容」欄
供託による債務の弁済と同時履行の関係にある被供託者の反対給付がある
場合には,当該反対給付の内容を記載します。
(7) 「供託金額」欄
供託金額を記載します(供託金額の記載の訂正はできません。誤記した場
合は,書き直しをお願いします。)。
(8) 「法令条項」欄
弁済供託の場合には,法令条項として「民法第494条」を記載します。
(9) 「供託の原因たる事実」欄
ア賃借の目的物
土地の場合にはその所在,地番,地目及び地積を,建物の場合にはその
所在地番,家屋番号,種類,構造及び床面積等,土地・建物を特定できる
ように記載します。
なお,土地・建物の一部の場合には,その部分が特定できるように,例
えば「2階部分全部75平方メートル」のように記載します。
イ賃料
契約で定められた賃料を記載します。電気料等,契約によって賃料と一
緒に支払うことになっている場合は,備考欄にその内容を書いて一緒に供
託することができます。
ウ支払日
契約で定められた支払日を記載します。支払日が到来していないときは,
供託することができません。
エ支払場所
- 3 -
契約で定められている支払場所を記載します。
オ供託する賃料
「いつの支払期の分」であるかを記載します。既に支払期の到来してい
る数ヶ月分の賃料をまとめて供託することもできます。
なお,遅延損害金を含めて供託することが必要となる場合があります。
カ供託の事由
供託の事由を記載します。「受領拒否」の場合は弁済の提供をした日を
記載しますが,契約で定められた支払期日より前に提供しても,債務の本
旨に従った提供とは認められないため,この場合には供託はできません。
なお,支払日に提供をしていれば,供託するのは後日でも差し支えあり
ません。
(10) 「備考」欄
該当欄に記載事項の全部を記載することができないときは,備考欄に記載
することができます。

5 供託に必要な提示書面・添付書類
(1) 会社等登記された法人が供託しようとするときは,登記所の作成した代表
者の資格を証する書面を提示してください。それ以外の法人が供託しようと
するときは,関係官庁の作成した代表者の資格を証する書面を供託書に添付
してください。
(2) 法人でない社団又は財団であって代表者又は管理人の定めのあるものが供
託しようとするときは,社団又は財団の定款又は寄附行為及び代表者又は管
理人の資格を証する書面を供託書に添付してください。
(3) 代理人が供託しようとするときは,代理人の権限を証する書面(委任状等)
を提示してください。
(4) 上記(1)から(3)までの書面で登記所その他官公署の作成したものは,作成
後3ヶ月以内のものでなければなりません。
(5) 供託所が,当該法人の登記を取り扱う供託所と同一の法務局(東京,大阪
及び名古屋の各法務局を除く。)又は地方法務局の本局,支局又は出張所の
場合には,上記(1),(3)の書面に代え,「簡易確認」の方法によることがで
きます。「簡易確認」の手続については,情報番号5108の3(1)で御
案内しています。
(6) 被供託者に送付する供託通知書の発送を供託所に依頼する場合には,被供
託者の人数分の通知用封筒(宛名を記載し,郵便切手等をはったもの)の提
出が必要です。



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供託とはどのような場合にしなければならないのですか

2007年06月26日 | 地代家賃の供託
 供託とは,供託者が供託物(金銭,有価証券振替国債等)を国家機関である供
託所に提出してその管理を委ね,供託所を通じて,被供託者に受領させることに
より,一定の法律上の目的を達成しようとする制度です。
供託は,法令に供託を義務付けまたは許容する規定がなければすることはでき
ません。これを定めた法令の条文(供託根拠法令)は,民法,民事訴訟法,民事
執行法等,非常に多くのものがあります。
供託は,供託物の種類により,金銭供託,有価証券供託,その他の物の供託及
び振替国債供託に大別されます。また,供託によって達成しようとする目的,す
なわち供託原因により大別すると,次のとおりです。
1 弁済供託(根拠規定民法第494条)
金銭その他の財産の給付を目的とする債務を負担している債務者が,その債
務を履行しようとしても,債権者が受領を拒んだり,債権者の住所不明により
その受領ができなかったり,あるいは債権者が死亡し,その相続人が不明であ
る等債務者の過失によらないで債権者を確知できない等の理由により,その債
務の履行ができないときに,債務の目的物を供託所に供託することによって,
債務を免れることができます。
2 保証供託
(1) 営業保証供託(根拠規定宅地建物取引業法第25条,割賦販売法第16
条,旅行業法第7条等)
営業保証供託は,営業者がその営業活動により生ずる債務ないし損害を担
保するためにする供託です。
宅地建物取引業,割賦販売業,旅行業等取引の相手方が不特定多数で取引
活動も広範かつ煩雑であって,取引の相手方に対し,取引上の損害を与える
おそれのある営業については,その業務開始に際して,それぞれの法令に定
められた一定の金銭等の供託が義務付けられています。これは,その営業活
動に伴って債権を取得する債権者や損害を被る被害者を保護するために設け
られている制度といえます。
(2) 裁判上の保証供託(根拠規定民事訴訟法第75条第1項,民事執行法第
10条第6項,民事保全法第14条第1項等)
訴えの提起,強制執行の停止若しくは続行,仮差押え,仮処分の執行又は
取消し等当事者の訴訟行為又は裁判上の処分に関連して,当事者は,自己の
- 2 -
負担とされる訴訟費用の支払を担保し,又は自己の訴訟行為により相手方に
生ずる損害等を担保するため,担保の提供を要求されることがあります。
3 執行供託(根拠規定民事執行法第156条第1項,第2項等)
従業員の給与が差し押さえられた場合等のように,金銭債権について裁判所
から差押命令の送達を受けた場合,当該金銭債権の債務者(以下「第三債務者」
といいます。)は,その金銭債権の全額に相当する金銭を供託することができ
ます。
また,同一の金銭債権について重複して差押命令の送達を受けた場合には,
第三債務者は金銭債権の全額に相当する金銭を供託しなければなりません。
これらの供託を執行供託といいますが,これらの供託がされると,裁判所に
よる配当手続が開始され,配当表が作成されて各債権者に配当額の支払が行わ
れることとなります。
4 没取供託
法の目的を実現するために,一定の金銭等を供託させ,一定の事由が生じた
ときは,供託物に対する供託者の所有権を取り上げて,これを国家に帰属させ
ることとする供託をいいます。
例えば,公職選挙法第92条による公職の立候補のためにする供託がありま
すが,これは,立候補の濫用防止のため,候補者が一定の得票数に満たなかっ
た場合や,途中で立候補を辞退した場合に,国又は地方公共団体がその供託金
を没取するとするものです。
5 保管供託
目的物の散逸を防止するため,供託物そのものの保全を目的としてされる供
託をいいます。
例えば,銀行,保険会社等の業績が悪化して,資産状態が不良となった場合
に,その財産の散逸を防止するため,監督官庁が当該銀行等に財産の供託を命
ずる場合の供託がこれに当たります(銀行法第26条等)。
供託された供託物は,供託者である銀行等が破産すれば,破産管財人によっ
て供託物の取戻しがされ,破産財団に組み入れられ,銀行等の債権者の債権へ
の弁済に充当されることになりますから,前記の弁済供託又は保証供託の機能
を有するものといえます。


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