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集団的自衛権と砂川事件判決

2014-04-20 21:13:16 | 時評
集団的自衛権の行使を憲法が容認している根拠として、半世紀以上前の砂川事件最高裁判決を持ち出そうとする動きがあるそうですね。この話を初めて聞いたとき、私は正直何のこと!?と分かりませんでした。これは取って付けたような理屈にさえなっていません。
分かり切ったことを言うなと叱られそうですが、砂川事件の争点は安保条約に基づく米軍の駐留が9条に違反しないか、でした。最高裁は、9条が禁止する「戦力」には外国軍隊は含まれないとしてこれを合憲と判断しました。
何も関係ないでしょう?(笑) 今朝の朝日新聞で改憲派憲法学者として知られる小林節さんが言っていることの受け売りですが、わが国の違憲審査制は仮定的な問題に黒白をつける制度ではなく、目の前の具体的事件の解決が使命です。集団的自衛権はこの事件の争点でないばかりか当時わが国が集団的自衛権を行使できるなどと主張する人は自民党にさえいなかった。それを最高裁が先回りして憲法上可能というお墨付きを与えたというのでしょうか。
砂川事件のもうひとつの判旨は、安保条約のような高度に政治的な問題については基本的に司法審査をしないというものです。最高裁が安全保障問題には口出ししないと言った判決が集団的自衛権容認の根拠になるとはおよそありえない話です。
一番理解できないのは、砂川事件判決から50年以上経った今これを持ち出してきたのはどうして? 自民党の先輩たちはこんな美味しい話に気づかないようなおバカさんだったのか、それとも気づいていたけど遠慮して言わなかったとでもいうのでしょうか?
96条先行改憲論を裏口入学と断じた小林先生は、今回の解釈改憲の動きを憲法泥棒と批判されていますが、うまいことを言う先生ですね。小林節『白熱講義! 日本国憲法改正』(ベスト新書)はなかなか面白い本です。

追記 秋になって、小林節『白熱講義! 集団的自衛権』が出ました。砂川事件判決との関連は111頁以下に詳しいです。
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