ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

オペラ「エロディアード」

2012-08-08 22:12:30 | オペラ
6月23日新国立劇場中劇場で、マスネ作曲のオペラ「エロディアード」をみた(原作:フロベール、演出:八木清市)。

日本初演。全4幕。休憩を含めると3時間以上の大作。フランス語上演。

生母を探しているサロメは王への贈り物として宮殿へ連れて来られている。彼女は占星術師に砂漠で知り合った預言者
ジャンへの想いを告げ、彼を探しにいく。サロメの姿を求めて落胆するエロデ王に、王妃エロディアードは侮辱したジャン
の首を切れと迫る。探し出したジャンにサロメは愛を告白するが、拒絶される。王はサロメへの欲望を夢見る。
一方エロディアードは占星術師に恋敵サロメと自分の星を占ってもらうと、彼女はあなたの娘だと告げられ半狂乱で否定する。
ジャンは民衆を洗脳した罪で捕まり、サロメの愛する男が彼であると知った王は処刑を命じる。投獄されたジャンは一緒に
死にたいと願うサロメに愛していると告げる・・・。

同じく聖書に題材をとっているが、オスカー・ワイルドの「サロメ」とはえらい違いだ。
まず第一に、ジョン(ヨカナーン)がサロメの愛に応えて彼女を愛するようになる!エロデもエロディアードもみな純愛。
ただそれぞれの愛のベクトルが違うので、もつれ合い絡み合って悲劇に至る。
次に、サロメがエロディアードの娘であることが途中で占星術師によって明らかにされるまで、二人共それを知らない。
それまで王妃は娘を恋敵としてひたすら憎む。
そしてとどめ・・・サロメは「恋人」ジャンの処刑を知って自害する!

マスネの曲が、アリアの終わるたびに止まって(途切れて)拍手を要求するようにできているので、そこでいちいち拍手が
起こるのが苛立たしい。

演出については、全幕を通じて、人々が客席に向かって突っ立っていることが多く、平板で変化に乏しい。

フランスものだから当然なのだろうが、王と王妃の前で、女性ダンサーたちが何度も様々な踊りを披露する。
愛し合うサロメとジャンが引き裂かれるというクライマックスの直後にまでバレエが挿入され、しかもその長いこと!
もうこの後にはラストの破局の場しか残ってないのだし、こっちはそれが気になって仕方がない。早く見たいのに、昔の
フランス人はこんな時ものんびりとバレエを楽しんでいたらしい(今も?)。
この時思い出した。以前「ドン・キショット」をみた時も、やはりもうちょっとで終わるという時になってバレエが始まり、
しかも延々と続いたのだった・・。フランス人って何だかインド人に似ている?

サロメ役の鈴木慶江は美しく可憐な乙女を好演。フランス語の発音は微妙。
預言者ジャン役の人は高音がかすれる。
エロディアード役の福田玲子は声量がすごい。仏語の発音はさっぱり分からない。以前「ブリーカー街の聖女」で主役を
歌った人だと思うが、あの時も英語の発音がまるで分らなかった。

牢獄でのサロメとジャンの愛の二重唱は素敵だったがあまりにも短い。

二日間だけの公演で、しかもダブルキャスト、つまりこの日の歌手はこの日だけのために初めての曲とフランス語の歌詞を
勉強し、消化(マスター)したわけだ。そしてひょっとしたらもう二度とこの曲を歌うことはないかも・・?
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする