イギリス人の友人が100キロ程の山道をとことことおんぼろシトロエンでやってきた。
彼女は60歳の誕生日を迎える直前に成人した子ども達と離婚した亭主をあとに一人でピレネー山脈の麓の小さな村に小さな家を買い住み始めた。
彼女と初めて会ったのは二年前に行なわれたロイヤルバレエの小さなサマーガラコンサートの打ち上げパーティーのときだった。
若い頃はアートスクールで絵を習っていたらしい、その後は先生をしたりアメリカに渡りヒッピーをしたり今はチェロを習い自己流で洋服を作り顧客を持つなどさまざまなことをしてきたようだ。
その彼女は70歳を前に可愛い孫ができイギリスに帰る計画をたてているという。
人里離れた小さな村で特にひどかった今年の寒さのような冬に耐えていくことは70歳を超えたら難しいと悟ったのだろう。
実際ここ南西フランスの冬の寒さは強風が重なったら並大抵なものではない、まして一人暮らしでは悪天候になると家に閉じ込められ忍耐力も必要になってくる。
春と初夏と時おり冬がかわるがわるやってきている今は冬の寒さの償いは体で実感でき冬の寒さは簡単に忘れることができるが10年先のことを考えながらとりあえず春の到来を祝福しましょう。