雑誌のインタビューでの発言や連載コラムなどをまとめたこの書の内容はタイトルどおり、警察・検察含めた国家権力やメディアへの斬りこみ鋭く、痛快でもある。特に第一部「不寛容の空気に抗(あらが)う」では今、まさに国会審議されている集団的自衛権の行使容認を<海外で自衛隊が直接武力行使するということです。海外で人を殺し、殺されることにお墨付きを与える。(中略)憲法改正で九条を削除したのと同じぐらいの意味を持つことになります>と指摘。第二部「いま、この国の深層に蠢(うごめ)くもの」も含め、繰り返し指摘しているNHK人事について<「政府が右と言っているものを左とはいえない」などというトップは、受信料の不払い運動を起こしてでも辞めさせないといけない>と言い、経営委員2氏についても<「特異な歴史観」を披露>や<時代錯誤的な趣旨の駄文を発表>など<高度な責任と自制>に欠けると手厳しい。しかし、焦燥感募らせる著者は「あとがき」で本書を「敗北の記録」とも。現在進行形の為政者の思惑が社会の大勢なのか、ひとり一人が向き合わねばならない。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます