晴耕雨読、山

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胃液も逆流する『ステーキを下町で』

2013年07月17日 | 読書

<日本縦断、北から南まで 胃袋のおもむくままに 食探訪>とカバー裏にあるが、映像のように臨場感あふれる書きっぷりに思わず生唾ごくりだ。薄っぺらなテレビの旅番組・グルメ番組も形無しだろう。最初は我が故郷の帯広「ぱんちょう」の豚丼からだが、降り立った街の景色や空気、店内の様子、豚丼の歴史まで熱く語られ、いよいよのご対面。<丼のふたの下からぐるり、とろっと光沢にまみれた厚い豚ロース肉が満開の花びらみたいにはみでて…>ふたを取ったらどんなことになるのか動悸がする、という筆者の心拍が伝わってくるようだ。こんな調子でタイトルや弘前の「いかメンチ」、赤羽の大衆酒場、根室のサンマ、そして東京駅のエキナカなど40余りの店(飲食街)を巡って食し、飲むのだ。育むその土地と沖縄の「てぃーあんだ」のように心を込めてつくる人への畏敬の念が込められている。どれも訪ねてみたいが、あの連ドラ「あまちゃん」のモデルとも思える三陸鉄道の「うに弁当」は全線復旧の来春として、手始めに「餃子の王将」だろうか。