東京多摩借地借家人組合

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物価高騰の中で借地借家法で認められた借地借家人の権利をしっかり守って頑張りましょう

2025年01月28日 | 法律知識
 昨年元旦に起きた能登半島地震から1年が経過していますが、9月に襲った豪雨災害によって復旧・復興が大きく遅れています。
 地域によっては、仮設住宅も建てられず緊急時の避難所生活を強いられている方もおり、心が折れそうです。能登半島では、震災直後は水も出ない、食料もなく震災で生き残っても、高齢者の多くが震災関連死で亡くなり、直接死を上回っているとの報道を聞くにつれ、阪神淡路大震災から今年で30年を迎えますが、震災対策は全く不十分であり、いまだ改善されていないことを痛感します。
 さらに、日本は地球温暖化によって、地震大国とともに海に囲まれ、海水温の上昇で熱波、高温、豪雨災害、冬は大量の雪が日本海方面に降り、1年を通し災害がいつ起きても不思議ではありません。
 また、最近の物価高の影響は、物価の「岩盤」といわれ安定していた家賃にまで影響し、都内の賃貸マンションの家賃が値上がりしているようです。都心の分譲マンションが高過ぎて賃貸への需要が高まっている、金利の引き上げで投資用マンションを所有するオーナーが家賃に転嫁している等の指摘もあります。すでに、地代は固定資産税等の上昇の影響で値上げ請求する事例も各地で起きています。
そこで、今年は地代・家賃など賃料値上げ問題に対する取組みを強化していきましょう。借地借家法では、貸主が一方的に賃料を値上げ請求してきても、相当な値上げでなければ認める必要はありません。近隣の賃料と比べて、安いなど理由が必要です。また、賃料は貸主・借主との間で協議して決めることになっているので、値上げ額が高すぎる時は値上げする額の引き下げを求めることができます。
また、話し合いをしても地代・家賃の値上げ額が決まらない時は、借主が相当と認める額を支払い、貸主が賃料の受領を拒否してきた時は、法務局に地代・家賃を供託することができます。貸主は値上げ請求を借主に認めさせるには、調停・裁判を起こすしかありません。なお、裁判で値上げが確定すると差額の年1割の利息を付けて支払うことになります。いずれにしても、地代・家賃の値上げは簡単には認められません。借地借家人が値上げに反対して地代・家賃を法務局に供託しても借地借家人の権利が弱くなるわけではありません。
今年も、皆さんが借地借家法で認められた権利をしっかりと守って頑張りましょう。組合では権利を守って頑張る皆さんを応援致します。

東京多摩借地借家人組合

電話 042(526)1094
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住生活基本計画が見直し議論開始 最低居住面積水準の撤廃検討か

2025年01月28日 | 法律知識
 国土交通省は、昨年10月31日に第58回社会資本整備審議会住宅宅地分科会を開催し、2050年を見据えた新たな住生活基本法の策定に向けた議論を開始しました。住生活基本計画は、期間を10年間とし、おおむね5年ごとに見直しと変更を行います。空き家の増加や単身高齢者の増加等問題は山積しています。令和8年3月をめどに新たな計画が閣議決定される予定です。

 基本計画見直しの論点とは

国交省では、住生活基本計画の見直しに当たっての主な論点(総論)として、「住まう人」について以下の課題を指摘しています。
○2050年までの世帯構成の変化を見据えて、世帯属性や状況に応じたニーズを満たす住まいの実現を円滑化する市場環境をどのいように整備していくか。○2050年までに1・5倍に増加する高齢単身世帯をはじめとする高齢世帯の住生活を豊かにするためにどのような住宅や住環境が求められるか。○結婚を望む若者の割合が逓減する中で、若者をはじめとする単身世帯の住生活を豊かにするためにどのような住宅や住環境が求められるか。○子どもを産み、育てやすい住まいの実現のためにどのような住宅や住環境が求められるか・○2050年には外国人が人口の1割を占める可能性もあることを踏まえて、住宅や住環境をどのように考えるか。
 その他、○2050年に向けて様々な事情により住宅確保に配慮を要する者が増加すると見込まれる中、住宅セーフティネットを担う公的賃貸住宅の主体のあり方をどう考えるか。○当面、公営住宅、セーフティネット登録住宅、居住サポート住宅等区がある中で、住宅セーフティネット全体をどのように捉え、どのように充実させていくか。○建築費の上昇等物価上昇に賃金の伸びが追い付いておらず、また、金利のある世界での住宅ローンへの影響が見通せないなど、所有・賃貸とも足元で厳しさを増す住宅取得環境にどのように対応するか。
 また、新たな住生活基本計画の検討に当たって、最低居住面積水準(単身25㎡、2人30㎡、3人40㎡、4人50㎡)と誘導居住面積水準の撤廃を検討していると報道されています。最低居住面積水準は健康で文化的な住生活を営むために必要不可欠な面積です。現状でも、賃貸住宅では最低居住水準を満たしていない住宅が多く、更なる住環境の悪化につながる重大な問題です。

 高齢者・若者に重い家賃負担

 図Ⅰのように、高齢者の現在の住宅の問題点として、老朽化の他持家では、防災・防犯面の不安や住性能の不満が多く、賃貸住宅では「家賃など住宅に関する経済的負担が重い」、「台所、便所、浴室などの設備が使いにくい」等の回答が上がっています。図2の若年世帯の住まいの現状では、30歳未満の勤労若年世帯の1カ月当たりの平均消費支出に占める住居費の割合が、年々上昇し約4分の1を占めています。

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「マンション関係法の改正、マンション管理・整備のあり方」でセミナー開催

2025年01月28日 | 法律知識
〈住宅団体共同セミナー〉  開催案内
「マンション関係法の改正、マンション管理・整備のあり方」

日時 2025年2月1日(土) 13時30分~16時30分
会場 台東区・台東一丁目区民館・2階第1集会室 (案内図・裏面)
                       (台東区台東1―25-5、秋葉原駅徒歩8分)
     
【セミナーの開催趣旨】
2025年の通常国会でマンション関係の法改正が審議されます。区分所有法、マンション管理適正化法、マンション建替え円滑化法の各法律の改正が予定されています。
「区分所有法」改正は、①建替え決議の多数決要件の緩和、②建替え決議と賃貸借の終了、③建物・敷地の一括売却、建物取り壊し等、④建物の更新(1棟リノベーション)、⑤多数決による決議を可能とする、等々です。「管理適正化法」、「建替え円滑化法」もこうした「区分所有法」改正にも連動し、改正案が提出され審議されます。
国民のマンション居住に大きな影響を及ぼす、にこれらの法改正の内容を学び、マンション管理・整備のあり方について意見交換、討論を行います。ぜひご参加ください。

〈プログラム〉     コーディネーター 山下千佳氏 (住まいとまちづくりコープ役員)
                
開会あいさつ―セミナーの趣旨にふれて 坂庭国晴 (住まい連代表幹事)

〈講 演〉  

「区分所有法改正案のポイントと問題点など」 
西田 穰氏 (弁護士・東京東部法律事務所、東京借地借家人組合連合会常任弁護団)

「建替えではなく長寿命化の追求が必要」 
佐伯和彦氏(象地域設計代表取締役、マンション維持管理支援・専門家ネットワーク副代表)

〈討論・意見交換〉  マンションの管理・整備のあり方など
               報告・発言 NPO建築ネットワークセンターほか
                            〈どなたでも参加できます、資料代500円〉

【開催団体】 国民の住まいを守る全国連絡会(住まい連)、日本住宅会議・関東会議、
        住まいの貧困に取り組むネットワーク
【連絡先】 NPO住まいの改善センター ℡03-3836-2018 Fax03―6803―0755 
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地代の大幅値上げ抑える

2025年01月17日 | 法律知識
 立川市柴崎町1丁目で宅地37坪を借地しているSさんは、地代年額で11万4691円を支払ってきましたが、地主から昨年末に平成18年以来、賃料を値上げしていないことと、固定資産税・都市計画税が1・72倍に上がっているとの理由で、地代も19万7268円、1・72倍に値上げすると請求してきました。
 Sさんは、増額の根拠となる資料の提示を求めたところ、地主は平成24年度と令和6年度の課税証明書の写しを送ってきました。確かに土地の公租公課額が上がっていました。組合と相談し、以下の文書を地主に送りました。「平成24年度から令和6年度の公租公課額が1・72倍に増額されていることは承知しましたが、地代も1・72倍に増額請求されることには同意できません。貴殿の請求額は、固定資産税・都市計画税の4倍に当たり、賃借人は公租公課額の3倍が適正額と考えます。従いまして、令和6年度の地代額14万7000円をお支払い致します。ご了承くださいますようお願い致します」。
 地主から再度通知があり、Sさんの提案を認めるので、この金額で支払うよう同意を求めてきました。最近、固定資産税・都市計画税が上がっているので、地主の請求を認める必要はありませんが、長期にわたり地代が上がっていない場合には、ぜひ市役所(23区は都税事務所)の課税課で固定資産税課税台帳登録事項証明書を取って、地主が支払っている公租公課額を調べることをお勧めします。税額の計算は組合にご相談ください。(多摩借組ニュースより)
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残置物処理モデル契約条項の解説セミナー開催

2025年01月16日 | 法律知識
 国交省の補助を受けて社会空間研究所主催による第2回残置物の処理等に関するモデル契約条項の解説セミナーが12月12日にオンラインで開催された。
 国交省住宅局の参事官(マンション・賃貸住宅担当)の課長補佐の船田一元氏が、残置物の処理等に関する国土交通省の取組みを報告した。民間賃貸住宅における65歳以上の入居者の割合が30年間に約2倍に増加し、一人世帯の割合も2018年で約6割と増えている。自宅で亡くなるケースも増加傾向にあり、賃借人の死亡後、居室内に残された家財(残置物)の処理や賃貸借契約の解除などについて賃貸人の不安を払拭するために、これらの問題を円滑に処理するための事務委任契約のひな型として残置物の処理等に関するモデル契約条項を作成し、モデル契約条項の活用ガイドブックを作成し、今後単身高齢者等の賃貸住宅への円滑な入居を支援していきたいと述べた。
 次に、モデル契約条項の解説を佐藤貴美弁護士が行った。契約の終了・残置物の処理に係る法的な問題や各モデル契約条項の内容等について詳しく解説した。契約書の条項で賃料の滞納を原因として部屋の入口を施錠し、賃借人の動産類を勝手に処分する行為は違法な自力救済行為に当たると指摘した。
 次に、公営財団法人神奈川住まいまちづくり協会事業部担当部長の入原修一氏がモデル契約条項の活用事例を報告した。

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改正住宅セーフティネット法で認定保証業者への国の規制は十分なのか 弁護士 増田尚

2025年01月16日 | 法律知識
 住宅セーフティネット法の改正法が昨年6月5日に公布されました。公布から1年6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行される予定です。
 改正法は、「大家が賃貸住宅を提供しやすく」するという観点から、居住支援法人等が安否確認等のサービスへのつなぎを行う住宅(居住サポート住宅)の制度を新たに創設し、居住サポート住宅の賃貸借については、認定を受けた家賃債務保証業者が家賃債務保証を引き受けることとするなどを定めています。
 家賃債務保証業者の認定要件は、①居住サポート住宅の賃貸借契約を締結しようとする住宅確保要配慮者から保証の申込みがあった場合には、正当な理由なく、これを拒まないこと、②保証の申込みがあった要配慮者に対し、保証契約締結の条件として、親族等の連絡先情報の提供を求めないこと、③業務の実施方法が要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居に資するものとして国交省令で定める基準に適合すること、です(改正法72条1項)。しかし、保証業者は「追い出し屋」と称されるような不当な求償権の行使により賃借人の居住の安定を脅かしてきたのであり、住宅セーフティネットにおいて利用すべきはなく、公的な保証制度の充実により対応を図るのが本筋です。
 また、③の国交省令において、どれくらい厳しく規制されるのかは不明ですが、現行登録制度(大臣告示)の程度であれば、2022年12月12日の最高裁判決で無効とされたような不当な契約条項が禁止されるわけでもなく、実効性に欠けます。衆院国交委の附帯決議では、「入居後の過度な取立て等が行われることのないよう、適切なものとするとともに、国土交通大臣による認定家賃債務保証業者に対する認定やその取消しを含む監督が厳正かつ適正に実施されるよう努めること」が盛り込まれました。
 全借連には、賃借人の権利が保障される真の住宅セーフティネットの実現に向けた活動に共同で取り組むことを期待します。





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