筒井淳也『仕事と家族』(中公新書、2015年)を読んだ。「日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか」という本である。大雑把に言えば、男性正社員の無限定かつ無制限な働き方が諸悪の根源という主張だ。
私もそう感じていたので共感するところが多かったが、なぜ日本では、共働き世帯でも家事をほとんどしない男が多数なのかという分析が特に面白かった。
よく言われるのは、男性は長時間労働で、したくてもできない。しかし筒井はその要因は少ないという。夫の労働時間の長短による違いはさほどないと。
筒井説は、2つの理由を挙げる。ひとつはほとんどの家庭がそうだから。ホントは平等を望んでいる妻もよそがそうなら仕方ないかと諦める。よそと同じなら安心という日本人の特質がここにも!?
もうひとつは、家事にはやりやすい家事とやりにくい家事があって、もちろん後者が重要だが、男性の家事能力のなさを妻が嫌気して、一から教えるくらいなら-教えても身につくか、身についても本当にやってくれるか……、自分でやるほうがマシとなる。
だいたい男性がする家事の第1にゴミ出しがあるが、どうなの?と思う。もちろんやらないよりはマシだが、ゴミが出せるようにまとめるまでが大変なのに…… いっそ全く家事はしてませんと認めるほうが潔い。
ただ筒井によると、わが国は男女とも、特に食事について高いレベルを求めすぎることが、共働きでも家事は妻、に拍車をかけているのではと述べている。とりあえず腹が満たされ健康を害しないなら良いじゃんとはならない。
なるほど、わが家はいい加減がたいした喧嘩もせずにまあまあ脱線もせずに来られた秘訣かと妙に納得した次第(笑)
筒井さんの別の著作も読んでみたいと思いました。
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