埼玉県民活動センターの講座『中世の文学空間―鬼と山伏を巡って―』の第3期が始まった。「鬼」「仏」の前2期は、続いて起きた身の回りの死にテーマが重なる回もあり、感情移入を堰き止めるのに苦労することがあった。それは、今シリーズが概論という位置付けながら<言葉の出てくる必然性>を分かりやすく解き明かす川上講師の講義手法によるものだろう。最終期の初回であらためて<中世という時代>と<中世の文学>を頭に刻み込む。この400年間の交通・交易の広域化と職能民の流動化など経済の変化が、文化とともに神仏の時代を形成。加えて「謡曲」(台本)が説話・物語・和歌を集大成したものであり、演劇化したものが「能」であるということ。そして<山伏の姿が出て来ない>その訳や思索より技術重視の修行者集団の活動など、多くの知識に引き込まれた2時間だった。山好きには興味深い話も多く、今期は肩の力を抜いて受講しよう。
これだけの書物に触れられる