11月14日新国立劇場中劇場で、泉鏡花作「天守物語」をみた(演出:白井晃)。
舞台は姫路、白鷺城。この天守閣には百年来魔界の者たちが住む。ある日、天守夫人富姫(篠井英介)の元へ亀姫(奥村佳恵)
が訪れ楽しいひと時を過ごす。そこへ城主・播磨守が鷹狩りから戻ってくる。播磨守自慢の白鷹をすっかり気に入った亀姫の
ために、富姫は飛んできた白鷹を捕らえて進呈してしまう。亀姫が帰り、富姫が一人たたずんでいると、播磨守の鷹匠・姫川
図書之助(ずしょのすけ)(平岡祐太)が現れる。この若者は白鷹を逃がしたためにあやうく切腹させられるところだったが、
誰も恐れて登ろうとしない天守に白鷹を探しに行けば命を助けると言われたのである。富姫は心がまっすぐで凛々しい図書之助
を一目で気に入り、二人は恋に落ちるが・・・。
これは妖怪と人間の恋物語である。鏡花は姫路城にまつわる伝説の妖怪たちを素材としてうっとりするような物語を紡いだ。
富姫の正体は女狐とも言われ、容姿については老婆だったり若い娘だったり作品によって様々らしい。亀姫は猪苗代城に住む
とされる妖怪で、富姫の妹という説がある由。
言葉が独特。接頭辞「お」が頻出する。「おたくましい」「お腰元衆」等々。
最後が唐突。あの老人は一体何者?
会場には高校生の団体が大勢いたが、彼らは果たしてどの位鏡花の言葉が理解できただろうか・・あっそうか、ちゃんと
事前に予習してきてるのか。
富姫が白鷹を捕えて亀姫に進呈するシーンで、ただ屏風数枚に描かれた白鷹の絵が出てくるだけでは何のことやら
とらえどころがない。ここはもっとはっきりさせてほしい。
盲目となり互いをまさぐり合う二人。何ともロマンチックなシーンだ。
生首だの、それをペロペロなめる「長舌ばあ」だの気味の悪い要素も。
音楽(三宅純)は適切。時に慎み深く分をわきまえて神秘感と異世界のムードを醸し出し、時に戦いのリズムを刻んで快い。
亀姫役の奥村佳恵は愛らしく、しかも同時に化け物らしくて怖い。主役富姫役の篠井英介はいつもながら素晴らしいセリフ回し。
鏡花独特の美的世界に浸れました。
舞台は姫路、白鷺城。この天守閣には百年来魔界の者たちが住む。ある日、天守夫人富姫(篠井英介)の元へ亀姫(奥村佳恵)
が訪れ楽しいひと時を過ごす。そこへ城主・播磨守が鷹狩りから戻ってくる。播磨守自慢の白鷹をすっかり気に入った亀姫の
ために、富姫は飛んできた白鷹を捕らえて進呈してしまう。亀姫が帰り、富姫が一人たたずんでいると、播磨守の鷹匠・姫川
図書之助(ずしょのすけ)(平岡祐太)が現れる。この若者は白鷹を逃がしたためにあやうく切腹させられるところだったが、
誰も恐れて登ろうとしない天守に白鷹を探しに行けば命を助けると言われたのである。富姫は心がまっすぐで凛々しい図書之助
を一目で気に入り、二人は恋に落ちるが・・・。
これは妖怪と人間の恋物語である。鏡花は姫路城にまつわる伝説の妖怪たちを素材としてうっとりするような物語を紡いだ。
富姫の正体は女狐とも言われ、容姿については老婆だったり若い娘だったり作品によって様々らしい。亀姫は猪苗代城に住む
とされる妖怪で、富姫の妹という説がある由。
言葉が独特。接頭辞「お」が頻出する。「おたくましい」「お腰元衆」等々。
最後が唐突。あの老人は一体何者?
会場には高校生の団体が大勢いたが、彼らは果たしてどの位鏡花の言葉が理解できただろうか・・あっそうか、ちゃんと
事前に予習してきてるのか。
富姫が白鷹を捕えて亀姫に進呈するシーンで、ただ屏風数枚に描かれた白鷹の絵が出てくるだけでは何のことやら
とらえどころがない。ここはもっとはっきりさせてほしい。
盲目となり互いをまさぐり合う二人。何ともロマンチックなシーンだ。
生首だの、それをペロペロなめる「長舌ばあ」だの気味の悪い要素も。
音楽(三宅純)は適切。時に慎み深く分をわきまえて神秘感と異世界のムードを醸し出し、時に戦いのリズムを刻んで快い。
亀姫役の奥村佳恵は愛らしく、しかも同時に化け物らしくて怖い。主役富姫役の篠井英介はいつもながら素晴らしいセリフ回し。
鏡花独特の美的世界に浸れました。