■2020-08-13;大荷場
隆くんの初盆で、松明を焚きに大荷場にでかけた。
彼岸からの初帰省に、新仏が迷わぬようにと
組の者が初盆の家の門で、百八つの松明を焚くのが
昔からの慣わしだ。
龍泉寺の和尚が到着し、松明に火を配った。
俄に巻き出した風は、りゅうくんの労いの挨拶か。
『山に遊びに行くか』
クリを取り、柿を取り、木を揺すりヤマモモを拾った。
イチゴ取りやわらび摘みは、女の子の役だった。
『今日は川で遊ぶか』
ハヨをすき、アメを釣り、ウナギも搔き出した。
この辺りの山川は、悪ガキたちのテリトリーだった。
竹馬も作った。最初は30㎝ぐらいで遊ぶのだが、
上級生になると競争で高いのを作り、
終いには二メートル近いのを作り乗った。
竹馬の友の初盆は、悲しさより懐かしさが勝る。
南無釈迦牟尼佛 南無釈迦牟尼佛 ・・・
和尚の読経に続いて、
皆で唱えたお念仏と共に、松明も燃え尽き、
訪れた静寂に
カナ・カナ・カナ・カナ・・・
ヒグラシの声が山里に帳を下ろす。