まだ外は真っ暗な2時30分に出発です。
さっきまでの強い風と雨は、幸いにして止んでくれています。
不安だけどゆっくりならなんとか登れそうという方々と
体力・気力が充実している方々とで2つに分けて、
前者の方々を前にして、後者の方を後ろにして後方から前にエネルギーを送ってもらいます。
いつの間にか「ご縁あってここにいるみんなで一緒に登頂したい!」
という気持ちが出てきて一つのチームへ。
30分ほど歩くと雨が降ってきました。
「雨具を着込み、トレランシューズの方は足にビニール袋を被せていきましょう。
手袋の上にはビニール手袋をしてください。
今やれることは何でもやりましょう!」
今やれることは何でもやりましょう!」
雨は降ってくるけど、幸運にも風は強くない。
フードを被り視野が狭くなったお陰で、
参加者もゆっくりゆっくりと目の前にだけ集中して、
フードの隙間からでるヘッドランプの明かりを頼りに着実に歩いています。
道中に誰かがポケットやザックから落としてしまった様々な魔法のかけらを拾い、
見えない力もお借りするために何でもやらせていただきます。
山小屋の方に声を掛けてみると、
「今、休憩だけはやってないんですよ。宿泊の予約だけなんです。ごめんなさい」
断られてしまうけどこれは想定通り。
「いいペースなので、このまま歩き続けましょうー!!」
外が明るくなりみんなの疲れも出てきた頃、
山頂までの山小屋で最後にあたる3450メートル地点の
御来光館で食事休憩を取らせてもらえるか聞くと「大丈夫ですよ!」との有り難い返事。
「ラーメン、おでん、おしるこ・・・」と威勢よく頼み、
全員が美味しそうに温かい食べ物を食べています。
誰も高山病等の様子もなく食欲も旺盛なので、ホッと一息。
「60年ここで山小屋をやっているよ。あと少しだからがんばんなよ!」
歌謡曲を聴きながら深いしわと微笑ましい笑顔の御来校館の仙人にお礼を伝えると、
「ここでウォーミングアップは終了です!ここから本気を出していきましょう!」
雨もほとんどあがり、山頂までラスト90分が始まりました。
ちょっと歩くけば心臓が激しく鼓動します。
裏からくる方々に道を譲ろうとしても「どうぞ!どうぞ!」お互いに譲り合い。
顔は笑顔でも誰だってここまで来れば苦しいのです。
歩いては休み、歩いては休みを繰り返し、
上を見上げるとガスの隙間から山頂の鳥居が見えてきました。
「生きているうちに富士山に登りたいと思っていたけど、本当に登ることができた!!!」
3年前に股関節の手術をして、生まれてきてから今までの挑戦と言えば、
近所のマラソン大会の3kmに出たことと20kmのウォーキングに参加したことだけという
50代の女性が感嘆の声を挙げる。
「これは私の中で一生自慢できます!なんだか強くなった気がします!」
「一人では絶対無理だけど、みんながいたからここまで頑張れました!」
延々と続く下山の砂利道も
登頂した喜びを噛みしめていました。
足が疲れた方でも楽に進める裏技を使いながら全員が無事に五合目へ到着。
天気予報では8時間ほど雨が降る予定でしたが、実際に降られたのは2時間ほど。
どうやら富士山は温かく迎え入れてくれたようです^^
今回の富士登山に申し込み参加してくださった方々、
Tシャツのデザインとみんなを笑顔にしてくれた宙さん、
随所で様々な配慮をしサポートしてくれた本村トレーナー、
美味しい食べ物と心休まる場所を提供してくれた山小屋の皆さん、
的確な生の富士山情報をくれた富士山ガイドの伊藤さん、
御一行を温かく迎え入れてくれた富士山、
本当にありがとうございました!!
「いい経験はいい人生を創る」
長文をお読みいただきありがとうございました。
おしまい
PS 金星からやって来る余裕がなかったことに猛省中の今日この頃。。。
有り難いことに今週の土日も富士山サポートのご依頼をいただきまた行ってきます!