東京多摩借地借家人組合

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借地の法定更新の際の更新料の支払合意も支払慣行も否定した最近の判例

2021年04月19日 | 最高裁と判例集
【東京地方裁判所2021年3月22日判決(原告が控訴)】弁護士 黒岩哲彦
 地主は更新料支払いの合意又は慣行に基づき、更新料299万円を請求して本件訴訟となりました。私は賃借人の代理人です。

訴訟前の交渉
 私は事前交渉で「平成11年10月16日付「土地賃貸借証書」には、賃借人が更新料を支払う義務があることについて一切記載がなく、通知人には更新料を支払う義務がございません。」と回答しました。

訴訟の争点①
賃借人の先代の更新料の支払いで更新料支払合意を認定はできない
 賃借人の先代は前回の更新時に更新料を支払いました。そこで、地主は「黙示の合意」を主張しました。
 判決は「前回の更新料の支払いは、合意更新された際に、賃貸人と賃借人で協議した結果、賃借人が賃貸人に更新料を支払ったものであって、これによって直ちに、本件賃貸借契約が法定更新された際に賃借人が賃貸人に更新料の支払義務を負う旨の合意の存在を認定することは困難といわざるを得ない。」としました。

訴訟の争点②
更新料の支払慣行を認めることはできない
 判決は、「本件土地の近隣(足立区梅田)において、大正時代から現在まで、契約書に更新料の支払の条項がなくても、更新の際に更新料が支払われてきたとしても、それは、賃貸人と賃借人が合意更新の際に更新料の支払の合意をしてきたことを意味するにすぎないものとみられたのであって、賃貸借契約が法定更新された際に賃貸人が賃借人に対して更新料の支払義務を負う旨の慣行の存在認めるには足りない」
としました。

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大阪高裁が不当判決 保証会社の自力救済条項を適法と判断

2021年04月07日 | 追い出し屋被害 家賃保証会社
賃貸住宅の家賃滞納で、保証会社フォーシーズが借主と結ぶ保証委託契約の中で、家財道具を勝手に処分できると定めた契約条項の差止を求めたNPO法人「消費者機構関西」から提訴された裁判の控訴審判決が3月5日にあり、同社側に一部の条項の差し止めを命じた1審大阪地裁判決を取り消し、NPO法人側の全面敗訴を言い渡しました。同社の契約では、2か月分以上の家賃滞納、連絡が取れない、長期にわたり電気・ガスなどの使用がない等の要件を満たせば物件を明け渡したとみなし、家財道具を処分できると定めています。

保証会社の判断のみで事実上追出し行為を認める判決であり、到底容認できません。NPO法人側は上告を検討しています。
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地主が借地人に無償で借地権の返還迫る

2021年04月07日 | 明渡しと地上げ問題
 横浜市戸塚区で50坪を借地しているYさんは、昨年12月で借地契約の期間満了に当たり、地主からYさんには更新に必要な最低限の提示額(更新料)が高額で支払えないから、また持病のある高齢者の一人暮らしで、頼れる身内はお兄さんしかいないことを理由に以下の提案がありました。

 妥協案として、①Yさんの建物の登記を地主名義にする。ただし、所有権移転による対価は支払わない。手続きに必要な費用は、両者で折半する。

②Yさんが家を引き払う際には、家の中を何もない状態にする必要がある。その片づけ費用として、保証金30万円をYさんが地主に支払う。ただし、退去時にYさんが自分で片付ければ、保証金は退去時に返還する。③Yさんは、毎月3万5千円を家賃として支払う。

 Yさんは、心配になってインターネットで組合を調べ連絡してきました。神奈川県の組合が解散したため、多摩の組合で相談にのりました。

 まずは、契約の更新に当たって地主が更新時に更新料など支払う必要はなく、期間が満了しても法定更新ができる。借地権を無償で返還するなど地主の不当な請求に応じる必要ない。仮にYさんが、借地にある自宅に住まなくなれば、地主に借地権を買い取ってもらうよう交渉することは可能であり、借地権を第三者に売却することも可能性はある。今の段階で地主に無償で借地権を返還することは考えなくてよい。建物を地主に無償譲渡して、借家になれば何時借家から追い出されるかわからない。地主の請求を断り、借地契約は法定更新を主張して頑張るようアドバイスしました。(多摩借組ニュースより)
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