東京多摩借地借家人組合

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身寄りのない高齢者の身元保証サービス 何をしてくれる?…5年間で事業者急増 契約巡るトラブルも

2024年12月31日 | 法律知識

 入院や介護施設への入所の際の身元保証人や、死後の事務手続きなどを引き受ける民間サービスが増えている。身寄りのない高齢者
の増加でニーズが高まっているためだが、契約を巡るトラブルも後を絶たない。国や自治体が、事業者向けの指針や認証制度を作るな
ど対応に乗り出した。(小沼聖実)

身寄りない高齢者増で高まるニーズ 社団法人に依頼

 「自分一人では、こういうサービスがないと何もしようがない。助かるよ」
 茨城県内の高齢者向け住宅で暮らす男性(75)は話す。8年前から、一般社団法人「しんらいの会」(茨城県土浦市)を利用する。
 きっかけは、心臓の手術を受ける時に病院から身元引受人と保証人を求められたことだ。独身で、両親や兄弟は亡くなった。あてが
なく、地域の情報紙で知った同会と契約し、保証人を頼んだ。同会の職員が病院に衣類を届け、医師の説明も一緒に聞いてくれた。
 入会金や預託金として支払ったのは200万円。サービスごとに時間単位で利用料が引かれ、死後に精算される。男性と、契約に立ち
会った監督役の弁護士の元には3か月に1度、支援実績や費用の報告書が届く。
 今の住まいに入居する時も同会が保証人となり、引っ越し作業には職員が加わった。月に1度の通院では車で送迎し、診察に同席す
る。夜間に体調を崩して救急搬送された際には、救急隊から連絡を受けた職員が病院に駆けつけた。墓や葬儀も決めており、同会が寺
とのやりとりや役所の手続きを進めてくれる手はずだ。
 男性には、県内に親族がいる。だが、「年に1回会うくらいならいいけど、こまごまとしたことは頼めないですよ」。

契約内容や料金体系など 運営適正化へ国が指針 監督省庁なし

 単身高齢者は増えている。国の推計で、65歳以上の単身世帯は2020年に738万世帯だが、50年には1・5倍の1084万世帯になる。家族
が果たしてきた役割を担う事業者のニーズは高まっている。
 総務省の昨年の実態調査では、事業者は全国に400超あった。回答した204事業者の過半数は開始から5年以下で、近年、急増したこ
とがうかがえる。
 一方、事業を規制する法律や監督する省庁はなく、契約を巡るトラブルも増えている。国民生活センターによると、相談件数は23年
度に355件で、14年度の3・3倍に上る。「不要なサービスが契約に含まれている」などの相談のほか、最近では「契約を検討している
が、この事業者は信用できるか」といった問い合わせが増えているという。
 しんらいの会の青木規幸理事長は「事業者側が提供できるサービスを明確にせず、利用者自身もどんなサービスを必要とするか分か
らないまま契約するから、後々トラブルになる」と指摘する。

法整備の指摘も

 同じ「身元保証」でも、入院期間中の身の回りのことも含め丸ごと請け負うのか、緊急対応に限るのかなど、事業者により内容は異
なる。解約時の返金の有無といった料金体系も様々で、比較検討が難しい。
 国は6月、事業者向けに適正な運営の指針を策定し、利用する際のチェックポイントもまとめた。ただ、罰則はなく、弁護士や司法
書士の団体からは、実効性を疑問視する声や「法整備の検討が必要」との指摘が出ている。事業者の質を高めるため、全国組織の設立
を目指す動きもある。
 日本総研の岡元真希子研究員は「利用者が良い事業者を自分で選べるように、将来的には、事業者が第三者評価を受け、標準化され
た情報が公開される仕組みが理想だ」と語る。

事業者に「お墨付き」で安心感

 事業者に「お墨付き」を与えることで、安心して利用できる環境作りを目指す動きもある。静岡市は今年1月、全国の自治体で初め
て、優良な事業者の認証制度を創設した。書面と訪問で審査し、「第三者の立ち会いのもとで契約」など30項目の基準のすべてをクリ
アしていれば、市のホームページで紹介される。
 認証第1号は、市内で高齢者施設を運営する社会福祉法人「まごころ」。22年4月に事業を始め、80歳代以上の人がケアマネジャーな
どから紹介されて利用するケースが中心だった。認証後は、比較的元気な60~70歳代からの問い合わせが増えたという。事業部長の松
村潤さん(57)は「守るべき基準があることで利用者の安心はもちろん、事業者にとっても取り組みへの自信につながる」と話す。
(2024年12月10日付の読売新聞朝刊に掲載された記事です)

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住み続けたいのに… 自宅の「リースバック」契約トラブルも

2024年12月28日 | 法律知識

「お父さんが自宅を売却してしまったみたい。すぐに実家に来てほしい」
妹から連絡を受けて、実家に駆けつけた男性。そこで目にしたのは、80代の父親が不動産業者と交わした「リースバック」の契約書でした。この情報をきっかけに、高齢者が巻き込まれるさまざまな不動産トラブルを調べると、「リースバック」に関する相談が相次いでいることがわかりました。
みなさんは「リースバック」というサービスを知っていますか?メリットとデメリット、そして契約時の注意点について取材しました。
(社会部記者 小山志央理)

家族が知らないうちに自宅売却

男性の父親は、首都圏にあるマンションの1室を30年以上前に購入。
母親が亡くなったあとは1人で暮らしていましたが、顔見知りの住人も多くそのまま住み続けたいという意向があったといいます。
男性が異変に気づいたのは、去年のことでした。
家族が知らないうちに、父親が自宅を売却していたのです。
父親が契約トラブルに巻き込まれた男性
「父は『自宅を今度は借りることになった』と言いました。私たちにとっては寝耳に水でしたし、実家を気に入っていたのでとても
ショックでした。せっかくローンも払い終えてそのまま住み続けられるのにどうして売却したのかと聞いても、あやふやな答えしか
返ってきませんでした」

「リースバック」とは

父親が不動産業者と交わしていた「リースバック」の契約。「リースバック」とは、マンションや戸建てなど自宅を不動産業者に売却して代金を受け取るとともに、新たに賃貸借契約を結んで、新しい持ち主に家賃を支払うことで同じ家に住み続けられるというサービスです。自宅を売却することでまとまった資金が手に入るうえ、固定資産税などの支払いがなくなります。さらに住み慣れた家にそのまま住み続けられることから、老後の生活資金などを考える高齢者を中心に関心が高まっています。

業者訪問の数日後に契約

男性が契約書を確認すると、父親はマンションの部屋を不動産業者に千数百万円で売却していました。
しかし相場を調べたところ、この売却額は市場価格よりおよそ1000万円安かったといいます。
そして同じ部屋に住み続けるため、毎月10万円以上の家賃を支払う契約になっていました。男性はこの契約に納得いかない気持ちがありました。当時、父親は物忘れが進んでいたからです。父親が契約書にサインしたのは、業者が最初に訪問してからわずか数日後。「判断能力が低下していた父親は複雑な不動産契約の内容を十分に理解していたのか」「業者から迫られ、家族に相談する間もなく契約させられたのではないか」そう思わざるを得なかったといいます。
さらにこの不動産業者は父親の“代理人”として実印を変更する手続きを行ったうえで、契約を結んでいました。
父親の実印は契約トラブルに巻き込まれないよう家族が預かっていましたが、知らないうちに変更されていたのです。このトラブルのあと家族で話し合って自宅を離れ、施設に入った父親。その後、認知症と診断され、ことし亡くなりました。父親が契約トラブルに巻き込まれた男性「父は生活資金に困っておらず契約を結ぶ必要はなかったんです。私たちに売却した資金の一部を残そうと思ったのかもしれませんが、その後の自分の生活や家族にどういう影響があるのか、経済合理性までは考えられていなかったと思う。細かい字で書かれた契約
書を父の認知能力ではとても理解できなかったはずですし、家族に相談もなしに一気に話を進めてしまったという点では、不動産業者
に押し切られてしまったのではないかと感じています」

高齢者の契約トラブル相次ぐ

一部の業者に仕組みを悪用されるなど、リースバックをめぐる契約トラブルは近年増加しています。
東京の消費生活センターに、2023年度に寄せられた相談件数は113件。
相談は増加傾向にあり、担当者によると特に多いのはひとり暮らしの高齢者だといいます。消費生活センターや弁護士などによると、リースバックが悪用されたとみられる以下のようなケースが確認されているといいます。
▼コロナ禍で周囲との交流が途絶えた中で業者の訪問を受け、その日のうちに契約してしまった。のちに売却代金が、相場の半額以下
だったことがわかった。
▼自宅を訪問してきた業者に朝10時から夜9時半まで居座られた。契約書類に署名したが、何の書類なのかよく覚えていない。

リースバックのメリット・デメリットは

専門家や消費生活センターなどを取材すると、リースバックにはメリットもデメリットもあるといいます。
<メリット>
1 住み慣れた家に住み続けられる
2 固定資産税や修繕積立金の支払いがなくなる
3 まとまった資金が得られる
固定資産税などの支払いがなくなり、住み慣れた家に住み続けながら、まとまった資金が得られるのがメリットで、例えばこんなケー
スで活用されています。
▼数年後に高齢者施設に入居が決まっている高齢者が、入居のための一時金などまとまった資金が必要になったとき。
▼年金が少ないなどの理由で経済的に不安がある高齢者が、売却金を生活資金に充てたいとき。
<デメリット>
1 売却価格は相場より安くなる傾向
2 いつまでも借りられるとは限らない
3 クーリング・オフできない
▼国土交通省が実施したリースバックに関するアンケート調査では、住宅を買い取る価格について、周辺相場に対して「7割以下」と
答えた事業者が半数を占めました。
売却後も売り主が住み続けることなどから、相場よりも低い価格で取り引きされるのが一般的です。
また、賃料が相場より高額に設定されたり、契約の更新料が高額になったりするケースもあるということです。
▼退去のリスクもあります。「定期借家契約」で期間が定められるケースも多く、そのまま自宅に住み続けられる保証はありません。
契約の更新時に貸主が拒否した場合、退去しなければならなくなります。
特に高齢者の場合はいったん自宅を失うと、次に住む場所がすぐには見つからないおそれもあります。
▼さらに自宅を不動産業者に売却する場合、一定の期間であれば無条件で契約を解除できる「クーリング・オフ」は適用されず、解約
する場合には、多額の違約金を請求されることがあります。

ライフプラン考えて冷静に判断を

国土交通省はトラブルが相次いでいることを受けて、リースバックに関するガイドブックを公表し、利用する際のポイントなどを次のようにまとめて掲載しています。
国交省がまとめたガイドブック
▼契約を急がせるセールストークには合わせず、サインする前に家族や信頼できる人に相談すること
▼複数の事業者に売却価格の根拠や相場について聞くこと
▼通常の売却や融資などほかの手段も含めて、自分のライフプランに合っている条件を検討すること
一方、消費生活センターも慎重に判断してほしいと呼びかけています。
東京都消費生活総合センター 高村淳子 相談課長「年金生活の苦しさから、一時的にまとまったお金を手に入れて生活を立て直したいという人も多くいます。リースバック自体は悪いものではありませんが、消費者に『売買』と『賃貸借』の両方の知識がないと、業者に有利な形で契約が結ばれるおそれもあります。
訪問されたその日に契約せず、まずはじっくり考えさせてほしいと伝えたうえでその日は帰ってもらい、親族などにこういう条件で勧誘を受けていると相談することが大切です。業者から契約をせかされたとしてもその場で決断せず、周囲に相談するなどして冷静に判断してほしいと思います」

弁護団結成 法改正求める声も

トラブルの増加を受けて、ことし4月にリースバックが悪用された被害などに専門に取り組む弁護団が東京で結成されました。
およそ20人の弁護士が高齢者や家族などからの相談に応じ、不動産業者との交渉や民事訴訟などに対応しています。
課題として指摘していたのが、リースバックは売却後も自宅に住み続けるため、周囲からは契約を結んだことに気付かないという点で
す。
高齢者・障害者の不動産押買被害対策弁護団 加藤慶二 弁護士「仮に問題のある契約内容だったとしても、本人は変わらず同じ家に住み続けているので、家族や周囲の人は気付きづらく、被害が顕在化しにくいのが実態です。リースバックのサービスは複雑で、まだ一般的に理解が十分に浸透していない。業者が“住み続けられる”という点だけ強調して強引に勧誘しているケースもみられます。高齢者にとって家という極めて大事な財産に関わることなので、
強い問題意識を持っています」
さらに法改正が必要という声も上がっています。
第二東京弁護士会は2023年、法律を改正し、リースバックも「クーリング・オフ」の対象にすることや、業者に買い取り価格の客観的
な根拠を明らかにさせることなどを求める意見書を国に提出しています。

取材後記

自宅の住み替えや老後の資金調達など、住宅の新しい活用方法として注目されているリースバック。有効に利用できる場面も多い一方で、判断を誤ってしまえば、自宅に住めなくなり経済的に行き詰まってしまうことにもなりかねませ
ん。本人が希望する生活を送れるのかどうか、収支計画も考えたうえで慎重に判断することが大切です。リースバックが有効に活用できるケースや、逆にトラブルになってしまうケースも含めて周知を図ること。そして悪質なケースについては、行政機関による指導や規制強化も含めて積極的に対応していく必要があると感じました。
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全借連新聞を読む Xのスペースで新聞記事を読み、解説を行う

2024年12月24日 | 法律知識
 昨年12月14日のⅩのスペースでは、全借連新聞12月15日号の京借連と生健会(生活と健康を守る会)共催で開催した学習会について、新聞の記事が読み上げられ、学習会のテーマである「明渡し・賃料増額・原状回復問題」について、議論しました。
藤田 京都ではどうしてこのテーマで学習会が行われたのか。高齢者住宅の現状とはどういう現状なのでしょうか。
細谷 私が京借連の皆さんからのお話を聞くと、京都では過去の戦争において空襲で家が焼かれなかったため、築70年を超える借家に住んでいる方もいるようです。家主が地上げ屋等に家を売却し、新しい家主からの明渡しの相談が非常に多いと聞いています。借家人も高齢で明渡しを求められても転居先がなく、明渡しを拒否すると高額な家賃値上げを請求され、調停や裁判になる事例が多いようです。
 次に「賃貸住宅の賃貸借契約に係る相談対応研修会」の記事が紹介されました。
藤田 フォロワーさん達からの相談でも原状回復問題の相談は多いです。記事の中で原状回復のガイドライン再改定版の解説で
どのような点が重要なのでしょうか。
細谷 原状回復トラブルには二つの次元があり、明確に分けて理解することが必要です。第1は民法上の原状回復義務であり、令和2年の民法改正で賃借人の原状回復義務は「通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く」と明文化されました。ガイドラインでは「賃借人の故意過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・棄損を復旧すること」と定義されました。賃借人が普通に使っていて、建物や設備が痛んだものは原状回復する必要はなく、どのような場合が通常使用を超えるのかガイドラインで整理されています。
第2は特約で民法上のルールと異なる合意に基づいて賃貸人から請求され、トラブルになるケースがあります。特約の合意が成立しているかどうかは、最高裁の平成17年12月16日の判決が重要で、ガイドラインではこの判決を受け、特約が成立する場合に3つの要件が設けられました。①特約の必要性があり、かつ暴利的でないなどの客観的、合理的理由の存在。②通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことの認識。③賃借人の特約による義務負担の意思表示をしていること。通常不動産業者は、特約について賃借人が不利な特約であることを賃借人に明確に認識するような説明を行うことは稀で、特約を契約書に書くだけでは無効になるケースが多いです。
藤田 私のオフィスの賃貸借契約書では通常損耗でも賃借人負担と明記されていますが、何らの説明もなく明確な合意がなければ、特約は無効になると考えていいのでしょうか。
細谷 その通りです。また、ガイドラインでは賃借人の過失による損害賠償の責任の範囲ですが、毀損部分の原則最小単位であり、かつ減価償却を考慮した現在価値について責任を負うとされています。壁のクロスの小さなシミがある場合は、1㎡単位の修繕費を負担すればよいとの判例もあります。さらに、経過年数の考え方で、クロスは6年、カーペットは6年など設備や壁、床等の耐用年数が定められ、入居していた年数により、賃借人の負担割合も変わります。修理費用の全額を賃借人が負担する必要はありません。
 国交省の賃貸借契約に係る相談対応研修会は毎年(株)社会空間研究所の主催で開催され、無料でどなたでもオンラインで参加申込できます。申込すると同研究所から沢山の資料が送られてきます。また、資料を見たい方は同研究所のホームページからダウンロードすることもできます。全借連新聞をお読みの方で、賃貸借契約について関心のある方はぜひ研修会にご参加ください。


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残置物処理モデル契約条項解説セミナー

2024年12月24日 | 残置物処理モデル契約条項
 国交省の補助を受けて社会空間研究所主催による第2回残置物の処理等に関するモデル契約条項の解説セミナーが12月12日にオンラインで開催された。
 国交省住宅局の参事官(マンション・賃貸住宅担当)の課長補佐の船田一元氏が、残置物の処理等に関する国土交通省の取組みを報告した。民間賃貸住宅における65歳以上の入居者の割合が30年間に約2倍に増加し、一人世帯の割合も2018年で約6割と増えている。自宅で亡くなるケースも増加傾向にあり、賃借人の死亡後、居室内に残された家財(残置物)の処理や賃貸借契約の解除などについて賃貸人の不安を払拭するために、これらの問題を円滑に処理するための事務委任契約のひな型として残置物の処理等に関するモデル契約条項を作成し、モデル契約条項の活用ガイドブックを作成し、今後単身高齢者等の賃貸住宅への円滑な入居を支援していきたいと述べた。
 次に、モデル契約条項の解説を佐藤貴美弁護士が行った。契約の終了・残置物の処理に係る法的な問題や各モデル契約条項の内容等について詳しく解説した。契約書の条項で賃料の滞納を原因として部屋の入口を施錠し、賃借人の動産類を勝手に処分する行為は違法な自力救済行為に当たると指摘した。
 次に、公営財団法人神奈川住まいまちづくり協会事業部担当部長の入原修一氏がモデル契約条項の活用事例を報告した。


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ついに岩盤が動く!物価に異変【経済コラム】

2024年12月24日 | 家賃・地代の値上げ

物価に異変です。長い間、指数があまり変化せず、『岩盤』とも呼ばれていた品目をご存じですか。物価上昇が続く中、ついにその
『岩盤』が動き出しました。
いったい何が起きているのか。景気を左右しそうな異変の背景を追いました。
(経済部 佐々木悠介)

1通の手紙がわが家に

先月、私が住んでいるマンションに不動産会社から1通の手紙が届きました。
中身は契約更新のお知らせについて。
都内の賃貸マンションに住む私は2年ごとに更新する契約でしたが、内容を確認すると、家賃がこれまでより5000円増えていたので
す。
年間で6万円負担が増える計算です。
今の家には4年暮らしていますが、家賃の改定は初めてのことでした。最近子どもも生まれ、何かと出費が多くなるなかでの家賃の上
昇。かといって家を買おうにも高くて手が届かない。
その日の夜は泣く泣くサブスクの見直しなど家計の固定費削減に向けた家族会議が開かれることになりました。

岩盤品目が30年ぶり上昇に

調べてみると家賃の値上げはどうやらわが家だけではないことがわかってきました。消費者物価指数にも家賃の値上げがあらわれはじ
めています。
11月の消費者物価指数(CPI)をみてみましょう。
東京都区部の一般的な賃貸住宅の家賃を示す「民営家賃」は前年同月比で0.9%のプラスになりました。
消費者物価指数における「家賃」はほとんど指数が変化しない象徴とされてきました。
ここ20年は前年同月を下回る「マイナス」の水準が続いていましたが、それが去年の10月から徐々に上昇、ことし11月の上げ幅は
0.9%まで拡大し、1994年以来30年ぶりの高い水準にまであがったのです。
また不動産調査会社の調べでも東京23区の分譲マンションの募集賃料は2年前から上昇傾向がより顕著になったといいます。
これは新型コロナウイルスが一時期よりも落ち着き、人の流れが都心部に戻ってきたことが大きな要因だとしています。
築年数別にみると1平方メートルあたりの価格は築21年~30年のマンションは15%も上昇しています。

要因1 そもそもマンションが「高い」

なぜ家賃が値上がりしているのか。
まず要因として指摘されているのが、そもそもマンションを中心に販売価格が高くなっていることです。
特に都心部のマンションの価格は右肩上がり。
不動産経済研究所によりますと、ことし10月に首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)の新築マンションの平均価格は去年の同じ月より
40%あまり上昇し9239万円でした。
東京23区に限ると平均1億2940万円。
富裕層など一部の世帯しか都心部にはマンションを購入することができなくなったとも言われています。このためマンションの購入を
ためらう人が増え、代わりに中古住宅や賃貸マンションに流入してきているとみられています。
こうしたなかで賃貸の需要も高まり、価格を押し上げている要因になっていると指摘されています。
東京カンテイ 高橋雅之 上席主任研究員
「都心部のマンション価格の高騰に伴って、賃貸への需要は引き続き根強い。来年の春に引っ越しなど人流が活発になるので、そのと
きに都心部の賃貸価格がどうなるか注視したい」

要因2 金利ある世界が影響?

しかしマンションの価格上昇はいまに始まったことではありません。
そうしたなかでもう1つの要因として指摘されているのが、日銀による利上げの影響です。
日銀はことし3月におよそ17年ぶりに利上げに踏み切りました。7月には政策金利を0.25%に引き上げる追加の利上げを決めました。
こうした日銀の動きを受けて、金融機関では住宅ローンの金利を引き上げる動きが広がっています。
住宅ローンのおよそ7割を占めている変動型の住宅ローン金利は、3月に日銀が利上げに踏み切った時は据え置く銀行が多く見られまし
た。
ただ7月の追加利上げを受けて、各行とも見直しを進めました。
新規の借り入れを対象にした変動型で最も優遇する場合の金利でみると、
▽三菱UFJ銀行とみずほ銀行は据え置いていますが、
▽三井住友銀行は9月の0.475%から、11月は0.625%に、
▽りそな銀行は9月の0.34%から、11月は0.39%に、
▽三井住友信託銀行も9月の0.33%から、11月は0.48%に、
それぞれ引き上げました。
こうした金利の引き上げが、投資用マンションを購入したオーナーにも影響したとみられています。
投資用マンションを所有するオーナーからすれば、ローンの金利が上昇すれば、一定期間の激変緩和措置があるとはいえ、ゆくゆく返
済が増えることになります。
このためオーナーたちは負担が増えることを見込んで家賃に転嫁しているのではないかと専門家は分析しています。
みずほリサーチ&テクノロジーズ 河田皓史 主席エコノミスト
「賃貸のニーズが高い状況だと、ローンをかかえるオーナ側からすれば、少し強気の価格設定でも、家賃収入を得られる。このため今
後も賃貸価格の上昇圧力を高める一つの要因になるのではないか。今後も金融機関の金利見直しが家賃に与える影響は少なからず出て
くると思われる」

岩盤を超えるか

家賃や住宅ローン返済など住まいに関連する支出は避けては通れません。
ほかの支出=例えば遊興費やレジャー、ちょっとしたご褒美、習い事などを少しずつ削らなければ家計の収支は悪化してしまいます。
今回は東京の家賃を例に挙げましたが、ほかの地域にもこうした傾向が広がれば、次第に節約を余儀なくされる家計が増え、消費の伸
びが鈍化することも予想されます。
コロナ禍からの経済急回復によってエネルギー、穀物、輸送費などさまざまなモノやサービスの価格が上昇。
ウクライナ情勢や円安も加わって輸入コストは上昇し、企業による価格転嫁もあいまって物価は上昇しました。
これが企業の背中を押し、賃上げに勢いがつきました。
ただ、実質賃金はどうでしょうか。
一時プラスになりましたが、再びマイナスに転じ、上昇基調はまだ見えません。
まさに物価上昇を上回る賃上げが実現するのかどうかがカギとなる中で、物価の『岩盤』=家賃が動き出したのです。
物価上昇>賃上げとなってしまうのか、それとも物価上昇<賃上げか。
家賃の動向は、経済が好循環に入るかどうかも左右しそうです。

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【ABC特集】行くとこなかったら死なな「あかん」「けんもほろろに断られる」住む家が借りられない実態

2024年12月21日 | 法律知識

 高齢を理由に、賃貸物件の入居を断られるケースが相次いでいます。
 65歳以上専門の不動産会社「R65不動産」の調査では、部屋を探す高齢者の4人に1人が入居拒否を経験したと回答しています。
 高齢者への住宅“貸し渋り”問題の実態を追いました。

「みんな死ねっていうのと一緒や」 15年暮らした家から突然の立ち退き 転居先は見つからず…
愛犬と暮らす川本百合子さん(77)

 奈良県天理市に住む、川本百合子さん(77)。
足腰が悪く生活保護を受けています。
愛犬・リリーちゃんと過ごす時間を何よりの楽しみにしていて、取材中もリリーちゃんの話題になると笑顔がこぼれます。
 若いころは飲食店で働き結婚もしましたが、20年以上前に離婚し、現在は1人暮らしです。今のアパートに住んで約15年。ケアマネ
ジャーに生活を手伝ってもらいつつ細々と過ごしてきました。
 しかし今年に入り突然、建物の老朽化を理由に大家から立ち退きを求められました。アパートの老朽化が理由で、準備期間や引っ越
しの補助などがなされている場合、立ち退きを断ることはできないといいます。

「行くとこなかったら死ななあかんやん」

 まず頼ったのは行政・天理市でした。市営住宅への引っ越しを希望しましたが、老朽化のため入居できないと回答があり、自分で住
居を探すよう言われました。
 次に相談したのは不動産会社でしたが、思わぬ壁が立ちはだかります。
 川本さんの希望通りの物件はあいているにも関わらず、年齢を理由に借りることができなかったのです。
「不動産会社はみんなそない言わはんねん。年で…そんなんいうたら『みんな死ね』っていうのと一緒や。行くとこなかったら死なな
あかんやん」

大家ら66%が拒否感 紹介できる物件は約2~4割

 高齢者への“貸し渋り”は全国的な問題となっています。国土交通省の2021年度の調査では、高齢者の入居に拒否感があるとした大
家らは66%に上りました。
 なぜ、多くの大家らに拒否感があるのか、奈良県天理市の不動産会社「メモリーホーム」の内田一行さんに聞きました。
「私どもも、オーナーさんや貸主さんも是非借りていただきたいという思いはありますが、高齢の方で特に1人暮らしになると承諾し
てもらえないことが多くあります。」
 その理由として内田さんがあげるのはー
「一番多いのは孤独死の危険性です。入居者が亡くなった後の荷物の引き渡しや解約の手続きをどうするのか、家族や周りの人からサ
ポートが受けにくいという部分が大きいです。他にも家賃をちゃんと払ってもらえるのかや、火事のリスクもあります。」
 このようなリスクを懸念して、こちらの不動産会社では高齢者で1人暮らしの場合、紹介できる物件は2割から4割ほどに減ってしま
うといいます。

「けんもほろろに断られ」収入は年金のみ 借りるまでに1年半の苦労

 大阪府守口市に住む中川忠良さん(81)も、貸し渋りに悩まされた1人です。80歳を超えていますが足腰はしっかりしていて買い物
に近くのスーパーに行くなど、外出をすることを日課にしています。
 今住んでいるのは去年11月に引っ越してきた新居で、間取りは1DK。ここに住む前は30年ほど、姉の貞子さん(当時92歳)と2人で暮
らしていました。
 しかし貞子さんが亡くなり、収入は月11万円ほどの年金のみに。家賃の安い物件を探しましたが、この部屋を借りるまで実に1年半
もかかりました。
「不動産会社は探しますという返事はしてくれても、けんもほろろに断られる。80歳という年齢…これがどうしてもネックになったん
ですね」

高齢者らに寄り添う「居住支援法人」の取り組み

 困り果てた中川さんの助けになったのが、居住支援法人でした。居住支援法人は、2017年に国が制度化して始まり、高齢者や障害者
など住宅確保に配慮が必要な人に対して情報提供や相談、身元保証の代行サービスの提案、入居後の見守りといった支援をします。
 社会福祉法人や不動産会社が指定されるケースが多く、今では全国で928法人(9月末時点)まで広がっています。
 大阪市内の居住支援法人「リベルタ」の荻野恭子さんは中川さんの相談を受けて、高齢者の受け入れに積極的な不動産会社を紹介し
ました。
  この不動産会社では、事前に大家に高齢者の入居の可否を確認することで、高齢者が相談に来た時により多くの物件を提案できる
ようにしていて、中川さんは10部屋ほどの紹介を受け、今の部屋に住むことができました。
 荻野さんは、まだまだ高齢者に積極的に間口を広げてくれる不動産会社は少ないと話します。
「本当に親身になって対応いただける会社は1割あるかどうかです。不動産会社との連携は大事ですし。オーナーに理解していただく
ためにも我々、居住支援法人のフォローアップということをしっかりと広げていきたい」
 しかし一方で、居住支援には高齢者ならではの大変さがついて回ります。後編では、一筋縄ではいかない「居住支援」の難しさに迫
ります。

【ABC特集】家賃上昇 保証人もいない・・・ 住む家が借りられない高齢者を支援する「居住支援法人」とは? 深刻化する“貸し
渋り”の実態<後編>
https://news.yahoo.co.jp/articles/3803081074d27951b6d9448aa7f31efbc4e24751

 高齢を理由に、賃貸物件の入居を断られるケースが相次いでいます。奈良県天理市に住む川本百合子さん(77)は、建物の老朽化を
理由に突然、大家から約15年住んだ家からの立ち退きを求められました。
 川本さんが頼ったのは、住宅確保に配慮が必要な人に対して情報提供などを行う「居住支援法人」でした。

条件に合う住宅がなかなか見つからず…支援の難しさ

 奈良県天理市にある居住支援法人「やすらぎ会」で働く北中桃代さん。転居を希望する高齢者の相談に乗っていて、貸し渋りに悩む
川本さんの依頼も受けています。
 取材した日、北中さんは同時に高齢者4人を含む6人の相談に応じていました。北中さんは高齢者の住宅探しの難しさは、希望条件の
多さにあると言います。
「1階であったりエレベーターが必要になったり。年金や生活保護で生活する人には家賃がすごく重要な条件になってきます」
 近年の物価上昇で家賃も上がり、納得してもらえる部屋はますます少なくなっています。
 他にも病院やスーパーが近いことや、親族と疎遠で保証人になれる人がいないなど、条件は多岐にわたります。
 相談者の希望に応えるため、北中さんは不動産会社を何社も“はしご”しています。
「直接行くことで、顔を見て話させてもらったほうがいろんな情報をいただけますし、前に入居していた方の情報を共有できたりもし
ます」
 実際に顔を突き合わせて話をすることで信頼を築くことができ、デリケートな内容も聞きやすくなるといいます。この日は3社を回
りました。
 ただ、実際には相談者のすべての希望を満たす物件はなかなか見つからず、その時は相談者に丁寧に説明をして折り合いをつけても
らうことが多いと言います。

相談者との衝突も・・・ 住まい探しから8カ月 ようやく物件見つかる

 8カ月の間、部屋を探し続けている川本さんのもとに、北中さんが物件の情報を持って訪れました。
 川本さんの希望は、今の物件と同じくらいの広さと家賃、そして愛犬リリーちゃんと一緒に住めること。
「ここは本当はペット可で出てない物件なんですけども・・・」
 北中さんがこの日紹介した物件は、今より狭い部屋でしたが、交渉の中でペットを飼っても良いことになり、川本さんは「これ見た
いな」と返事をしました。
 内覧の日。間取りは1Kですが、収納スペースが充実した部屋。トイレとバスが別々なところもポイントです。
「ベッド置けそうやし。思ってたよりええやん」
「クローゼットもあって、何も捨てなくてもいけるわ」
 部屋を見た川本さんは気に入った様子で契約することを決めました。
 「あー良かった!」と笑顔を見せた北中さん。
 聞けば、希望通りの物件を紹介できないなかで、川本さんと衝突することもあったのだとか。
 北中さんは、川本さんが入居した後も、健康状態を聞いたり手続きの相談に乗るなど見守り活動を続けています。

足りない居住支援法人 “入居者の安定した生活” “オーナーの不安解消”「私たちの活動知ってほしい」

 高齢者への貸し渋り問題に真正面から向き合う居住支援法人。数が足りていないこと、支援の中身が貸主側にあまり知られていない
ことが課題だと、北中さんは話します。
「奈良県内を見渡しても、他の自治体では同じように居住支援をしているところはあまりなく、福祉職の方がシャドーワークとして対
応にあたっている現状があります」
「私たちがこの取り組みをすることで、入居後に安定した生活を送ってもらい、退去の時もスムーズになる。そのことでオーナーさん
が懸念されているリスクや不安を解消していけると。そういうところを広く知っていただきたいなと思います
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法定更新中の更新料請求は理由がない 青梅簡裁が賃借人に全面勝訴判決

2024年12月20日 | 契約更新と更新料
 福生市の賃貸住宅に住む小林さん(仮名)は、家主の不動産会社から請求された更新料2回分(7万2千円)について争った裁判で青梅簡易裁判所は昨年11月7日に原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とするとの全面勝訴の判決を勝ち取りました。
 ことの起こりは、家主が2023年10月に2020年9月と2022年9月期の更新料の支払を怠っていると請求。小林さんは、家主の請求を無視していると今年6月に青梅簡裁から支払督促の請求が届き、驚いた小林さんは組合に相談し、更新料を支払う約束はしていないと直ちに異議申し立てをしました。
 家主は、9月に同簡裁に更新料請求を求め訴訟を起こしてきました。小林さんは組合の助言を受け、「2004年に入居し、2010年7月に更新料請求を拒否し、以後賃貸借契約は法定更新している。その後は更新料支払う契約はしていない」との内容で答弁書を作成し、2回裁判所に出廷しました。判決では小林さんの主張が全て認められ「本件賃貸借契約は、期間の定めがない以上、契約期間の更新を観念することができない。したがって、被告が更新料を支払義務委は負うことはない。原告の請求は理由がないので、主文のとおり、棄却することとする」との判決が下りました。


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日本住宅会議総会と学習会 パリ五輪とフランス社会の現実~都市・住宅・社会的排除

2024年12月20日 | 社会的排除 ジェントリフィケーション
 日本住宅会議の総会と記念講演会が12月8日の午後、上智大学四谷キャンパスで開催されました。会終了後の記念講演では、「パリ五輪とフランス社会の現実―都市・住宅・社会的排除」とのテーマで上智大学総合グローバル学部教授の稲葉奈々子氏が講演しました。
 年夏のパリ・オリンピックは、華々しく開催されましたが、稲葉教授はその陰で貧困層が住む住宅やスクオッタ―(公共住宅等の空き家の不法占拠)の排除が行われていると指摘しました。1990年代に家賃が払えず明渡しを受け、ホームレスになった住民や移民が、公営住宅の入居を求めて空きビル等を占拠する運動DAL(住宅への権利運動)が始まり、政府が公共サービスを怠っているのでそれを取り戻す運動として、フランスだけでなくヨーロッパ全体で普及していきました。フランスでは、1990年代には「必要に迫られての住宅占拠は刑法に反しない」などの判決が下され、2007年には請求権付き住宅への権利法(DALO)も成立し、適切な居住環境にない人に政府は住宅保障を
義務付けました。しかし、現在のマクロン大統領は空き家の不法占拠を違法とする法律を制定させ、公営住宅の廃止など新自由主義政策を推し進め、貧困層、移民、シングルマザーなどマイノリティーの人達が路上に追いやられています。
パリではオリンピック開催を機に、再開発が加速し、「大パリ計画」で首都を拡張し、貧しい移民が住んでいた町がオリンピック用地として、次々に撤収され、2023年4月から2024年5月までの1年間で12545人が住宅から立ち退きをさせられています。
普通の賃貸住宅でも家主が「民泊」に貸して儲けるために、立ち退かされる借家人も多いようです。日本のような借家人の居住権を守る借地借家法もないようです。パリでは家のない人が「115番」すると行政が緊急宿泊所を用意するサービスがあるようですが、緊急宿泊先はパリ市内ではなく、地方都市なので移民の人達は、地方では資格が得られずパリに戻ってくるそうです。こうした新自由主義の政策に対して異議を申立て、住まいの権利を訴える市民の声も広がっています。




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賃貸住宅の賃貸借契約に係る相談滞納研修会が開催 原状回f区をめぐるガイドランが解説

2024年12月03日 | 法律知識
 国交省の補助事業である「賃貸住宅の賃貸借契約に係る相談対応研修会」が11月21日にオンラインで開催されました。
 講義は、原状回復をめぐるガイドラインの再改定版の解説が久保田和志弁護士から、賃貸住宅標準契約書の解説を大塚浩弁護士が、民間賃貸住宅に関する相談対応事例集(再改定版)について升田純弁護士から講演がされました。
 原状回復ガイドライン(再改定版)の解説では、はじめに原状回復トラブルについて2つの次元があり明確に分けて理解することが必要であると指摘。①民法上の原状回復義務とは、令和2年の改正民法621条で明文化され、賃借人が故意過失により、毀損・汚損した場合の損害賠償であって、自然損耗や経年変化は原状回復には当たらない。
②特約に基づき請求する場合については、民法上の義務を超える責任を課す合意について、合意の存在、合意の成立、合意の有効性の3つの点から判断することが必要と指摘しました。合意の成立については、最高裁平成17年12月16日の判決が重要で、判決では「賃借人が補修費用を負担することになる通常損耗の範囲が契約書の条項自体に明確に明記されているか、明らかでない場合には賃貸人が口頭により説明し、賃借人がその旨を明確に認識し、その旨の特約が明確に合意されていることが必要である」。従って、特約は最高裁判決や消費者契約法に反しないものでないと認められず、極めて限定的になると指摘しました。
 また、原状回復のガイドラインは裁判の判例にも引用され、法律に近いものとして運用されています。ガイドラインでは、建物価値の減少について、①A建物設備等の自然的な劣化・損耗等(経年変化)、①B賃借人の通常の使用により生ずる損耗等(通常損耗)、②賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような損耗等と定義され、①は賃料でカバーされるもので、賃借人は修繕義務を負わない。②については賃借人が負担すべき費用について検討が必要であるが、建物設備の経過年数により耐用年数等を考慮して賃借人の負担割合が減価される。トラブルの裁判例も詳しく紹介されました。賃借人の使い方によっては一定の負担を課す裁判例もあり、損害の相当性の判断は異なります。



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