丸山健先生

私が大学で初めて憲法を教わった丸山健先生が亡くなった。92歳。
丸山先生は、昔ながらの学者という感じのお人柄だったが、結構ざっくばらんのところがあり、学生の代表として何かの寄付をお願いに行ったとき「いくら欲しいか？」と予想外の質問をされたこともあった。
憲法の授業で先生が仰っていたことを、今も私は自分の授業で使っている。たとえば、
「結婚は良い相手がいなければしなくても構わないが、選挙には行かなきゃダメだ。投票したい候補者・政党がなければ、嫌だと思う順に消して最後に残った候補者・政党に投票しなさい。結婚には独身で生きるという選択肢があるが、日本に住んでいる限り、好むと好まざるとにかかわらず政治に無関係ではありえないのだから」
ゼミコンパの後に「家に来なさい」というお言葉に甘えて日付が変わろうかという深夜にご自宅にうかがい、奥さまの手料理をご馳走になったことも懐かしい。私がまぐれで大学院入試に合格したことをご報告にうかがうと、わがことのように喜んでくださったのを思い出す。
丸山先生、長い間ありがとうございました。