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今年5月、住まいの貧困に取り組むネットワーク、国民の住まいを守る全国連絡会等の住宅運動団体は、参議院選挙に向けて、各党の住宅政策に関するアンケートを実施しました。
その結果、日本共産党、社会民主党、日本維新の会、立憲民主党の各党(回答到着順)から回答をいただきました。ご協力ありがとうございました。
以下に4党の回答をご紹介します。また、4党以外の政党の住宅政策も、公表されている公約集から抜粋したので、後半に記載しました。
参議院選挙の投票のご参考にしてください。
◆政党アンケートの内容とその結果◆
政党アンケートの内容は、大きく分けて、重視する住宅政策に関する質問(自由回答)と個別政策に関する質問(選択型)の2つのパートで構成されています。
A.重視する住宅政策に関する質問
参議院選挙での貴党の住宅政策(公約など)をお聞かせ下さい。主な政策の柱(項目)を5つ以内でお書きください(この間の国政選挙での政策でも構いません)。
上記の政策のうち当面最も重視する項目とその要点を記入下さい。
【日本共産党の回答】
1.住まいに対する権利の規定、公共住宅の質量ともの改善の明確化などを内容とする「住生活基本法」の抜本改正
2.民間住宅借上げなど多様な供給方式に活用で公営住宅を大幅に増やす
3.UR賃貸住宅は「応能家賃」(収入に応じた家賃)にし、住み続けられる家賃制度に改善する。劣化した台所、風呂場、トイレなどの設備の改善、畳、ふすまの入れ替えをUR負担で実施させる。
4.民間賃貸住宅に居住する低所得者(概ね公営住宅入居資格者)への家賃補助制度の創設
5.分譲マンションの維持・管理に対する公的な支援を充実し、安全・快適で長持ちするマンションをめざすとりくみを支援する
当面最も重視する項目
1.を最も重視する。(その理由)住まいは権利であることは、世界人権宣言や日本政府も批准している国際人権規約でも認めている。「民間まかせ」、「自己責任」を基本とする住宅政策を「住まいは人権」との立場の政策に転換することがいま求められている。
【社会民主党の回答】
①「居住の権利」(Housing Rights)に基づき、住宅を社会保障として位置づけ、福祉と環境の視点から住宅政策を見直す。
②「住宅支援制度」を創設し、「住まいの貧困」に対するセーフティネットを強化する。
③公的住宅政策を抜本的に強化し、優良な公共賃貸住宅を着実に増やす。
④各地における「居住支援協議会」の設置を進めるとともに、「公的な保証人制度」や「公的家賃債権保証制度」の創設を検討する。
⑤空き家データベースを整備するとともに、古い空き家や集合住宅に手を入れて、家賃負担が軽い住宅を再供給し、既存の住宅ストックの有効活用と住宅困難者対策の一石二鳥を実現する。
当面最も重視する項目
住宅支援制度の創設
安心して暮らせるよう、現物給付(低廉な家賃の公営住宅の供給拡大や空き家等の既存の住宅ストックを活用した借り上げ住宅等)または現金給付(家賃補助、家賃の税制上の控除制度)による「住宅支援制度」を創設し、「住まいの貧困」に対するセーフティネットを強化する。
【日本維新の会の回答】
1.都市計画法の改正
2.UR完全民営化の推進
3.ゴミ屋敷対策
当面最も重視する項目
都市計画決定された後も住民の意見を反映させるために必要な措置について検討を加える。都市計画事業が施行されることなく長期間経過する場合、建築制限を受けることによる経済上の不利益を受ける者への必要な措置を講ずる。
【立憲民主党の回答】
① 中古住宅・マンションのリフォーム(耐震化、ゼロエネルギー化)の推進
② リフォーム市場の活性化
③ すべての建築物の断熱を義務化
④ 子育て家庭への住宅支援、団地の世代循環、高齢者向け住宅の供給拡大
⑤ 高齢者資産、空き家の有効利用(住宅手当制度)
当面重視する項目
日本はこれまで「持ち家政策」を重視してきましたが、空き家が1000万戸を超えると言われる中、持ち家重視から賃貸重視へと変換するべきであると考えます。住宅は人間の生活にとって、「住宅」は欠かせないものであり、セーフティネットであることから、賃貸住宅への支援制度の創設が必要であると考えます。
B.個別政策に関する質問
1. 2017年国会で成立し、同年10月から施行された「改正住宅セーフティネット」法について、経済的支援 (家賃低廉化、住宅改修費)の大幅改善が必要と思いますが、お考えをお聞かせください。
① 必要である、②必要ではない、③どちらとも言えない
2. 本来の住宅セーフティネットである公営住宅を中心とした拡充・強化こそ必要であると考えますが、ご意見をお聞かせください。
① 必要である、②必要ではない、③どちらとも言えない
3. 民間賃貸住宅の高家賃の抑制と家賃補助が求められているが、ご意見をお聞かせください。
① 必要である、②必要ではない、③どちらとも言えない
4. 上記の1~3についてご意見をお聞かせ下さい。
【日本共産党の回答】 3点とも「必要である」
国土交通省によると「改正住宅セーフティネット」法による家賃低廉化措置を予算化した自治体は全国で23、登録住宅への補助の実績は49戸、補助額は約1000万円(うち国負担は約500万円)、家賃低廉化の支援を年間6億円とした制度開始当初の想定は全く機能していなしし、法によるセーフティネットにもなっていない。自治体負担の割合、入居要件が厳しいなどの問題点もあるが、賃貸人への家賃低廉化補助になっていることが最大の問題だ。民間賃貸住宅に入居する低所得者への適切な家賃補助制度にするなど速やかな改善が必要だ。
【社会民主党の回答】 3点とも「必要である」
先進諸国のなかで、日本の低所得者向け住宅施策が際立って小規模であることに加え、政府が住宅政策への公的責任を後退させ、住宅をさらに市場化する政策が進められてきました。格差や貧困が深まり、また単身低所得高齢者が増加する中、住まいは原則私的な問題と捉えてきた日本の住宅政策の落とし穴が顕在化しています。改正住宅セーフティネット法も最低限の位置づけしかもっていません。「住まいは人権」であり、居住の権利を保障する方向で、見直していくべきです。
【日本維新の会の回答】 3点とも「どちらとも言えない」
法改正の効果について検証されるのはこれからのこと。
効果が見られた場合は、対象を限定しての拡大は検討すべきである。
【立憲民主党の回答】 3点とも「必要である」
日本はこれまで「持ち家政策」を重視してきましたが、空き家が1000万戸を超えると言われる中、持ち家重視から賃貸重視へと変換するべきであると考えます。住宅は人間の生活にとって、「住宅」は欠かせないものであり、セーフティネットであることから、賃貸住宅への支援制度の創設が必要であると考えます。
◆アンケート回答のなかった政党の住宅政策◆
【自由民主党】
「令和元年参議院選挙公約」より
https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/manifest/20190721_manifest.pdf
不動産市場・リフォーム産業の活性化、適正な建物評価の定着、取引市場環境の整備、賃貸住宅管理業の適正化、既存マンションの管理の適正化・建替え等の円滑化等を通じ、既存住宅ストックの有効活用や既存住宅市場の活性化を図ります。また、住宅団地の再生、空き家バンクの活用等による空き家の活用と低未利用地の利用促進を図ります。
【公明党】
『成長戦略2019』より
https://www.komei.or.jp/campaign/sanin2019/images/top/stra2019.pdf
若者・子育て世帯・高齢者が安価で良質な住宅を手に入れやすくする環境整備を推進するため、安心R住宅等の既存住宅の流通、リフォーム市場の活性化と住み替え支援の充実等を促進し「住宅ストックビジネス」を活性化させる。空き家や賃貸住宅等を活用する「新たな住宅セーフティネット制度」に基づく登録住宅の改修補助の強化や居住支援法人の指定促進と活動支援の強化、賃貸住宅管理業の適正化を図る。
消費税率引き上げに伴う住宅需要の変動対策を確実に実行して、住宅関連市場の新たなけん引力を創出する。
【国民民主党】
参議院選挙政策 「新しい答え 政策INDEX2019」より
https://www.dpfp.or.jp/new_answers_2019
住宅
○「中古住宅高付加価値化法」(仮称)を制定し、地域の工務店・大工などの人材と地元の木材などの資材を活かした中古住宅のリフォーム(耐震化、ゼロエネルギー化)の推進、既存ストックの高価値化、宅地建物取引業者などへの支援、中古住宅の流通合理化・市場活性化を図ります。
○また、子育て家庭への住宅支援、団地の世代循環、高齢者向け住宅の供給拡大を進めます。
○「高齢者の居住の安定確保に関する法律」を活用し、地域包括ケアシステムを構築し、まちづくりと一体となって高齢者の居住の安定を図るとともに、サービス付き高齢者住宅の建設を促進するなど、自宅と介護施設の中間的な施設の拡大を図り、安全・安心な高齢者居住を実現します。リバースモーゲージの拡充・活用促進などによる高齢者の資産の有効利用を図ります。
○公共建築物において再生可能エネルギーの導入を促進するための法制度を整備し、公共建築物への再生可能エネルギー導入を進めます。また、小水力・地中熱・河川熱・下水熱などの再生可能エネルギーの導入を進めるため、規制緩和や手続簡素化、財政支援強化を行います。
○マンションの省エネ化・長寿命化を図り、住民の安全と健康を守るとともに、築年数が古い物件について、建て替えを促進する政策をさらに拡充させます。
○年収 500 万円以下で、賃貸住宅で暮らす世帯の家賃について、月 10,000 円の補助を行います。住環境の改善が実現できれば、子育て支援にもつながります。
○所有者不明土地問題を含め、空き家対策の検討を進めます。
【れいわ新選組】
「政権とったらすぐやります 今、日本に必要な緊急政策」より
https://www.reiwa-shinsengumi.com/policy/
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