一葉一楽

寺社百景

円成寺 ー 参籠と参拝

2014-06-04 10:37:01 | 寺院

文明四年(1472年)再建の本堂は、焼失前と同規模と云われているが、その庇部に経蔵・米蔵そして参籠所と小部屋を設ける。永正年間(1504-1520年)では、十七日とかなりの長期間の参籠が多かったようだが、その分落書も多かった。再建まもない明応二年(1493年)の落書には、万寿三年(1026年)当山建立、天永三年(1112年)阿弥陀仏安置とあるそうである(「重要文化財円成寺本堂及楼門修理工事報告書」奈良県教育委員会事務局文化財保護課 1961年)。

                 

                    

                                                      楼門

                 

                 

                          本堂

浄土を具現化した空間と、住空間を共存させ、礼拝空間を確保するために、多くは吹き抜けとするのだが、円成寺本堂では舞台を設ける。一棟の仏堂で、藤原道長の法成寺のような空間を構成したかと思わせ,入母屋に庇、孫庇と横に広げ、妻入りにすることで水平性を強調する。

                                   

                                             春日・白山社

                   

                        宇賀神

水平方向はまた東西と南北の二つの方向に分けられる。東西には、街道に沿ってであろうが、春日・白山社が並ぶ。本堂が春日造を模したのでないかと思わせる流れである。命禅開山時の本尊、十一面観音がこの場合ふさわしい。南北には浄土信仰の流れである。本堂の南側には、楼門に遮られるも、苑池、浄土庭園を有する。円成寺の複雑さであろうか。

(注)2014年2月撮影

                

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