朝日新聞に連載されていた「CM天気図」やテレビでの飄々とした風貌から発せられる辛口コメントなど、同感することが多かった。この書も<計画的廃品化のうらおもて>など<60年間、広告という窓から世の中をのぞいていきた>著者の眼差しは厳しい。電球の寿命の上限の設定、破れやすくするストッキングなど“欲望の商品化”のさまざまなエピソードから、生活大国への大いなる疑問へと続く。矛先は現政権に対して、<3・11以前の日本を再生>や<憲法をいじったり原発の再稼働をはかったりするヒマがあったら>新しい日本の国づくりに取り組んでほしい、と求める。そして広告マンらしく、<夢の現実化のためのアイデア>や<実現のために集まった人びとの運動を支援>など、“広告の可能性”を提言として書き遺したのだ。