昨年度、隣組長をやっていた。
春と秋に清掃があって、地区の2大行事になっている。
清掃を指揮するのは衛生区長。
昨年、その衛生区長といろいろあった。
俺は「清掃の日程を決めるのが遅い」とか、「急に呼び出されても行けない」なんて、文句ばかり言っていて、
少し険悪な雰囲気になった。
仕事の帰り、スポーツジムによってサウナに入り、座って隣の人を見たらその衛生区長。
「うわぁ」と思ったが、席を移動するのも気まずい。
衛生区長は俺を見て、ぼそぼそっとつぶやいた。
「この間の議長は上手かったね。歴代の議長の中で最高だった。惚れ惚れして聞いていた。」
俺:「・・・・」
衛生区長は俺より一枚上手(うわて)であった。
半月ほど前に地区の総会があって、議長を頼まれて、柄にもなく引き受けたのだった。
その時のことを褒めてくれたんだから、うれしくないはずはない。
席を移動しようなんて思った俺は、まだまだ器が小さいのであった。