10月17日パルコ劇場で、井上靖原作「猟銃」をみた(演出:フランソワ・ジラール)。
原作は書簡体小説。中谷美紀が4役を演じる。ほぼ一人芝居と言っていいだろう。
冒頭、激しい水音と共に幕が開くと、舞台前面天井から滝のように水が落ち続けている。
奥の方に背の高い白人男性の姿が見える。猟銃を持って時々体を動かしている。
枠構造・・「私」が狩猟の雑誌に「猟銃」という詩を載せたところ、或る男から手紙が届き、
3通の手紙を送るから読んでほしい、とあった。それはその男、ハンター三杉穣介の娘
薔子(しょうこ)、妻みどり、愛人彩子(さいこ)からの手紙で、彼の13年にわたる不倫と
3人のそれぞれの思いがそれらの手紙から浮かび上がってくる。
この前段部分で水音が高いので、詩人の言葉が少し聞こえにくい。
これが初舞台だという中谷美紀がいい。素材自体がやりがいのあるものだし、本人が原作に
惚れ込んでいるのがよく分かる。3人の女を声の変化、抑揚のつけ方、しぐさなどで見事に
演じ分ける。ただ最初の薔子はセリフが速過ぎて少し不自然だ。
娘、妻、愛人と手紙が読み進まれるにつれ、事実が明らかとなってゆき、驚かされる仕組みが
よくできていて、この作品を舞台で上演したいという人々の気持ちがよく分かった。愛人彩子の
最後の静かな告白には、まったく意表を突かれた。これはただの不倫話ではない。一筋縄
ではいかない人間の想いに心打たれた。
三杉穣介役はロドリーグ・プロトーという白人男性だが、なぜ白人なのだろう。そもそも
この役が必要だろうか(セリフもないし)。中谷の完全な一人芝居でもいいのでは?
やっぱり観客の想像力(のなさ)が心配なのだろうか。
久しぶりに古い日本語を聞いた。書き言葉なので若い人には分かりづらかったのでは?
原作は書簡体小説。中谷美紀が4役を演じる。ほぼ一人芝居と言っていいだろう。
冒頭、激しい水音と共に幕が開くと、舞台前面天井から滝のように水が落ち続けている。
奥の方に背の高い白人男性の姿が見える。猟銃を持って時々体を動かしている。
枠構造・・「私」が狩猟の雑誌に「猟銃」という詩を載せたところ、或る男から手紙が届き、
3通の手紙を送るから読んでほしい、とあった。それはその男、ハンター三杉穣介の娘
薔子(しょうこ)、妻みどり、愛人彩子(さいこ)からの手紙で、彼の13年にわたる不倫と
3人のそれぞれの思いがそれらの手紙から浮かび上がってくる。
この前段部分で水音が高いので、詩人の言葉が少し聞こえにくい。
これが初舞台だという中谷美紀がいい。素材自体がやりがいのあるものだし、本人が原作に
惚れ込んでいるのがよく分かる。3人の女を声の変化、抑揚のつけ方、しぐさなどで見事に
演じ分ける。ただ最初の薔子はセリフが速過ぎて少し不自然だ。
娘、妻、愛人と手紙が読み進まれるにつれ、事実が明らかとなってゆき、驚かされる仕組みが
よくできていて、この作品を舞台で上演したいという人々の気持ちがよく分かった。愛人彩子の
最後の静かな告白には、まったく意表を突かれた。これはただの不倫話ではない。一筋縄
ではいかない人間の想いに心打たれた。
三杉穣介役はロドリーグ・プロトーという白人男性だが、なぜ白人なのだろう。そもそも
この役が必要だろうか(セリフもないし)。中谷の完全な一人芝居でもいいのでは?
やっぱり観客の想像力(のなさ)が心配なのだろうか。
久しぶりに古い日本語を聞いた。書き言葉なので若い人には分かりづらかったのでは?