令和4年9月21日(水)
螻蛄鳴く : おけら鳴く
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螻蛄(けら)はバッタ目ケラ科の昆虫。 全身は褐色で金色
に近い、短い毛がビロードのように密生する。
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オケラは3cm位の弑さな泥のような色をした、コオロギに
似た昆虫で、泥溝などを這いずり廻って土砂を掘ったりする。
夜になるとジーッと沈んだ重い声でなく。(音を出している)
オケラの雌も幽かに音をだす。
季語に「蚯蚓」ミミズ鳴く(秋)があるが、蚯蚓は鳴かない。
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螻蛄の前胸は卵形に膨れ硬化した前肢は幅広く、脛節に突起
が在り、この前肢で土を書分け土中を掘り進む。
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草原や田畑の土中に巣穴を掘り、その中で棲む。水を含んだ
湿地に多く見られる。水分が足りなくなると一晩で死ぬと
いわれている。
螻蛄は雑食性で、植物の種子や他の昆虫、ミミズ等を捕食。
天敵は、鳥類(殊にムクドリの好物)、イタチ、狸、もぐら
蛙等と多く居る。
前肢は短く発音器を持っている。
昼は地中に潜み、夜になると地中から出て飛び火取虫ともな
る活発な昆虫である。
「おけら」は良くないイメージを持つ。「オケラになった」
とよく使われるが、このオケラは、無一文のことをいう。
俳人の富安風声さんの句集に、螻蛄の句と自評がある。
わが縋る一縷の芸や螻蛄鳴く 富安 風声
(わがかけるいちろうのげいやおけらなく)
【螻蛄という虫、飛ぶ、泳ぐ、走る、土を掘る、木に登る、
一応何でも出来るが、下手なことを「螻蛄の芸」という。
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(オケラはスーパー昆虫である)
この句はそれを踏まえた句。
「わが縋る一縷の芸」とは、言うまでもなく俳句の道。
結局自分にはこれしかないという思い詰めた気持ちなのだ
が、「螻蛄鳴く」という俳諧味る季題によって、深刻な
感じは消されている。むしろ自嘲気味の道化が感じられる。
世に有用な事業に携わる人々からすれば、俳人はは世に無
用の徒であると虚子は言った。実社会を動かすことのない
たった17音のちっぽけな俳句。
然し自分はこの「一縷の芸」に縋っていてこそ、存在の意
味があるような気がする。
それをこんな形でおどけて言ってみた。】(昭和45年作)
螻蛄は何でもできる天才的な昆虫だが、自分(風声)には
これ(俳句)しかないと、卑下しお道化て見せた句。
大俳人の富安風声でさえ、この様に謙虚、、?
私のような凡人が何おかいわんや、、絶句イヤ拙句、、
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