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花の詩「土筆(つくし)」

2014年04月28日 10時10分43秒 | 古都逍遥「奈良篇」
 花言葉は「向上心」「意外」「驚き」「努力」

 「くれなゐの 梅ちるなべに 故郷(ふるさと)に 
    つくしつみにし 春し思ほゆ」(正岡子規)

 東北に住んでいたとき、春の訪れが待ち遠しく思う気持ちが強いということを初めて知った。
 九州で生まれ育った私には数か月もの間、鼠色の厚い雲に覆われ、来る日も来る日も降りしきる雪、そして絶え間なく積る雪の雪かきをしなければならない、冬の暮らしの厳しさを体感した。
 そして弥生の半ば過ぎ、凍りついた雪をスコップでかき出したとき、雪の下に埋もれていた雑草の緑がまぶしく目に差し込む。春、春が来た。春をこれほど感動的に感じたことがなかった、と思った。
 梅が咲き、根雪が溶け、野草の中にまじって土筆が芽をだし、袴をつけてすくと青空に伸びていく。そんな風景は不思議と故郷と結びつく。

 「土筆」は木賊(とくさ)科の仲間で、学名を「杉菜(すぎな)」という。
 呼び名の由来を調べてみると、ラテン語の「馬」と「刺毛」に源を発し、輪生するスギナの細い枝の形を馬のしっぽに喩えたとある。そして土から出てきた胞子茎は、伸びきる前は先端まで「袴」に覆われ、その形状が「筆」に似ていることから「土筆」という字を当てられるようになったそうだ。また一説では、「澪標(みおつくし)」(船が港へ入る通路を示した杭)のつくし」で、突き立った杭のように見えるからともある。

 春の七草は、冬場の栄養不足を補うために「七草粥」にして食する習慣があるが、私は七草より土筆料理の方が好きだった。袴を取って茹でて灰汁を抜き、「玉子とじ」「茶碗蒸し」「吸い物」などにして味じあう。また、「天ぷら」は水洗いして、よく水を切ってから衣を付けて油で揚げるとよい。
 生薬栄養茎の全草を乾燥させたものは生薬名を問荊(もんけい)といい利尿作用がある。生薬としてのスギナの効用は古くから伝承されていたが、近年、花粉症対策としての効能があるとも聞く。

[俳句]
「まゝごとの 飯もおさいも つくしかな」(星野立子)
「つくつくし ここらに寺の 跡もあり」(千代女)
「古草に うす日たゆたふ つくしかな」(芥川竜之介)
 
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