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東京多摩借地借家人組合

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総務省の住宅土地統計調査 7軒に1軒は空き家 民営借家が多く 公営借家が減少

2020年02月07日 | 国と東京都の住宅政策
 総務省統計局は平成30年住宅・土地統計調査を昨年9月に発表しました。

調査結果によると、2018年10月1日現在における我が国の総住宅数は6240万7千戸、総世帯数は5400万1千世帯。 
総住宅数を居住世帯の有無別でみると、居住世帯のある住宅は5361万6千戸で、居住世帯のない住宅は879万1千戸。この内空き家は848万9千戸と空き家率は13・6%と過去最高となりました。7軒に1軒は空き家です。空き家の内、賃貸用の住宅が432万7千戸と5年前の調査からさらに増加しています。

居住世帯のある住宅の所有関係は、「持ち家」が3280万2千戸で持ち家率は61・2%と過去15年間ほぼ横ばいです。一方、「借家」は1906万5千戸で住宅総数に占める割合は35・6%で、この内「民営借家」が1529万5千戸(同28・5%)と高く、「公営借家」が192万戸(同3・6%)と最高時より26万戸も減っています。
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家族機能の社会化」が鍵 地域見守り重視の声多く 国交省社整審住宅宅地分科会勉強会

2020年01月23日 | 国と東京都の住宅政策
https://www.jutaku-s.com/newsp/id/0000042229&goread=ON

 21年に予定されている住生活基本計画(全国計画)の見直しへ向け、国土交通省は1月16日に社会資本整備審議会住宅宅地分科会の第2
回勉強会を開いた。個別の論点を掘り下げて同計画に反映する趣旨の勉強会で、今回のテーマは「居住者の視点」。4人の委員による
発表を軸に、住生活にまつわる社会課題や政策への期待について意見が交わされた。
 奥田知志委員(NPO法人抱樸理事長)は、長年ホームレス支援に携わってきた経験をもとに、生活困窮者の居住支援について発表を
行った。

 奥田委員は、「ホームレスと〝ハウスレス〟は状況が異なる」と説く。住宅のハード面や経済面で課題を抱える困窮者は確かに多い
が、居住支援とは単にハードとしての住宅のみではなく、社会とのつながりも含めてケアしていく必要があるという考えだ。
 その背景として、核家族化や単身者世帯の増加などにより、「かつて自助と公的支援のはざまで生活を支えていた〝家族機能〟の崩
壊が進んでいる」と奥田委員は語る。そして現代の居住支援のあり方の一つとして、従来は家族が担っていた見守りや葬儀といった役
割を、代替・補完する仕組みを制度化する「家族機能の社会化」を提唱した。

 奥山千鶴子委員(NPO法人子育てひろば全国連絡協議会理事長)は、子育て世帯支援の現場から見た課題を発表。少子化が加速度的に
進行する一方、ニーズに対し子育て支援・交流拠点は少なく、「奥田委員の言う『家族機能の社会化』は、子育て世帯についても同様
に求められる」(奥山委員)と指摘する。現在は核家族化のほか、地元を離れて大都市へ転入する人口の増加などによって、「密室育
児」が発生しやすい社会となっており、「地域で子育てを支える環境づくりが重要だ」(同)と述べた。

 井上由起子委員(日本社会事業大学専門職大学院教授)は、サービス付き高齢者住宅(サ高住)を中心に、高齢者の住まいについて語っ
た。サ高住の課題の一つとして、紹介事業者が宅地建物取引業の対象外とされているため、高額な手数料や相談員の質といった点が懸
念されると指摘。併せて、公営住宅や公的賃貸住宅における高齢化対応と課題についても解説し、井上委員も「地域による見守りや活
動拠点構築」が住まい支援には重要だと主張した。

 三好修委員(全国賃貸住宅経営者協会連合会会長)は賃貸住宅経営者の視点から、現行制度の改正を要望。賃貸住宅入居者が死亡した
際、遺留品の所有権の問題がオーナーの負担になっていると語る。更に「残置物の処理や原状回復の費用が多額。だから大家は高齢者
に部屋を貸したがらないというのが現状だ」と述べ、負担の軽減策を求めた。
 今回の発表と意見交換を踏まえ、同分科会は引き続き検討を進める。また議論の中間集約は6月ごろ行われ、20年内には新たな住生
活基本計画の素案を提示する予定だ。(住宅新報より)

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<参院選 ともに>低所得者らを拒まぬ物件 「登録住宅」目標の5%止まり

2019年07月16日 | 国と東京都の住宅政策

https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201907/CK2019071502000130.html

民間賃貸住宅の入居を断られやすい低所得者や高齢者、障害者らを拒まない「登録住宅」制度が、発足から一年半たっても、政府目標の5%程度の約九千戸にとどまっている。低所得者を受け入れた家主に家賃の一部を補助する仕組みも、本年度に予算化したのは全国で四十五自治体だけ。民間の空き家・空き室を活用して低所得者らの住まいの確保を目指す政策は、十分に機能していない。 (北條香子)


 国土交通省への取材で分かった。制度は二〇一七年十月施行の改正住宅セーフティネット法に基づく。賃貸人が低所得者ら「住宅確保要配慮者」の入居を拒まない物件を都道府県などに登録し、行政側は配慮が必要な人に情報提供する。専用の住宅にすれば、国や自治体からバリアフリー化や防火・消火対策工事費の補助を受けることもできる。


 政府は登録住宅を年間五万戸程度増やし、二〇年度末までに十七万五千戸にする目標だ。だが七月一日現在の登録戸数は九千百十七戸で目標を大きく下回る。


 自治体が家主に家賃の一部を補助する制度を、昨年度利用したのは四十九戸。本紙調べでは、東京特別区と関東六県の県庁所在地、政令市計三十一のうち、本年度に補助費を予算化したのは世田谷、豊島、練馬、墨田各区と横浜市だけ。板橋区住宅政策課の清水三紀課長は「補助は数年で終わるものではない」と、財政的な事情から制度化に踏み切れないと説明する。


 制度が進まない背景には、周知不足に加え、家主の負担感があるとみられる。


 国交省は昨年、登録手続きを簡素化し、自治体に手数料撤廃を要請した。住宅総合整備課の担当者は「手数料がなくなればハードルが減り、大手事業者にも登録をお願いしやすい環境が整った」と、家主の負担を減らしたことでの登録増を見込む。


 東京都は今月九日、登録住宅に入居した高齢者の見守りサービス費の半額を支援するモデル事業を始めた。安否確認や孤独死の際の原状回復費を補償することで、家主の負担減を目指す。遠藤邦敏・安心居住推進担当課長によると「住宅セーフティネット制度」での自治体による見守りサービス補助は全国で初めて。
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6・12住まいは人権デー院内集会開催 ほっとプラスの藤田孝典氏が講演「住まいは商品化すべきでない」

2019年06月20日 | 国と東京都の住宅政策
 今年の「住まいは人権デー」は、6月12日衆議院第2議員会館会議室で「参議院選挙と住宅政策を考える懇談会~私の住宅要求、住宅政策にもの申す」と題して国民の住まいを守る全国連絡会(住まい連)、住まいの貧困に取り組みネットワークなど4団体の主催で80名が参加し院内集会が開催されました。

 集会には立憲民主党の尾辻かな子、森山浩行衆院議員、日本共産党の清水忠史衆院議員、山添拓参院議員、社民党の福島瑞穂参院議員、令和新撰組の山本太郎参院議員が出席し連帯の挨拶がありました。

 小田川華子首都大学客員准教授が司会を行い、住まいの貧困ネット世話人の稲葉剛氏が開会挨拶の中で「日本人は住まいに公的支援がないことに疑問を持っていない。マインドコントロールにかかっている。このマインドコントロールをどう脱出するかが大きな課題だ」と訴えました。

 住まい連の坂庭国晴代表幹事が基調講演を行い、住宅関係団体が各党に行った住宅政策と新たな住宅セーフティネット制度の取組み、住まいの貧困解決の方向等のアンケートの回答、及び各党の住宅政策が報告されました。自民党・公明党など与党からは回答がなく、維新を除く野党各党からは持ち家重視から賃貸重視に転換すべきであり、家賃補助など支援制度の創設が強調されていました。

 続いて「現代の貧困と住宅問題~課題と政策を考える」のテーマでNPOほっとプラス代表の藤田孝典氏が記念講演を行いました。藤田氏は「住まいを市場任せに商品化するのはやめるべきである。住宅手当がある欧州各国では住宅は商品化から切り離し人権として位置づけられている。住宅を市場から切り離す運動と政策が必要である」と話しました。

 院内集会に向けてツイッターキャンペーン「♯私の住宅要求」に寄せられた連帯保証人や礼金・更新料などの一時金の請求、入居差別などについて当事者の生の声が発表されました。会場からもシングルマザー、高齢者、公共・民間賃貸住宅の居住者からも発言がありました。
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進まないセーフティネット住宅の登録制度

2019年04月17日 | 国と東京都の住宅政策
 2017年10月にスタートした住宅確保要配慮者(高齢者・障がい者・一人親家庭・低額所得者など賃貸住宅を民間住宅市場で物件を借りるのが困難な人達)の入居を拒否しないセーフティネット住宅の登録制度は、1年半が経過しても住宅の登録が遅々として進んでいません。

 インターネットで「セーフティネット住宅情報システム」から登録住宅の物件を検索することができます。
4月16日に調べたところ、全国で8352戸、東京では296戸が登録されていますが、国は2020年までに登録数17万5千戸の目標に対して、4・7%と大きく遅れています。東京都も2025年までに3万戸の目標に対して僅か0・9%と全く登録が進んでいません。

 今回の新たな住宅セーフティネット制度は、2年前の住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(住宅セーフティネット法の一部改正)に基づいた制度であり、①住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度、②登録住宅の改修・入居への経済的支援(バリアフリーや耐震改修費補助、低額所得者の入居負担軽減・国と自治体で最高月額4万円)、③住宅確保要配慮者のマッチング・入居支援)という3つの柱から成り立っています。

 住宅確保要配慮者の専用住宅に登録すると改修費や家賃低廉化補助が家主に支払われます。但し、住宅の規模・構造設備・家賃など登録基準に適合することが必要とされています。東京都の場合住宅の規模(広さ)などかなり緩和され、シェア住宅など7㎡の面積で登録を認めています。また、八王子市西寺方町の物件(2Kで家賃4万3千円、31㎡の物件は高尾駅から徒歩50分、八王子駅から徒歩70分、バス利用でも30分ほどかかるなど、市場では借り手がいない物件が登録されています。シェア住宅は足立区の物件で1R7㎡と狭く、便所・風呂・洗面所など共有で、家賃月額3万3千円、共益費・管理費1万円と高額です。

 住宅政策に詳しい神戸大学大学院教授の平山洋介氏はセーフティネット住宅の登録制度について「今のところ、ほとんど役に立っていない。登録されるのは、市場で競争力のない物件ばかりだ。困窮者対策というより空き家を抱える家主のための対策のように見える。予算規模も極めて小さい。少額の改修費補助だけでは、高齢者などに貸すインセンティブにならない」と批判しています。

 区の居住支援協議会の会長もつとめられている和洋女子大学名誉教授の中島明子氏は「公的責任による居住保障の実現と住宅困窮の原因である雇用と居住の不安定の解決といった根本的対策の方向へとギアを入れ替え、『セーフティネット』という言葉の呪縛から解き放され、落ちてくる人の一部の人だけを救うセーフティネット政策ではなく、誰もが安心して安全に住める居住政策へ転換し、住宅運動の方向を見定める必要があると思う」と政府の住宅政策の抜本的な見直しを求めています。
 二人の先生のご意見を参考にして、参議院選挙でも住宅の問題を「自己責任」にせず、「家賃補助(住宅手当)」や「公営住宅の確保」などが選挙の争点になるよう、私達も訴えていきたいと思います。(組合ニュースより)
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民法改正に合わせて東京都の賃貸住宅紛争防止条例のモデル説明書 連帯保証人の極度額174万円と記載

2019年03月26日 | 国と東京都の住宅政策
 東京住宅運動連絡会は昨年10月に2019年度東京都予算等に関する要求書を都市整備局長に提出しました。

東京都市整備局より本年2月に文書で回答があり、回答を受けて3月20日に住宅運動団体4団体の代表が再質問を行いました。東借連から細谷会長と高橋事務局長が参加しました。都市整備局と福祉保健局から21名の担当課長等が出席し再質問に回答しました。
 東京都は住宅行政をとりまく環境が大きく変化したとして、住宅行政の体制を強化するため、4月に都市整備局から住宅行政部門を独立させ、「住宅政策本部」を設立します。今年度予算には組織体制整備の予算が盛り込まれています。また、東京都住宅政策審議会では「都営住宅における管理制度の在り方」を審議中で、3月に「中間とりまとめ」が発表され、パブリックコメントの募集では東借連・公住協など3団体が意見を提出しました。

 今回の都営住宅の管理制度の具体的な施策の展開の方向として、①子育て世帯への支援の一層の充実として「期限付き入居期間の延長と対象の拡大」、②単身者の入居制度の拡大、「若年単身者の入居を可能とする仕組み・単身者の住戸あっせん基準の弾力化」、③高齢者への生活支援サービスの向上等、東京都が一貫して拒否してきた制度の見直しが議論されるなど一定の変化がありました。

 今回の都市整備交渉でもこれらの問題が議論されましたが、都営住宅の新規建設は行わない等ストック重視の姿勢は変わらず、住宅運動団体の代表からも「都営住宅の供給を増やさなければ、都営住宅の応募者が増えるだけで根本的な解決にはならない」と批判の声が上がっていました。また、新たな住宅セーフティネット制度に基づく高齢者・障害者・低額所得者等の入居を拒否しないセーフティネット住宅の登録が進んでいない問題も指摘され、具体的な支援策を要望しました。登録住宅の中には劣悪なシェアハウスが多く、住宅困窮者のための登録制度になっていないと問題点を指摘しました。

 また、都の賃貸住宅トラブルガイドランについて質問し、民法改正を踏まえて改訂された賃貸住宅紛争防止条例に基づくモデル説明書の中で「連帯保証人型」の「極度額」174万円と記載されているが何を根拠にしているのか問いただしました。都は裁判所の判決における連帯保証人の負担額の平均値13・2ヵ月を参考にした答弁。極度額を記載する必要はなく削除すべきと強く要求しました。
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「高齢者OK」賃貸 低迷…一人暮らし支援 登録目標の2%

2018年10月30日 | 国と東京都の住宅政策
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20181027-OYTET50012/
 一人暮らしの高齢者らの入居を拒まない賃貸住宅を増やすため、国土交通省が昨年10月に始めた「住
宅セーフティネット制度」が低迷している。同省は2020年度末までに17万5000戸を登録する目
標を掲げるが、開始1年での登録戸数は約3800戸と目標の2%どまり。同省は煩雑な登録手続きを簡
素化するなど対策に乗り出した。
 単身高齢者や低所得者、外国人らは、孤独死や家賃滞納を心配する不動産会社や家主に入居を拒まれる
ケースが多い。一方、少子高齢化で空き家やアパートの空き室は増えている。こうした人たちが住宅を借
りやすくするため、同省は、入居を拒まない物件情報を登録し、専用のホームページで紹介する制度を始
めた。
 登録された住宅の家主には、国と自治体が改修費を最大200万円補助するほか、家主が家賃を減額す
れば1戸あたり、毎月最大4万円まで減額分を補助する。さらに、一人暮らしが不安な入居者を見守る団
体の運営を補助する仕組みも取り入れた。
 しかし開始1年での登録戸数は全国で3834戸(10月26日現在)にとどまる。その大半が大阪府
(2712戸)で、次に多いのが東京都の267戸。一方、茨城や栃木、三重など14県では登録戸数が
ゼロだった。ある自治体担当者は「家主側からの問い合わせすらない」と話す。
 同省は、制度が知られていないことに加えて、登録手続きが煩雑で、手数料を求める自治体もあること
が背景にあると見ている。また、改修費や家賃の補助を行うかどうかは自治体任せで、今年度、いずれか
の補助を行うのは30自治体にとどまる。
 使い勝手を良くするため、同省は7月に登録手続きを簡素化。これを受けて手数料を廃止した自治体も
ある。今後、各地で賃貸業者向けの説明会を開き、PRを強化する方針だ。日本賃貸住宅管理協会(東
京)は、「家主側の制度への認知度が低いが、空き家の活用は大きな課題。登録のメリットをアピールし
て増やしていきたい」としている。

  ■住宅セーフティネット制度  昨年10月に改正された住宅セーフティネット法に基づく仕組み。家
主が、高齢者らの受け入れを拒まない賃貸住宅として都道府県などに申請。耐震性や部屋の広さなどの基
準を満たせば物件が登録される。拒まない対象者を、高齢者のみ、障害者のみ、などと限定することもで
きる。
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東京住宅運動連絡会が2019年度の予算要求、都市整備局、都知事、都議会各派に提出

2018年10月29日 | 国と東京都の住宅政策
 東借連や公住協・公社自治協など8団体が参加する東京住宅運動連絡会は、10月17日の午後都庁を訪れ、2019年度東京都予算に関する要求書を東京都市整備局長、都議会各派、東京都知事に提出しました。東借連から細谷事務局長、高橋理事が参加しました。

 要求項目は、都営住宅の新規建設と供給戸数の大幅な増加、新たな住宅セーフティネット制度の住宅確保要配慮者向けの登録住宅の促進、ネットカフェ難民やホームレスに対する都営住宅の目的外使用による活用、若者対する住宅手当制度や住宅困窮者に対する家賃補助制度の創設など70項目に及びます。

 都市整備局交渉では、広報広聴担当の鈴木課長等が応対し、同連絡会事務局の都庁職住宅支部の北村氏が要求項目の趣旨等を説明し、各団体が要求項目を説明しました。

東借連の細谷事務局長は、民間借地借家人の要求として、賃貸住宅の住宅弱者の入居差別の禁止、家賃債務保証会社の悪質行為の禁止、契約更新時の更新手数料を依頼者でない賃借人から請求しないよう指導の徹底、民法改正に対応した都の賃貸住宅トラブルガイドラインの見直し、底地買い業者による借地人に対する底地の買取りや借地権の売却の強要などの悪質な行為に対する指導の強化など10項目に対する要求を説明しました。

 その後、都議会各派を回って要求書を提出しました。日本共産党都議団は曽根都議が応対し、「今回から都市整備局の担当に復活しました。各団体の要求については都議会で質問し、実現に向けて頑張ってまいります」と発言しました。

最後に、都知事秘書の徳田担当課長に要求書を提出。徳田担当課長は「要求事項は承りました。各局にしっかりと伝えます」との答弁がありました。
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住宅政策」が社会保障として重要なことが分かる映画『東京難民』

2018年10月24日 | 国と東京都の住宅政策
住宅政策」が社会保障として重要なことが分かる映画『東京難民』
三原 岳
https://diamond.jp/articles/-/182712

 古今東西の映画を通じて、社会保障制度の根底にある考え方や、課題などを論じていく連載「映画を見
れば社会保障が丸わかり!」。第21回は、一見すると社会保障制度と無関係に映るかもしれませんが、暮
らしに非常に密接に関係している住宅政策を取り上げます。(ニッセイ基礎研究所准主任研究員 三原
岳)

 住宅と聞くと、「社会保障なのか?」という印象を持たれるかもしれません。多くの社会保障政策が厚
生労働省の担当であるのに対し、住宅政策は国土交通省が所管していますし、国内外の福祉国家研究でも
住宅政策は対象外でした。
 ただ、住まいが決まらなければ生活は不安定になるので、住宅政策は社会保障の1つと理解できます。
この点を考える素材として、2014年公開の『東京難民』を取り上げましょう。

住まいを失ったことで生活が不安定化に

 主人公は、「多摩国際大学」という大学に通う21歳の大学生、時枝修(中村蒼)。親からの仕送りを受
けつつ、何となくダラダラと学生生活を送っていました。
 ところがある日、授業に参加するため、教室前の学生証を読み取る機械に学生証をかざしたところ、読
み取りエラーが出てしまいます。そこで大学の事務局を訪ねると、そこで衝撃的な言葉を聞かされます。
学生証が無効になっていること、前期の学費が未納で大学を除籍になっているというのです。
 慌てた修は北九州市の実家に住む父親に連絡しますが、誰も電話に出ません。修が大学に進学した3年
前、母親が死亡、その後に設計事務所を営む父親がフィリピン人の女性に金を貢ぐようになったため、実
家とは音信不通でした。

「ゼロ・ゼロ物件」で追い出されて“難民”に

 久しぶりに実家に帰ってみると、いわゆる夜逃げの状態。学費だけでなく仕送りも止まったため、途方
に暮れていると、家のチャイムが鳴ります。ドアを開けると、家を管理する「東亜パレス不動産」の荒木
(吹越満)という男が立っていました。
 荒木 「昨日がこちらのお部屋の利用料の支払期限だったんですけれども」
 修  「家賃はおやじが…」
 荒木 「お家賃ではなく『利用料』です。ご入金がありませんでしたので、ご通告どおり本日で契約解
除ということでよろしいでしょうか?はい、では直ちに退出していただきたいんですけれども、ご準備の
方はお済みでしょうか?」
 修  「急にそんなことを言われても…」
 荒木 「あの先日、その旨は内容証明郵便にて通知させていただいているはずですが」
 修  「でも、一方的に出ていけなんて、借りている側の権利だってあるじゃないですか」
 荒木 「あっ、あの、このお部屋の契約が賃貸借契約ではないことをご存じですよね?お客様がなさっ
た契約は、あの冷蔵庫などの設備がついたこのお部屋の鍵の利用権の契約なんです。ですから入居時は敷
金も礼金も不要でしたよね?残念ながらお客様には居住者としての権利はないんですよ」
 これは2007~08年に話題になった「ゼロ・ゼロ物件」を描写しています。つまり、敷金や礼金をゼロと
する代わりに、賃貸料ではなく「鍵の利用権」などの名目で部屋を貸し、入金を怠った場合に退出を命じ
る手法です。これは借主の権利を保障する借地借家法の適用外なので、「借りている側の権利」という修
の申し立ては即座に否定されたのです。
 こうしたやり取りの後、荒木は修に対し、2日間だけ待つこと、それまでに入金を確認できない場合は
強制的に退出するよう言い渡します。
 そこで修は金策に努めますが、うまくいかず、なけなしの金のほとんどをスロットで失います。さら
に、帰宅すると自宅の鍵が無断で取り換えられていました。電話で苦情を申し立てても、荒木は超過分の
利用料と原状回復費用を入金せよ、それまでは荷物を担保として預かると冷たく言い放ちます。
 ここから修の「難民」が始まります。ネットカフェに宿を求めつつ、ティッシュ配り、薬の治験のアル
バイト、ホストなど、さまざまな仕事を転々とするようになるのですが、少し過剰な演出も含めて詳細は
DVDでご覧いただくとして、こうした展開を見ると、生活を不安定にした原因が「住まい」だったこと
になります。

親の「解散宣言」でホームレスに

 実話をベースに2008年に製作された『ホームレス中学生』を見ても、社会保障政策としての住まいの重
要性を認識します。
 映画の主人公は田村裕(小池徹平)。中学校から帰宅すると、家の玄関先に家具や荷物が全て家から運
び出されている様子にビックリします。
 しかも、玄関には「差し押さえ」と書かれた張り紙が張られているだけでなく、家の鍵も取り換えられ
ており、家の中に入れません。父親の借金で家が差し押さえられたのです。
 相次いで帰宅した姉の幸子(池脇千鶴)、兄の研一(西野亮廣)も事態がのみ込めず、やがて個性的な
父の一朗(イッセー尾形)が帰って来るや、「厳しいとは思いますが、これからはおのおのが頑張って生
きてください。はい、解散!そしたら元気でな」と一言。
 その瞬間、研一、幸子、裕の3人はホームレスとなり、裕は公園の滑り台で寝泊まりしたり、水を飲ん
で空腹を満たしたりして過ごします。
 結局、裕の同級生の親の川井夫妻(宇崎竜童、田中裕子)、民生委員の西村スミ子(いしだあゆみ)の
善意と協力で家を借りることができ、曲がりなりにも3人は一緒に過ごせるようになるのですが、住まい
が不安定になれば、仕事や学業も安定しない以上、住宅政策が社会保障政策の1つであることに気づかさ
れます。
 実際、近年では住宅政策を社会保障の視点でとらえ直す動きがあります。例えば、住宅政策の国際比較
を通じて、持ち家比率が高い国では福祉予算が少ない、言い換えると持ち家志向が強い国は住宅政策を社
会保障として見なしていない傾向が指摘されています(ジム・ケメニー『ハウジングと福祉国家』)。
 北欧などの国では、住宅手当や公営住宅の整備などが展開されていますし、実は日本も戦前には「住宅
課」が厚生省(現在の厚生労働省)に置かれた時期があったので、むしろ戦後の日本が例外だったのかも
しれません。

「住宅すごろく」のゴールは戸建て住宅

 では、戦後日本の住宅政策はどうだったのでしょうか。戦後、産業構造の変化や高度経済成長を受け
て、都市部への人口移動や核家族化などが進展、戦後は住宅を多く整備する「量」的確保を重視していま
した。そして、その方策として採用されたのが団地整備、持ち家の取得支援、会社による社宅整備です。
近年は国民の意識や企業の行動が変わってきていますが、民間企業や市場経済に多くを頼る住宅政策だっ
た点は指摘できます。
 この結果、「学生時代のアパート→社宅→結婚後に少し広めの賃貸マンションに引っ越し→分譲マン
ションを購入→庭付き一戸建てを郊外に建設」といった形で住み替えることが一種の標準となりました。
2016年に改定された国の「住生活基本計画」では、こうした住み替えを「住宅すごろく」と形容していま
す。
 以下、住宅すごろくを含めて、戦後の住宅政策について、いくつかの映画で見ていきましょう。まず、
団地整備に関しては、1955年に日本住宅公団(現在の都市再生機構)が設立されるなど、3大都市圏の近
郊に団地が次々と整備されました。
 その様子については、1961年製作の映画『喜劇 駅前団地』に表れています。映画では、団地増設を見
越して病院を建設しようとする2人の医師(森繁久彌、淡島千景)、土地を売ろうとする農民(伴淳三
郎)、その妻(森光子)を中心としたドタバタが描かれているのですが、その間に建設中の「百合ヶ丘団
地」が随所に登場し、高度経済成長期の経済や社会の雰囲気を理解できます。
 住宅すごろくの「あがり」に該当する持ち家取得支援については、住宅ローン減税、住宅金融公庫(現
在の住宅金融支援機構)による低利融資などの支援策が講じられ、戦後のインフレと相まって国民の間で
は「持ち家信仰」が形成されました。

寅さんシリーズでも持ち家に対する憧れの念

 その場面は「寅さんシリーズ」の第26作、1980年製作の『男はつらいよ 寅次郎かもめ歌』にありま
す。
 シリーズ全体の説明は余り要らないと思いますが、「フーテンの寅さん」こと車寅次郎(渥美清)を中
心に人情味と旅情あふれるストーリーが展開されるほか、「マドンナ」と呼ばれる女優に寅さんが失恋す
る話が登場します。
 第26作では、寅さんが実家の団子屋「とらや」の敷居をまたぐと、妹の諏訪さくら(倍賞千恵子)から
マイホームを建てたことを知らされます。実際には、とらやを経営する叔父の竜造(下條正巳)から資金
援助を受けていたのですが、それでも寅さんは以下のように述べます。
 「うち持ったのか、お前たち。(略)2階建て?ほおそら大したもんだ。いや俺もね、心配してたの、
いつまでこいつらがあの潜水艦みたいなアパートに住んでんのかなと思って」
 同じような話は2001年に三谷幸喜監督が製作した『みんなのいえ』でも登場します。具体的には、家を
新築しようとするシナリオライターの飯島直介(田中直樹)と妻の民子(八木亜希子)に対し、父・長一
郎(田中邦衛)の大工仲間が「その歳で家建てるなんて、こりゃ大したもんだ」と声を掛ける場面です。
これは「住宅すごろく」を早くあがった夫妻に対する称賛の言葉と受け止められます。
 こうした場面やセリフは、日本人の持ち家に対する憧れの念を反映しているのかもしれません。
 会社による社宅整備については、1953年製作の『東京マダムと大阪夫人』という映画があります。ここ
では会社が整備した「あひるカ丘」の戸建て社宅に住む一家を主人公にしつつ、 伊東家の夫妻(三橋達
也、月岡夢路)を中心に、近所に住む会社の同僚たちとのドタバタを描いており、住宅政策における社宅
の地位を見て取れます。
 しかし、こうした住宅政策には漏れが生じます。『東京難民』『ホームレス中学生』のように家を失
い、「ネットカフェ難民」「ホームレス」となった人たちだけでなく、持ち家を建てるだけの所得を持て
なかった人、あるいは会社を退職したり、所得が減ったりした高齢者です。言い換えると、年齢や所得、
仕事などの理由で「住宅すごろく」にうまく乗れなかった人です。
 こうした人たちについては、安い賃料で家を提供する自治体による公営住宅の整備、あるいは生活保護
の住宅扶助という仕組みがありますが、「住宅すごろく」に乗れない人は必ずしも少数派とは言い切れな
くなっています。
 例えば、戦後のようにインフレや経済成長を期待できる時代であれば、「寅さん」シリーズのさくら夫
妻のようにコツコツ働くことで、マイホームを持てる可能性がありましたが、今のような低成長時代では
難しい面があり、やはり社会保障として住宅政策を意識することが求められます。

さまざまな映画で描かれる高齢者をめぐる住まいの課題

 実際、そうした政策は少しずつ強化されています。例えば、2017年10月に改正住宅セーフティネット法
が施行され、高齢者、低所得者、子育て世帯などの「住宅確保要配慮者」の入居を拒まない賃貸住宅の登
録制度の創設などを進めるとしています。
 さらに、国土交通省は厚生労働省と共管する形で、「サービス付き高齢者向け住宅」という制度を2011
年にスタートさせました。これは介護・医療制度との連動を視野に入れつつ、高齢者を支援するサービス
を提供する賃貸住宅であり、既に約23万戸が登録されています。
 ただ、過去にさまざまな制度改正を積み重ねた結果、高齢者の住まいに関する制度は複雑化していま
す。その一端を映画で取り上げると、息子と認知症の母をめぐる物語を描いた『ペコロスの母に会いに行
く』という2013年公開の映画では、「グループホーム」(認知症共同生活介護)と呼ばれる施設が登場し
ます。これは家庭に近い環境で、少人数の認知症の人を受け入れる介護保険のサービス類型になります。
 さらに、要介護状態となった越前和紙職人を1人の主人公とした2016年公開の『つむぐもの』では、ブ
レークする前の吉岡里帆が新人介護職員として登場しています。そして、そのロケ地となったのは特別養
護老人ホームという類型の施設。要介護3以上の重度な人を受け入れる介護保険の施設です。

複雑に入り組んだ制度を簡素にする視点も

 認知症になった母親との生活を描いたドキュメンタリー映画シリーズ『毎日がアルツハイマー』の最新
作では、娘の映画監督が股関節を手術した際、母親を「お泊まりデイサービス」に預ける話が出てきま
す。こちらも泊まり機能を持ったサービスであり、少し説明を要します。
 介護保険制度では、在宅の人を対象に「通所介護(デイサービス)」と呼ばれるサービス類型がありま
す。しかし、デイサービスは通常、日中しか高齢者を預からないため、夜はスペースが空いています。そ
こで、このスペース(例えば、2階の空室)にベッドを入れて高齢者を一時的に受け入れるのが「お泊ま
りデイ」です。
 お泊りデイは制度上、介護保険サービスにはならない分、価格や質にバラツキがあり、数年前には劣悪
な環境で高齢者を受け入れている事業者の実態も顕在化したのですが、制度に縛られていない分だけ使い
やすいということで、利用者には重宝されている側面もあります。
 このほか、「特定施設」と呼ばれる有料老人ホーム、退院した高齢者を自宅に戻すまでの間にリハビリ
テーションなどを提供する老人保健施設、家族の用事などの時に在宅の高齢者を一時的に受け入れる短期
入所生活介護(ショートステイ)など、いろんな類型があります。
 私のようなオタク(!?)は介護に関する映画を見ると、「どんなサービスが登場するか?」を細かく
チェックしていますが、多くの観衆は「施設」「泊まり機能」ぐらいに大まかに理解しているのかもしれ
ません。
 言い換えると、マニアな楽しみができるほど制度が分かりにくくなっているのです。今後、高齢化が一
層進む中、高齢者を受け入れる住まいの量的な整備とともに、複雑に入り組んだ制度を簡素にする視点も
求められているのではないでしょうか。


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東京住宅運動連絡会が2019年度予算要求提出

2018年10月22日 | 国と東京都の住宅政策
 東借連や公住協・公社自治協など8団体が参加する東京住宅運動連絡会は、10月17日の午後都庁を訪れ、2019年度東京都予算に関する要求書を東京都市整備局長、都議会各派、東京都知事に提出しました。東借連から細谷事務局長、高橋理事が参加しました。
 要求項目は、都営住宅の新規建設と供給戸数の大幅な増加、新たな住宅セーフティネット制度の住宅確保要配慮者向けの登録住宅の促進、ネットカフェ難民やホームレスに対する都営住宅の目的外使用による活用、若者対する住宅手当制度や住宅困窮者に対する家賃補助制度の創設など70項目に及びます。

 都市整備局交渉では、広報広聴担当の鈴木課長等が応対し、同連絡会事務局の都庁職住宅支部の北村氏が要求項目の趣旨等を説明し、各団体が要求項目を説明しました。

東借連の細谷事務局長は、民間借地借家人の要求として、賃貸住宅の住宅弱者の入居差別の禁止、家賃債務保証会社の悪質行為の禁止、契約更新時の更新手数料を依頼者でない賃借人から請求しないよう指導の徹底、民法改正に対応した都の賃貸住宅トラブルガイドラインの見直し、底地買い業者による借地人に対する底地の買取りや借地権の売却の強要などの悪質な行為に対する指導の強化など10項目に対する要求を説明しました。

 その後、都議会各派を回って要求書を提出しました。日本共産党都議団は曽根都議が応対し、「今回から都市整備局の担当に復活しました。各団体の要求については都議会で質問し、実現に向けて頑張ってまいります」と発言しました。
最後に、都知事秘書の徳田担当課長に要求書を提出。徳田担当課長は「要求事項は承りました。各局にしっかりと伝えます」との答弁がありました。
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高齢者の住まい探し(下)入居後は 社協が見守り

2018年07月26日 | 国と東京都の住宅政策
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20180718-OYTET50054/

安否確認 家財処分…大家の理解促す

 孤独死などを懸念し、高齢者への賃貸に二の足を踏む大家や不動産会社に対し、入居後の見守りから、
葬儀や家財処分まできめ細かく対応する枠組みを示すことで、転居先探しを支援する取り組みもある。
 福岡市の賃貸アパートで、独り暮らしをする女性(83)のもとには、毎朝9時50分になると、安否
確認の電話が掛かってくる。「体調はいかがですか?」。オペレーターの問いかけに、女性は「快調です
よ。今日はプールに泳ぎに行くんです」と元気に応じた。
 安否確認は、福岡市社会福祉協議会が中心になって運営する「住まいサポートふくおか」が用意した
サービスの一つ。転居が必要になった65歳以上の住まい探し支援のため、2014年10月に始まっ
た。安否確認は福岡市の委託を受けた民間会社が無料で行う。ほかのサービスには、葬儀、入居者が亡く
なった後の清掃・原状回復、納骨などの有料のものもある。
 女性は16年4月、経済的な事情で現在のアパートに転居した。家賃は月3万円。それまで住んでいた
マンションの家賃は月7万円で、「月13万円の年金生活では負担が重かった」。それでも、貯金を取り
崩しながら暮らしていたが、ついに、借金までするようになり、転居を決意した。しかし、「不動産会社
には、年齢を理由に相手にしてもらえなかった」。
 せっぱ詰まった女性は福岡市に相談。市から連絡を受けた福岡市社協が支援に乗り出した。担当者は面
談を通じ、女性には子供がなく、親戚とも疎遠であることを把握。独り暮らしの高齢者でも新居を見つけ
やすくするため、用意したサービスのうち、安否確認と緊急通報機器の利用を提案した。
 その上で担当者は、女性の置かれた状況と社協による支援態勢を不動産会社に説明。不動産会社は、
「見守りがあるので安心できる」と、大家を説得した。家探しから3か月後、女性は希望通り、住んでい
た地域で部屋を見つけ、家賃も従来の半分以下に抑えることができた。
 社協の取り組みに、協力を申し出ている不動産会社は福岡市内に計41店舗(7月6日現在)ある。ガ
ンツ不動産もその一つで、17年11月以降、立ち退きなどの理由で転居を迫られた3人に対し、物件探
しから入居まで支援した。
 同社の森田光俊社長は、高齢者の入居をリスクと捉える大家が多いとする一方、「今後も増える高齢者
に転居先を紹介する事業はビジネスとして成り立つ」と協力の狙いを話す。「見守りや死後の家財処分な
どの支援があるため、大家の理解も得やすい」という。
 支援を始めて間もなく4年。この枠組みを利用して、80歳代を中心に約180人が転居することがで
きた。福岡市社協の担当者、栗田将行さんは、「家族や親族の関係が希薄になる中、転居に困る高齢者は
今後も増えるだろう」とした上で、「地域にあるサービスを組み合わせ、その役割を代替していくことが
必要だ」と話す。

高齢者向け賃貸専門会社登場

 高齢者向けの賃貸物件を専門にする会社もある。都内を中心に約400室を扱う「R65不動産」(東
京都杉並区)だ。
 同社の特徴は、入居希望者への詳細な聞き取り。その内容は、希望する部屋の間取りや家賃はもちろ
ん、年金収入や貯蓄、健康状態、通院先まで及ぶ。社長の山本遼さん(28)は、「そんなことまで聞か
れるの?と言われることもありますが、大家さんの不安を軽減して、入居の理解を得るには大切なこと」
と話す。
 ほかにも、独り暮らしの入居者に介護が必要になった場合、地域にどんな窓口があるかや、見守り用の
機器の利用などについても大家に丁寧にアドバイスする。「学生などに比べて、長く住んでくれる、入居
マナーも良いなど、高齢の入居者ならではのメリットもある」と山本さん。2015年の事業開始以降、
相談件数は増えており、昨年は約100人が、同社の仲介で転居したという。(この連載は、社会保障
部・板垣茂良が担当しました)
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住宅4団体が学習交流集会「家賃とはなにか、どうあるべきか」

2017年10月12日 | 国と東京都の住宅政策
 借地借家法改悪反対全国連絡会主催の「学習交流集会」が9月30日午後1時30分からUR赤羽台団地集会場で60名が参加して開催された。
 講演は東京都公社自治会協議会の奥脇茂事務局長より「家賃とはなにか、どうあるべきか」とのテーマで行われた。家賃を考える前に「住まい」について、国連人間居住会議(ハビタット)事務局による7つの住まいの定義を説明した。国連は居住の権利は基本的人権と位置づけ、日本政府は宣言に調印し、努力する義務が課せられているにもかかわらずこの義務怠っていると批判した。

 奥脇氏は、家賃とはなにか、家賃が成立する歴史、現代の日本の家賃はどのように決められているか、公社住宅の家賃算定の仕組みについて資料に基づき詳細に報告した。家賃はどうあるべきかでは、「すべての国民が安心して持続可能な住宅確保ができるよう、適切な住居費負担率を所得の10%以下に定める」等5点に渡って問題提起を行った。

 続いて、公団・公社・公営住宅の各自治会の代表がそれぞれ報告を行い、東借連の細谷紫朗事務局長が最近の民間の借地借家人のめぐる実態について、多摩借組の組合員調査を基に月収に占める家賃の割合が31%超の割合が70%と、民間の借家人は高家賃負担で苦しんでいる実態等を報告した。
(東京借地借家人新聞より)
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住宅セーフティネット法が改正 家賃補助の本格的な実施に向け運動の強化を

2017年04月21日 | 国と東京都の住宅政策
 高齢者、障害者、子育て世帯、低額所得者被災者など住宅確保が困難な人への居住支援を強めるための住宅セーフティネット法の改正案が4月に衆議院に続いて参議院でも全会一致で可決しました。

法案の審議に先立って住宅3団体では全政党に対し、改正案に対する要望書を提出し、3月21日には院内集会を開催しました。こうした運動が効果を上げ、4月7日の衆議院、4月18日の参議院の国土交通委員会の質疑では、住宅三団体から稲葉剛氏(住まいの貧困に取り組むネットワーク世話人)、坂庭国晴氏(住まい連代表幹事)、塩崎賢明氏(日本住宅会議理事長)が参考人として意見陳述を行いました。

 稲葉氏は、改正案の審議を契機に住まいの貧困に対する実態調査を国交省と厚労省が連携して行うことを要望し、貧困対策としての住宅政策として低家賃住宅の供給を促進するために、家賃低廉化を予算措置にとどまらず法案の条文に盛り込むよう求めました。

 坂庭氏は、公的賃貸住宅が削減される中で現行法にある公的賃貸住宅の供給促進を重視すべきであること、家賃債務保証会社に対する規制の強化、住宅確保要配慮者の中の高家賃負担、最低居住面積水準未満世帯に対して家賃補助を行う必要性を強調しました。塩崎氏は、東日本大震災等の経験から被災者について災害発生から3年を経過しないものとの法案の規定は不十分であると指摘しました。
 今回の法案では家賃低減化(家主への家賃補助)は法案には盛り込まれず、僅か3億円の予算措置で不十分な内容ですが、国会の付帯決議を活用して借主への家賃補助の実現に向け、足掛かりにしていくことが重要です。
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17年度予算が成立 セーフティネットと空き家に重点 国交省ストック重視の政策に

2017年04月10日 | 国と東京都の住宅政策
http://www.jutaku-s.com/newsp/id/0000031919

 17年度予算が3月27日の参議院本会議で与党などの賛成多数で可決した。国土交通省予算は一般会計で5兆7946億円。そのうち公共事業関係費が5兆1807億円に上る。当初予算として初めてゼロ国債を計上した。
 17年度は東日本大震災や熊本地震などによる被災地の復旧・復興の加速、国民の安全・安心の確保、生産性向上による成長力の強化、地域の活性化と豊かな暮らしの実現の4分野に重点的に取り組む。
 住宅対策の予算額は1503億1900万円。新たな住宅セーフティネットの創設に向けては予算額27億円を計上した。子育て世帯や高齢者など、住宅確保要配慮者の増加に対応するため、専用住宅の登録制度など設け、住宅の改修や入居者負担の軽減、居住支援協議会などによる居住支援活動への支援を行う。
 空き家対策総合支援事業は前年より増額され23億円の予算が付いた。「空き家所有者情報提供による空き家利活用推進事業」の創設には、3800万円の予算をかける。空き家所有者情報を活用するモデル的事業に取り組む地方公共団体を支援する。取り組み結果から定型化を図り、全国的な普及を狙う。空き家所有者情報については、先日国交省がガイドラインをまとめ、所有者の同意があれば、市町村は不動産業者に提供できることとなった。
 長期優良住宅化リフォーム推進事業は延長され、41億円の予算措置。急激な大工技能者の減少・高齢化に対応するため創設された「地域に根ざした木造住宅施行技術体制整備事業」は4億6500万円の予算となった。また「フラット35子育て支援型」を創設する。
 公的賃貸住宅の建て替え・集約化と併せて福祉施設などの整備を進める「地域居住機能再生推進事業」の予算額は245億円。「子育て支援タイプ」の創設・追加を行い、保育施設の併設などに重点を置く。
 「全国版空き家・空き地バンクの構築」には1億1000万円を計上。現存する各地の民間バンクなどを標準化し統一。ワンストップで全国の物件を検索できる仕組みの構築を目指す。クラウドファンディングなどの小口投資に向けたガイドライン作成には、2300万円の予算措置となった。
 標準契約書の見直しも含めた賃貸住宅の適正管理推進には1400万円。住宅・建築物の省エネなどの「環境・ストック活用推進事業は拡充され、103億5700万円。更にインスペクション普及促進に向けての説明会など広報活動、適正な建物評価手法の円滑な施行に向けては1400万円の予算措置となった。

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住宅セーフティネット法改正 平成32年度までに17万5000戸の登録目指す

2017年02月07日 | 国と東京都の住宅政策
高齢者や子育て世代、低所得者など住宅確保要配慮者の住居確保に関する「住宅セーフティネット法」の改正法案が、今国会で成立する見通しだ。
法案には、住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅として自治体に登録した物件への家賃、家賃債務保証費用、住宅改修費それぞれに対する補助、さらに居住支援法人の新設などが盛り込まれる。
セーフティネットの法改正により住宅確保要配慮者向けに民間賃貸住宅の空室の提供を促す。
今回の住宅セーフティネット法の改正では、本紙1月9日号でも報じたように、高齢者、低所得者、子育て世代、被災者などの住宅確保要配慮者に限定した「専用住宅」として賃貸住宅を自治体に登録すると、最大4万円までの家賃補助と家賃債務保証料最大6万円までの補助が受けられる点が注目されている。
この専用住宅では、登録する住宅の単位を1住戸から可能にすることでで、登録のハードルを下げている。
同時に国交省が注力しているのが、専用住宅とは別に住宅確保要配慮者の入居に限定はしないが、拒まない賃貸住宅の登録だ。
登録済みの住宅の情報を開示することで、入居を促進しやすくする。
専用住宅を含む登録した住宅ではすべての住宅要配慮者を対象にしなくても良い。
例えば、高齢者や被災者のみ入居を拒まないという選択ができる。
ただ、「箱は整備されても、人のマッチングの課題は残る」(国交省住宅局住宅総合整備課賃貸住宅対策室立岩里生太室長)というように、空室を保有している家主と入居したい住宅確保要配慮者の円滑なマッチングの仕組みの構築が重要だ。
そこで、今回両者のマッチングを担う「居住支援法人」を新設する。
居住支援法人は、自治体にある居住支援協議会の活動の核になる団体と位置づけ、都道府県から指定を受ける。居住支援法人として想定しているのは、福祉系NPOや社会福祉法人、CSR活動を行う一般企業、そして、不動産会社だという。
居住支援法人の具体的な役割としては、住宅確保要配慮者の相談窓口となり、相談に応じて、登録住宅の情報提供、入居後のフォロー、そして、家賃債務保証事業も行う。
家賃債務保証事業を担うとなると、一般的に住宅確保要配慮者は家賃滞納リスクが高いため、居住支援法人には大きな負担になりかねない。
そのため「家賃債務保証事業については、住宅金融支援機構が家賃保証保険を担う計画で動いている」(立岩室長)。
不動産会社が居住支援法人になれば、住宅確保要配慮者の情報が入手しやすくなるというメリットがあるだろう。

代理納付の拡大図る

今回の法改正では、生活保護受給者に対する住宅補助費が直接貸主に支給される「代理納付」拡大の狙いもある。
生活保護受給者の住宅補助費の代理納付の現状は、公営住宅が6割あるのに対し、民間住宅等は13%程度と少ない。
そのため、住宅補助費を使い込んでしまい、家賃滞納してしまう受給者もおり、入居促進が図りにくいことがあった。
一方で、代理納付が進まなかった理由として、貧困ビジネスの悪用に対する懸念や居住が安定しないため転居頻度が多くなり自治体にある福祉事務所の手続きが煩雑になるなどの理由があった。
そこで、今回の制度改正では、住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅の登録によって、貧困ビジネスの排除が可能であること、居住支援法人の新設によって入居後の見守りサービスなどをケアすることによって居住の安定を図ることが可能だ。
さらに登録した住宅に住む受給者が家賃滞納を起こしそうな実態がある場合、家主から代理納付の変更に関する通知を福祉事務所にできる。
その通知事実の確認の義務がある福祉事務所が、代理納付の判断をし、法律手続きにのっとって、代理納付を進めていくことができる。
同制度の施行は国会での可決、公布を経て、今秋を見込んでいる。
国交省は平成32年度までに17万5000戸の住宅確保要配慮者を拒まない賃貸住宅の登録を目指す。

(全国賃貸住宅新聞より)
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