東京多摩借地借家人組合

アパート・賃貸マンション、店舗、事務所等の賃貸のトラブルのご相談を受付けます。

建物所有を目的とした土地賃貸借契約が一時使用でないと認定された事例

2007年05月31日 | 最高裁と判例集
木造建物所有目的の賃貸借契約が一時使用のものでないと認定された事例 (東京高裁平成8年11月13日判決、判例時報1589号50頁)

 (事実)
 地主・借地人(株式会社)間に、昭和62年12月、土地(登記簿上の項目は畑)を、期間2年、賃料月額金2万円の約の賃貸借契約が成立した。右土地賃貸借契約書には標題に、「土地一時使用賃貸借契約書」と記載されており、使用目的には、「仮設事務所用地(但しブロック基礎とする)」と記載されていた。

 右賃貸借契約はその後2回改定され、平成3年12月、賃料月額が金3万円に増額された。地主がAを代理人として借地人に土地の明渡を求めたところ、借地人はAの説明により本件土地賃貸借契約が一時使用のもので明渡義務があるものと信じ、右土地を平成6年5月末日に明渡す旨の約定書を作成した。そして、地主は借地人に対し、右約定に基づき、一時使用の土地賃貸借契約が終了したとして建物収去土地明渡および賃料相当損害金の支払を求めて本訴を提起した。

 これに対し、借地人は地主に対し、右明渡約定は要素の錯誤により無効であるとして借地権存在確認の反訴を提起した。

 原判決(横浜地裁平成8年4月11日判決)は、借地人会社の代表者個人が本件土地を昭和59年から賃借していたこと、借地人会社との契約後、右土地に木造亜鉛メッキ鋼板葺2階建事務所兼倉庫を建てたが地主は異議を述べなかったことなどから、右土地賃貸借契約は一時使用の目的でされたことが明らかであるとはいえないとして借地人会社の要素の錯誤の主張を認め地主の本訴請求を棄却し、借地人会社の反訴請求を容認した。

 (争点)
 本件の争点は、本件土地の賃貸借契約が一時使用のものか否か。

 (判決要旨)
 東京高裁は、借地人会社が市の指定水道業者として金200万円を投じて本件建物を新築し、本店事務所兼資材置場として利用しており、契約当初から短期間に限って本件土地を借り受ける意思であったとは認められないこと、地主に早期に本件土地の返還を受けなければない特段の事情があったとは認められないこと、権利金の授受はなかったが、本件契約に当たり賃料が2倍に増額され、その後も更に増額されていることなどの事情を付加して、原判決と同様地主の控訴を棄却した。

 (短評)
 一時使用の賃貸借か否かは、単に借地期間の長短だけでなく、土地の利用目的、地上建物の種類、設備、構造等を総合的に判断すべきであるとされている(最高裁昭和43年3月28日判決、判例除法518号50頁)。

 本判決は、土地賃貸借契約書記載の一時使用の文言にもかかわらず総合的に判断して一時使用の目的を否定したもので、他の事例の参考になるものである。   (1997.4)


 (弁護士 榎本 武光)

東京借地借家人新聞より


借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合

一人で悩まず  042〈526〉1094

組合への相談は無料 組合は会員制 何時でも入会受付けます。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

賃料減額したいが減額した額で供託することができるか

2007年05月30日 | 地代家賃の増減
Q 家主と賃料値下げについて交渉中ですが、応じてもらえません。減額した賃料を貸主が受取らないときは供託しておくことができますか。

A 借主は賃料が高いと思っても、勝手に減額することはできませんので、これまでどおりの賃料を支払う必要があります。契約で約束した賃料の額を支払わない場合は、契約違反 (債務不履行)になりますので注意が必要です。

 貸主が応じない場合は、まず調停を行い、調停でもまとまらないときは、賃料減額請求の裁判を起こすことになります。その裁判で減額を認める判決が出て(確定して)初めて減額が認められることになります。貸主からの賃料の増額請求があった場合、貸主が賃料を受取らないときは、借主は調停若しくは裁判が確定するまでは借主が相当と考える賃料(一般には現行賃料)を供託することができます(借地借家法32条2項)。


借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合

一人で悩まず  042〈526〉1094 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

雨漏り修理しない家主に半額家賃提供

2007年05月29日 | 増改築と修繕
葛飾区内で美容業を営んでいる近藤さんは、1年前より雨漏りの修繕工事を貸主に要求してきた。1階は雨が壁を伝わり、2階はポトリポトリと数箇所において桶をいくつか置く始末。畳は使い物にならず、再三貸主に修繕を要求したが工事は始まらない。リフォームの工事業者が見積もりをしても家主と金額で合意できず、一向に工事を実行に移す事はなく畳のカビに悩まされ2階は使用不能。この間現家賃8万5千円を支払うことに納得できず、再度期日までに雨漏りストップの工事を完了しない場合には賃料を2分の1とする旨を文書で通知した。家主はこれに対し無視の態度をとった。近藤さんは貸主代理人に賃料の半額を持参。代理人はしぶしぶ受領した。その後半年家主より何の反応もない。半額の賃料提供については争ってもよいと心を決めた賃借人の実力行使である。 


借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合

一人で悩まず  042(526)1094

相談は無料 組合は何時でも入会受付けます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

松岡農相自殺:「政治とカネ」再浮上 参院選戦略に暗雲

2007年05月29日 | 政治経済
 今年最大の政治決戦である参院選まで2カ月を切った中で、松岡利勝農相の自殺が安倍晋三首相の参院選戦略に暗雲を投げかけた。もともと政府・与党にとって「鬼門」とされてきた年金に「政治とカネ」の問題も加わったためだ。

 首相は今年1月4日の年頭記者会見で、憲法改正を選挙の争点に位置づける一方、憲法9条改正などを争点化することに難色を示す公明党に対しては、同党が強く推した政治資金規正法改正案を国会提出することで軟化を促した。

 同改正案の提出によって公明党の納得は得られたとみて、自民党内では「政治とカネ」の問題は決着したという空気さえあった。26、27両日の毎日新聞世論調査での内閣支持率急落を受けても、自民党幹部が「年金問題以外に原因はない。松岡農相の問題などは大した問題じゃない」とうそぶいたほどだった。

 年金給付漏れ救済法案の前倒し提出を指示した首相も同様の認識だったとみられる。年金問題を巡る国民の不安の払しょくに全力をあげ、自らの「美しい国」路線を訴えていこうとしていた矢先の現職閣僚の自殺は衝撃を与えた。

 年金問題だけでも重荷なのに、疑惑の説明責任を果たさずに自殺した松岡農相を任命した首相の責任もついて回る。自民党町村派幹部は「参院選では都市部を中心に自民党には逆風になる。無党派層が安倍自民党から離れる」と指摘した。

 年金救済法案は会期末まで1カ月を切る中で法案成立は微妙な情勢。さらに、政治資金規正法改正案提出で納得したはずの公明党が、一歩進めて成立を求めてくる可能性がある。集団的自衛権行使をめぐる政府解釈の見直し問題での自民、公明両党間の温度差が対立につながることも想定される。

 民主党など野党は04年参院選で年金問題を争点に大躍進したことを踏まえ、残り会期を「年金」と「政治とカネ」で揺さぶる構えだ。首相の「美しい国」路線は参院選を前に埋没しかねない状態になっている。【中川佳昭】

毎日新聞 2007年5月29日 3時00分

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

会社契約でアパートを借りていたが、会社を退職したが

2007年05月28日 | 借地借家の法律知識
Q これまでは勤めている会社が大家さんと契約してアパートを借り、そこに住んでいましたが、今度、 会社を退職することとなり、私自身が借主となることになりました。この場合に、新規契約として新たに敷金や礼金を払えと言われましたが、 そうしなければならないものでしょうか?

A 賃借人が変わり新たな賃貸借契約を締結することになりますので、新規の契約内容に基づいて、 敷金や礼金が発生することになると思われますが、大家さんと十分に話しあって金額等を決めてください。


借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合

一人で悩まず  042〈526〉1094 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

事業用定期借地権の存続期間を延長する議員立法が上程

2007年05月27日 | 最新情報
2007年5月17日、「借地借家法の一部を改正する法律案」(事業用定期借地の存続期間を延長する法案)を自民党・公明党議員による議員立法として開会中の今国会に提出された。衆議院議員運営委員会に提出されたが、審議を付託する委員会も未だ決まっていない。

  提出者 保岡興治(自民・鹿児島1区)、杉浦正健(自民・愛知12区)、櫻田義孝(自民・千葉8区)、早川忠孝(自民・埼玉4区)、柴山昌彦(自民・埼玉8区)、大口善徳(公明・東海ブロック)

  現行の「借地借家法」第24条の「事業用定期借地権」の借地存続期間は「10年以上20年以下」と規定されており、特約を結ばなくても「契約更新」と「建物買取請求権」及び「建物再築許可の規定」は法的に排除されている。また契約は公正証書ですることを義務づけられている。

 「事業用定期借地権」は約定した借地期間が終了すると「建物買取請求権」と「契約の更新」及び「再築による期間の延長」がないので、借地権は確定的に消滅する。従って借地権者は自己の費用で建物を取壊し、土地を原状に回復して借地権設定者に返還しなければならない。この義務を借地権者が怠った場合には、債務不履行となる。借地権者が原状回復しなかった場合、借地権設定者が裁判上の手続を取ることになるが、この場合の原状回復費用は借地権者に求償すべきものとされている。

 このように定期借地は、存続期間が満了したら建物を取壊し、借地を更地にして返還しなければならない制度である。 

 但し、欧米諸国の「定期型借地権」は、多くの場合、物権的土地利用権であり、日本の「定期借地権」のように債権的権利である賃借権ではない。従って、欧米諸国の「定期型借地権」は譲渡性があり、借地権自体に担保権を設定することが出来る。

 更に借地権が消滅した場合に建物を取壊し、更地にして返還する必要はない。建物は土地に附合するということから土地所有者のものになるのが原則である(注)。従って存続期間満了後に建物を取壊すことはない。これにより定期借地上の建物に居住する借家人の居住権も保護されることになる。

 日本の「借地借家法」は35条で借地権の終了を知らなかった借家人を保護するために明渡しに1年以内の猶予期間を借家人に与えている。しかし、これも建物取壊しを前提とする特異な規定と言える。いずれにしても借地権が満了すると建物を取壊さなければならない日本の「定期借地権」は、定期借地上建物の借家人の居住権を充分に保護していないということで、欧米諸国には存在しない特異な制度であることに注意すべきである。

 (注)ドイツでは借地権が消滅すると建物は自動的に土地所有者の所有に属することになる。しかし土地所有者は建物の取引価格を基準とする償金を支払わなければならない。これにより借地権者は投下資本の回収を保障されている。

「改正法案」は事業用定期借地に関して2通りの借地期間を設定している。
 ①「改正法案」は現行法24条と同一内容で期間が「10年以上30年未満」に延長されている(改正法案第23条2項)。
 ②借地の「存続期間を30年以上50年未満」とした場合、(1)更新排除特約、(2)建物再築による存続期間の延長を排除する特約、(3)建物買取請求権を排除する特約、以上(1)~(3)の特約は公正証書で契約を結ぶ場合に認められる(改正法案第23条1項)。
 以上が事業用定期借地の「改正法案」の主な内容である。

 次に掲載するのが、「借地借家法の一部を改正する法律案」である。

 「借地借家法(平成3年法律第90号)の一部を次のように改正する。
 第22条中「含む」の下に「。次条第1項において同じ」を加える。
 第24条を削り、第23条第1項中「場合」の下に「(前条2項に規定する借地権を設定する場合を除く。)」を加え、同条を第24条とし、第22条の次に次の1条を加える。
   (事業用定期借地権等)
 第23条 専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。次項において同じ。)の所有を目的とし、かつ、存続期間を30年以上50年未満として借地権を設定する場合においては、第9条及び第16条の規定にかかわらず、契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第13条の規定よる買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。
 2 専ら事業の用に供する建物の所有を目的とし、かつ、存続期間を10年以上30年未満として借地権を設定する場合には、第3条から第8条まで、第13条及び第18条の規定は、適用しない。
 3 前2項に規定する借地権の設定を目的とする契約は、公正証書によってしなければならない。」

 附則
 (施行期日)
 第1条 この法律は、平成20年1月1日から施行する。
 (経過措置)
 第2条 この法律の施行前に設定された借地権(転借地権を含む。)については、なお従前の例による。


借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合

一人で悩まず  042〈526〉1094

相談は無料 組合は会員制で何時でも入会受付けます。 


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

コーヒー1杯で「宿泊」 「マック難民」が急増

2007年05月26日 | 住まいの貧困に取り組むネットワーク
「マック難民」という言葉が誕生した。ハンバーガーショップ「マクドナルド」の24時間営業店舗に「寝泊り」する人々のことで、多くは日雇い労働者風男性だが、高校生などの若年者もいる。「アパートが借りられずマンガ喫茶に寝泊りしていた人達が、単価の安いマックへ移った」という背景もあるらしい。マクドナルドも対応に困っている。

店舗が24時間営業に変ってから、増え続ける
日本マクドナルドホールディングスは、06年春から24時間営業店舗の展開を始め、07年5月には全国で900店舗へと拡大する計画だ。今のところ24時間店舗は好評なようで、07年2月9日の朝日新聞には、「8日発表した06年12月期連結決算は、売上高が前期9.2%増の3,556億円だった。24時間営業店が増えて客層が広がったことや、『サラダマック』などの単価の高い商品の投入効果が出た」

と書かれている。しかし、困った問題も起きている。店内で寝泊りする「マック難民」だ。

神奈川県にある「マクドナルド」の店員は、J-CASTニュースの取材に対し、「マック難民」についてこう話した。

「店舗が24時間営業に変わってから、コーヒーなど単価の安い商品を注文するだけで一夜を明かす人が増え続けている。店側はその対策として午前2時から4時までの2時間を清掃の時間にして『宿泊』できないようにしたが、それでも毎日10人ほどの『マック難民』が来店する。一度店を出て午前4時に戻ってくるお客もいる」
この店の「マック難民」は、日雇い労働者風の男性が多いが、中には高校生風の女性もいて、何日も続けて通ってきたため警察に通報。保護してもらったという。

同店の近くに住む20代の男性サラリーマンは、マンガ喫茶で一夜を過ごす日雇い労働者風の男性の数がめっきり減ったことに気付いた、という。

「マックで一夜を過ごしている人と、マンガ喫茶で寝ていた人の風体が似ているため、マンガ喫茶からマックに流れて行ってるんだと思う」
J-CASTニュースは07年3月25日付けで「『ネットカフェ難民』とは『隠れたホームレス』だ」と報じた。この中に出てくる、「日雇い派遣」などで働くものの、低賃金のためアパート代も払えず、インターネットカフェで寝泊まりする人たちが、より安く過ごせる場所として「マック」を見つけたようなのだ。

「深夜のお客さんの2~3割がホームレスの方々」
ブログでも「マック難民」について書く人が増えている。

「夜のマクドナルドは、マクドナルドという名のドミトリーと化していました。みんな、ドリンク1杯で宿泊しすぎです」
「マクドナルドへ行って、ずっと本を読んだりポッドキャストを聴いて朝を待ちました。親からの電話等は完全無視で過ごしました。深夜のマックは流石に女の子なんていないですよ。日雇い労働のよな仕事をしていらっしゃるおじさん達がホテルの代わりに使っているんですね」
「渋谷の某店などで、深夜のお客さんの2,3割がホームレスの方々だったりするのは、本当に勘弁して頂きたいです」
「あの老人や若者が、ネットカフェに泊まるお金すらなくてあそこにいたなら、同じ国に生きてる人間として、なんだか悲しい」
日本マクドナルドはこの状況をどう考えているのか。J-CASTニュースが広報に取材したところ、ネットで言われているような「マック難民」についての認識は無いようで、

「寝ている人がゼロとは言いませんが、24時間営業の店舗については巡回していて、寝ているお客様についてはお声がけしています」
と話している。(ライブドアニュースより)


借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合

一人で悩まず  042〈526〉1094 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

松岡農相 かばう首相の見苦しさ

2007年05月25日 | 政治経済
いまだに説明責任を果たさない人が閣僚で居続ける政治のレベルに暗たんとする。金銭の絡む疑惑をそのままに、かばう首相の言葉が空々しい。この倫理の鈍感さは、政権のおごりというほかない。

 厚顔無恥と攻め疲れ。「政治とカネ」を主題とする衆院予算委員会の集中審議に、多くの人はそういう感想を持ったのではないか。

 就任してほぼ八カ月の間、折に触れ野党の追及を受けてきた松岡利勝農相は、相変わらずの居直り答弁を繰り返した。「法に従い適切に報告している」と。

 疑惑の詳細はもう書き連ねる必要もないだろう。「ナントカ還元水」に象徴される、政治資金のいかがわしげな使途が問題の核心だ。

 「適切な報告」そのものの信ぴょう性が厳しく問われているというのに、法の趣旨を都合よくねじ曲げて具体的な説明を拒絶する。政治資金規正法をこんなふうに盾にする厚顔無恥は、政治家の中でも珍しい。

 手を替え品を替えの追及にも平然と同じ答弁が何度も繰り返される。攻め疲れの野党が矛先を安倍晋三首相に向けるのも当然である。

 民主党の岡田克也氏は首相に「農相は説明責任を果たしていると考えるか」と迫っている。自民や公明の与党幹部でさえ農相の説明の不十分さを指摘しているではないか、かばう首相が国民の政治不信を倍加させている、というわけだ。

 口ごもる首相の答弁もまた“壊れたレコード”であった。「農相は法に基づいて説明している」。そして首相は民主党代表の小沢一郎氏の不動産取得問題に話を振った。内閣の最高責任者の認識を聞かれているのに、それにはほおかむりで他者の問題をあげつらうのは、見苦しい。

 農相には倫理欠如を疑わせるような献金受領問題も発生している。農林水産省所管法人「緑資源機構」の官製談合事件で名の出た、請負業者らの政治団体やその会員企業、経営者から多額の献金を受けていた。法の認める範囲、との強弁を、これ以上世間が容認するとは思えない。

 与党は週明けに、資金管理団体の不動産取得禁止や、五万円以上の経常経費に領収書添付を義務づける旨の法改正案を国会に出すそうだ。

 資金管理団体以外の政治団体にも適用すべきでないか、五万円では実効性は薄い、との指摘にも、首相はまるで人ごとの答弁をしている。一体どこが新時代のリーダーか。

 尾を引く松岡問題に自民の参院選候補からも怨嗟(えんさ)の声が聞こえる。これを放置して憲法や教育を語る資格はあるか。あらためて問うておく。

(5月24日 東京新聞社説)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アパートを契約したのに約束した修繕を大家が履行しない

2007年05月24日 | 借地借家の法律知識
Q アパートの賃貸借契約を結び、まず内金として5万円を支払い、そのあと前家賃・敷金・礼金等で25万円、計30万円を貸主に支払いました。設備等で壊れている箇所を入居前に修繕する約束になっていますが、やってくれません。契約を解除するつもりです。支払金30万円は全額返してもらえるのでしょうか。

A 入居前に賃貸物件の不具合箇所を修繕して引き渡すことを約束して、賃貸借契約を締結したにもかかわらず、貸主が修繕をしないことは、賃貸借契約に基づく責務不履行といえます。したがって、約束した期日までに修繕工事が行われず、借主が入居できず契約の目的を達成することができないのであれば、契約を解除することができ、30万円の返還は当然のこと、それにより損害を被ったのであればその損害についても損害賠償請求することが可能といえます。



借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合

一人で悩まず  042〈526〉1094 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

<貧困解消>若者3300人が最低賃金引き上げなど訴え集会

2007年05月23日 | 政治経済
「まともに生活できる仕事を」と20日、東京都新宿区の明治公園に約3300人の若者が参加し、全国青年集会が開かれた。参加者は最低賃金の引き上げや正規雇用の増加、貧困の解消などを訴え「人間らしく働きたいという声をみんなで上げていこう」などとする集会アピールを採択し、都心をパレードした。
 長時間労働や非正規雇用の増加、ネットカフェで生活する若者の出現など、若年者を取り巻く厳しい労働環境や貧困問題を訴えようと、全労連青年部や個人加盟の労働組合、青年組織などが実行委員会を作り開催した。
 ある男性(24)は、住所がないため日払いの仕事しかできず、今の暮らしから抜け出せない現状を説明した。男性は「一度(この生活に)落ちるとはい上がるのは難しい」と訴えた。
毎日新聞 5月20日【東海林智】


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

地主が供託金を損害金の一部として還付したが、供託を続けていてもいいのか

2007年05月23日 | 借地借家の法律知識
Q 5年前、地主から借地契約の更新を拒絶され、地代を受け取ってもらえなかったので供託しました。最近地主から「土地使用の損害金の一部として供託金の還付を受け取ることにした」と通知してきました。その意味はどういうことでしょうか。また、このまま供託を続けておいて大丈夫でしょうか。

A 地代とか賃料というのは、借地契約が存在していることが前提の呼び名です。これに対し、使用損害金とか使用料とかは、借地契約が存在していない場合の呼び名です。
 地主としましては5年前に更新を拒絶したことによって借地契約は存在しないとの立場ですから、「損害金」という名目を使わざるを得ないわけです。しかし、借地人の供託はあくまで地代としての供託ですので(それは供託書の記載によって証明されます)、これを勝手に地主が「損害金」に性質を変更することはできません。
 したがって、地主がどういう名目をつけて供託金を下ろそうが(このことを還付といいます)、地代としての供託という性質が変わるわけではありません。
 しかし、「損害金の一部として還付を受ける」との通知をそのまま放置しておきますと、後で、それを認めたではないかと、不当な言いがかりをつけられません。そこで、万全を期すためには、右通知に対し、「当方の供託は地代全額としての供託であるので使用損害金の一部としての還付には異議がある」旨返答しておくことが望ましいといえます。その上で供託を続けましょう。



借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合まで

一人で悩まず  042〈526〉1094 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

契約期間満了で更新しないとの特約書き込まれたが

2007年05月22日 | 借地借家の法律知識
(問) 店舗併用住宅を借りて食料品店を営んでいる。5年前の契約期間満了の際に明渡し問題で家主との間でトラブルがあった。その時は契約更新が出来たが、契約書に「期間が満了したら本契約は終了し、更新はしないものとする」という特約条項を書き込まれた。その期間が先月で満了し、家主から強く明渡しの催促をされている。移転先の当てもないので、そのまま営業しているが、①店舗を明渡さなければならないのか。
 また先日、家賃を今まで通り銀行振込したところ、家主は内容証明郵便で「建物の明渡し要求と当月分の振込金は建物使用損害金として受領する。なお今後の振込まれるものも損害金として受領する」という旨の通知をして来た。損害金としえ受取るいうが、②このまま振込みを続けていればいいのか。以上の2点を相談します。

(答) ①に関しては借家を明渡す法律上の必要義務はないというのが結論になる。理由は賃貸契約書に記載された「期間が満了したら本契約は終了し、更新はしないものとする」という特約条項が借地借家法第30条の強行規定に反するかだ。即ち30条は「この節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする」と規定している。従って借地借家法第26条の法定更新制度を否定する特約は当然、法律的に無効扱いになる。

 ②に関しては家主が「損害金として受領する」というのは賃貸借契約の存在を否定し、賃料として受取らないという意思表示であるから、支払いをしてはならない。次回の家賃支払は法務局へ家賃弁済供託という方法で支払う。

 今回の従前通り銀行振込みにした家賃に関しては、次のような書式で「私が*日に振込んだ家賃に対し、貴殿から建物使用損害金として受領するとの御通知を受けましたが、私は*年*月分の家賃として支払ったものであることを通知します。」という趣旨の内容証明郵便配達証明つきで家主へ送っておく必要がある。
 次回弁済供託をする場合、供託事由の欄の記載は「平成*年*月*日提供したが受領を拒否された」とする。2回目以降の供託は「明渡しを請求され、あらかじめ家賃の受領を拒否され目下係争中のため受領しないことが明らかである」と記載する。

 2回目以降の書き方で「供託カード」の発行を受けるとOCR供託書に記載する項目を大幅に省略できる。即ち①申請年月日②供託カード番号③供託者氏名④供託金額⑤供託する賃料欄の年月を書くだけでいいので、2回目の供託時にカード発行の申出をして下さい。


借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合

一人で悩まず  042〈526〉1094

本日の相談はお休みします。ご相談のある方は明日午前10時以降お電話を。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

連帯保証人の印鑑証明等必要か

2007年05月21日 | 賃貸借契約
Q 息子がアパートを借りることになり、親である私が連帯保証人になるのですが、 媒介(仲介)業者から「連帯保証人の印鑑証明と収入証明を出してほしい」と言われました。応じなければいけないものでしょうか。

A 大家さんや媒介業者としては、連帯保証人の本人確認や、万一家賃を滞納した場合などに支払能力があるかどうかを確認するために、 このような要求をする場合もあります。原本を渡してしまうのは不安であるなら、 「見せるだけにしてほしい」「原本確認後コピーをとり原本は返してほしい」のように交渉してみてはどうでしょうか。


借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合

一人で悩まず  042〈526〉1094 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

家賃滞納を管理業者が勤務先の上司に告げ、会社を解雇された

2007年05月19日 | 追い出し屋被害 家賃保証会社
Q 私がアパートの家賃を滞納していることを、管理業者が私の断りなしに勤務先の上司に告げました。そのことで、私の会社内での立場が悪くなり退職せざるを得なくなってしまいました。この業者の行為は個人情報保護法違反であるとして、損害賠償請求ができますか。

A 個人情報保護法は、個人情報を第三者に提供する場合、原則として本人の合意が必要であると規定しています(オプトアウトの措置を講じている場合は、本人の同意はいりません)。個人情報取扱事業者が個人情報保護法に違反したときは、一定の罰則を受けることになります。また、民法上、不法行為責任を問える(損害賠償請求できる)可能性もありますが、具体的には弁護士等の法律の専門家に相談してください。
 なお、勤務先の上司が、あなたの連帯保証人であるなどの特別な事情があるときには、管理業者が滞納について告げたことが、直ちに法令違反とはいえない場合もあります。


借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合

一人で悩まず  042〈526〉1094

相談は無料です。組合は会員制、何時でも入会できます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

法定更新しているのに地主が契約解除と脅す

2007年05月17日 | 契約更新と更新料
八王子市本町で41坪を借地している浜中さんは、2年前に借地契約が満了しました。地主から、更新の前に「更新を希望するなら210万円を支払えば更新に応じる用意がある」との通知を受けました。浜中さんは、すでに更新を迎えた借地人組合の仲間とともに更新料の支払いを拒否し、地代は供託しています。

借地契約は2年前にすでに法定更新しているにもかかわらず、しつこくその後も更新料を請求され、相続で地主の代がかわったこともあって、浜中さんは条件を提示しました。しかし、地主は浜中さんの条件を「当方では承諾しがたい金額で、これ以上解答を期待することは無理と判断した」といって、いきなり「契約を解除する、増改築は認めない、増改築を行った場合には新規の土地賃貸借契約料として142万6千円の支払いを請求する」との支離滅裂な内容証明郵便が送られてきました。この地主から4名が借りていますが、他の借地人にも同様の通知が送られてきています。

相変わらずの地主の傲慢な態度に、浜中さんたちは脅しに負けず、引き続き地代を供託して頑張っていくつもりです。



借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合

一人で悩まず  042〈526〉1094

相談は無料です。組合では何時でも入荷受付けます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする