平岡秀夫法相は30日の閣議後会見で、東日本大震災の被災地に対し、大規模災害時の借地・借家人の権利を定めた罹災(りさい)都市借地借家臨時処理法の適用を見送る方針を明らかにした。併せて、同法の規定が借り主に与える権利が強過ぎるなどの指摘もあることから、法改正に向けた検討を指示した。法改正が必要と判断した場合は、2年後をめどに法案を提出する。
同法は戦災復興策の一環で1946年に制定。近年では阪神大震災(95年)や新潟県中越地震(04年)などに適用された。同法が適用されれば、震災で被災した家屋を借りていた借り主は、借地権が優先的に得られるほか、その土地に新たに建てられた家屋を優先的に借りることができる。
これに対し日本弁護士連合会などは、借家人が借地権を得る点について「権利が過分で不合理」などと指摘。「焼け野原に林立するバラックの保護を図る目的を現代都市に適用すれば、計画的な都市整備の障害になり得る」と震災前から法改正を要望していた。
政府は震災被災地での現況調査を実施。借地や借家が現実には少ないことから、被災自治体からも不適用の同意を得た。津波の被災地などにすぐには建物が新築できず、被災者の多くは仮設住宅に移住。高台移転も含めた新たな都市計画などを策定する動きが出ている。このため各自治体とも、同法適用の必要性は低いと判断したとみられる。【石川淳一】
(毎日 9月30日)
同法は戦災復興策の一環で1946年に制定。近年では阪神大震災(95年)や新潟県中越地震(04年)などに適用された。同法が適用されれば、震災で被災した家屋を借りていた借り主は、借地権が優先的に得られるほか、その土地に新たに建てられた家屋を優先的に借りることができる。
これに対し日本弁護士連合会などは、借家人が借地権を得る点について「権利が過分で不合理」などと指摘。「焼け野原に林立するバラックの保護を図る目的を現代都市に適用すれば、計画的な都市整備の障害になり得る」と震災前から法改正を要望していた。
政府は震災被災地での現況調査を実施。借地や借家が現実には少ないことから、被災自治体からも不適用の同意を得た。津波の被災地などにすぐには建物が新築できず、被災者の多くは仮設住宅に移住。高台移転も含めた新たな都市計画などを策定する動きが出ている。このため各自治体とも、同法適用の必要性は低いと判断したとみられる。【石川淳一】
(毎日 9月30日)