

透明「それって、康誠に何か
」

一瞬、師匠の顔に影がさしたように見えた

師匠「大丈夫だ
準決勝の時に少し、胸を打たれた
ように見えたからな

ように見えたからな

康誠も自分で分かっていると思うから
この大会は、ここで終了

康誠には、私からそう伝えるつもりだから
」

透明「わかりました
そのつもりでいます・・・。

康誠は
」

師匠「ああ
今、円と一緒にいると思うぞ
」


透明「くすくす
そうですか
」


複雑な気持ちを抱えながらも、大切な親友を想い
誰もいない決勝の舞台へ・・・。
誰もいない決勝の舞台へ・・・。
いかに相手が不戦勝でも、最後の舞台には
ルール上立たなければならない

隣では、美莉が試合を終え、初優勝を噛みしめて
いるのが見える
いるのが見える

透明「美莉のヤツ
大はしゃぎだなぁ~


さてと、俺もこれでおわ ・・・」
目の前には、信じられない光景が

透明「康誠
お前、何して
」


円に肩を借り、舞台を上がってくる康誠

舞台袖では、師匠が今までに見せたことがない
複雑な表情を浮かべていた・・・。
舞台に上がり、康誠から離れる円・・・。
私は何が起こっているのか分からず、困惑していた

透明「こ、康誠
お前、何で


大丈夫なのか
」

嫌な予感が広がってくる・・・。
康誠「ああ
大丈夫だ
それよりも、始まるぞ
親友
」


それよりも、始まるぞ


透明「
」

康誠が今までに見せたことがないほどの気迫と構えをとる

しかし、その構えに纏っている気迫は、明らかに闘気ではなく
黒く重たいものだった
黒く重たいものだった

信じたくなかった・・・さっきまで元気に笑っていた康誠が

なぜ
なぜ
突然こんなことに・・・。


透明「康誠・・・もう、やめよう
俺の負けでいいから
」

俺の負けでいいから

康誠の力が康誠を飲み込んで行くように感じる

康誠「ダメだ
」

透明「
」

康誠「透明・・・最後の頼みだ
本気で立ち会ってくれ・・・頼む
」

本気で立ち会ってくれ・・・頼む

透明「康誠・・・。」
涙が止まらなかった・・・。
康誠は、分かっている・・・。
私は、康誠に何をしてあげられるのだろう



今、私ができることは・・・。
私はゆっくりと開始線の前に歩を進める

康誠「
」

今までで、これほど本気の構えをとったことが
なかった・・・。
透明「康誠
勝負
」


康誠「くすっ
・・・やっぱり、お前は最高だよ


ありがとう

透明・・・お前は・・・俺の・・・ 。」
膝がガクリと折れ、天を仰ぐように倒れ込む康誠に
抱きつく

透明「康誠
康誠
康誠~~~っ
」



悲痛な叫びが会場内にこだまする

直ぐに、師匠が私と康誠を引き離し

康誠をタンカーに乗せて運び出す

冷静さを欠いた円がタンカーに駆け寄るが、
陣と昴がとっさに押さえる

円「康誠~~~
私に、言いたいことあるんでしょ
試合に勝って、優勝した姿を見せてくれるんでしょ



試合に勝って、優勝した姿を見せてくれるんでしょ


ねぇ
康誠~~~


何か、言いなさいよ~~~~~~っ 

お願いだから・・・何か・・・言ってよ~~~
」

泣き崩れる円を、瑠璃が抱きしめる・・・。
しばらくして・・・。
主審「勝者
赤
」


主審の判定が下され、試合が終了した・・・。
舞台には、何かを失った少年だけが残っていた 

続く ・・・。







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