晴耕雨読、山

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何かを見つけられそう『お探し物は図書室まで』

2021年07月01日 | 読書

人生の踊り場で足が止まり、考え悩む年齢の異なる男女。とある街中の図書室で手にした本で次のステップに進む、そんな5人のショートストーリー集である。ここの司書さんは一風変わっている。求めに応じた本のリストアップとともに、全く関係の無い一冊を提示する。それは例えば、パソコンの指南書とともに絵本とか、娘の絵本に加えて占いの本など。さらに、その本の付録として渡してくれる羊毛フェルトの小さなプレゼント。雑談の中で心うちを探り、それにピタッと合わせたかのような本と付録。その本をそれぞれの主人公とともに読み進めるうちに感情移入、心暖かくなってくる。舞台となる図書室のスタッフや出て来る登場人物も皆、善い人ばかり。世の中、そううまくはいかないとは思うが、こうしたメルヘンのような世界があってもよい。仕事や生き方など人生の何かに行き詰ったとき。今のコロナ社会もそうだが息苦しさを覚えるとき、ホッとできる一冊。近くの図書館に足を向ければ何かを見つけられるに違いない。例え、変わった司書さんが待っていたり、声をかけてくれる人の好いスタッフが待っていなくとも。