シンザンの騎手―天才ジョッキー栗田勝の生涯 | |
小山美千代 著 | |
光人社 |
あまりに面白かったので一気に読んだ。
シンザンは50年前に史上二頭目に三冠となった馬である。
人懐っこく、レースでは騎手の思うままに動いてくれ、「なたの切れ味」と呼ばれた。そして19戦15勝(2着4回)というほぼ完ぺきな成績で引退した。
シンザンは普段ボーッとしているので、当初、厩舎関係者の評価は高くなかったが、早くから素質を見抜いたのが主戦の栗田勝騎手である。
天才騎手と言えば今なら武豊、それ以前となると福永洋一(祐一の父)になるが、その前はこの栗田騎手である。
レース展開の見極めが完璧で、レース前に「このレースの走破タイムは〇分〇秒で勝ち馬は△△」と言って、ほぼその通りになったと名物アナウンサーの杉本さんが言っていた。
この本では、京都の名門、武田文吾厩舎での下積み生活、師の愛娘との結婚、そして命を削ることとなった飲酒など、栄光の裏側に隠されたエピソードがたくさん書かれている。
栗田騎手は旅行好き、鉄道好き、酒好き、読書好きで子煩悩。奥さんとも生涯仲が良かった。
師に対しては言いたいことを言うやんちゃぶり。
愛すべき人だなぁと思う。
さて今週末、日曜競馬のメインは「シンザン記念」。
カシノヒカルの血統表の5代前にシンザンの名前を見つけた。
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