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公法系訴訟サマースクール2016 特に君が代訴訟

2016-09-03 15:03:02 | 日記
法科大学院生向けに日弁連が開催している公法系訴訟サマースクールが、今年は早稲田大学であり、参加してきました。
それぞれメジャーな事件を素材にした報告・討論が、憲法・行政法について各2本あり、どれも参加して良かったと思わせる有意義なものでした。なかでも東京のいわゆる君が代訴訟の原告代理人を務めた山中眞人弁護士の報告が素晴らしかった(^○^)
初めに判例を確認しておきましょう。最高裁は、卒業式などの君が代斉唱の際の起立斉唱命令は違法ではないが、単なる不起立に許される制裁は戒告だけで、何度不起立が累積しても減給や停職は違法としています。この考え方は、最高裁なりのバランス感覚かと思い、授業でも同趣旨の説明をしてきましたが、それでよいのでしょうか!?
山中報告の肝は、教員が起立斉唱の職務命令に逆らってよいのかという卒業式の場面だけではなく、それまで自由だった都立高校の教育や卒業式に、石原都知事をはじめとする政治が介入したという大きな視点でみなければならないというものでした。卒業式は誰のためにあるのか? 政治家や教育委員会が君が代をちゃんと歌ったよと格好つけるためのものではなく、卒業生が母校や教員・在校生に別れを告げるためのものでしょう。
そう考えるなら、起立斉唱命令以前に、君が代をどうするかはバカな都知事や教育委員会が一律に歌えと指示するものではなく、各高校の卒業生や教員の判断に委ねるべきものです。判例は最高裁なりの良識かと思いますが、問題の本質からはややずれている感があります。
もうひとつ山中弁護士によれば、教員が不利益処分を受けながら抵抗することは、生徒の不起立の自由の防波堤になっている側面があると。まさか最高裁が生徒にも起立せよとは認めないと信じますが、バカな政治家なら言いかねません。
判例を読むことはもちろん大事だけど、その背景も理解しなきゃダメと痛感しました。来年もぜひ参加したいと思います。
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