ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

井上ひさし作「シャンハイムーン」

2018-04-12 22:10:11 | 芝居
3月9日世田谷パブリックシアターで、井上ひさし作「シャンハイムーン」を見た(演出:栗山民也)。

1934年、上海。思想弾圧で国民政府に追われていた魯迅(野村萬斎)と、第2夫人・許広平(広末凉子)や、彼らをかくまった日本人たち
との一ヶ月間の交流を描く。魯迅には北京に住む正妻の朱安がいたが、上海で教え子の広平と同居を始める。魯迅は人物誤認症という奇妙な
病気にかかり、広平を朱安と間違えたまま、心の内を赤裸々に広平に懺悔する・・・。

2010年に丹野郁弓演出、村井國夫主演で見たことあり。

冒頭、出演者全員が中央の机の回りに座り、魯迅の本を順に朗読する。
内容はエッセイのようだ。彼は手紙を書くのが大好きで、日に3通は書く由。好きなものは、秋に取れる、卵を一杯抱いたメスの上海蟹。そして月。
「先生のことを芝居にしたいが、中国語と日本語をどう使ったらいいか」という日本人からの相談に対して「日本人が演出し、日本人俳優たちが
演じ、日本人の観客が見るのなら、全部日本語でおやりになればいい」と答えた由。

ここで魯迅以外が退場し、両サイドから古書店らしい大きな書棚がせり出して来る。細部までリアルで美しい(美術:二村周作)。
古書店を営む内山夫妻、医師、そして歯科医の4人の日本人は魯迅文学のファン。いくつもの病気に蝕まれている彼を心配して世話をしようとする。
だが彼は大の医者嫌いなので、皆で彼を騙してまでも、病気や虫歯を治療しようと悪戦苦闘する・・・。

ダラダラと長い。テンポが遅くてイラつく。音楽(合唱)がないだけましか。
役者たちはしょっちゅう声を上げて笑ったり、感動して涙ぐんだり絶句したりするが、客席は滅多に笑えない。
こんな芝居があっていいのか。

北京で義母と暮らしている正妻と、愛人である広平との和解という心温まる要素はあるが。
魯迅の最期の日々を支え、看取ったのは数人の日本人だった、という手紙の言葉で結ばれる。

相変わらずの作者の説教癖にうんざり、辟易。
役者は野村萬斎、広末凉子の他、辻萬長、鷲尾真知子、山崎一、土屋佑壱と、みな達者な人々。
歯科医役をやった土屋佑壱という人は初めて見たが、好演。今回、唯一の収穫か。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする