たとえどんなに愛した家族でも、自分の人生をぴたりと合わせて生きる
のは私は絶対にできないと思っていた。でも夫が認知症になってから
私は自分の人生を夫に焦点を当てて生きていると、誕生日に改めて
気づいた。そうでなければ今でも「ああ幸せ」と言ってくれる介護は
多分できないかもしれないと感じている。お世話になっているデイホーム
では、献身的に介護していると言ってくださるが、私はそうは思わない。
ダンス、ヨーガ、心理学、ヒーリングの研修、旅行など、経営者主婦で
ありながら海外へよく行った。その他にも北海道、九州、沖縄など
全国レベルで講演活動もした。お手伝いさんはいたが、長い留守期間は
家政婦さんをお願いしていたので、家族には迷惑はかけないと思っていた。
最近のことだが、近くに住んでいる友人に、当時高校生だった息子から
「ママがいつも家にいなくて淋しかった」と、しばらく前に聞いてハッと
した.。その頃経理もお願いしていた、夫の弟の奥さんから「お兄さんは
国宝的な愛妻家」とからかわれていた夫の気持ちなど、全然考えたこと
などなかったのだ。
※大昔能里ダンススタジオ、オープンパーティ準備、こんな嬉しそうな
夫の顔を見たのは初めてかも
夫はいつも飛び回る私を、唯の一度も文句を言わず、世界中に羽ばた
かしてくれた感謝の気持ちもあるため、やさしく介護できるのは確かだ。
今日は私達の68年目の結婚記念日、二人で一泊旅行をするが、新婚旅行
にも行った近い熱海。温泉の野天風呂付の個室を予約した。
夫は最近足がめっきり弱くなったが、小田原までロマンスカーで行く
行き慣れたルートなので、比較的楽に行けるはず。
これが二人で行く人生最後の旅になるだろう。今夜は盛大に乾杯する
つもりだが、常備薬から保険証まで準備は整えた。
老々夫婦、さてどんな旅になるでしょうか?