『オペラの怪人』は1925年に製作された、サイレント映画の傑作であり、ホラー映画の傑作でもあります。監督にルパート・ジュリアン、主演に
ロン・チェイニー(狼男役で有名な、ロン・チェイニー・Jrは彼の息子)を迎え、一躍彼をスターの地位に押し上げました。物語自体が、優れていたのは
言うまでもありません。後に何度もリメイクをされ続け、最近でもミュージカル映画として大ヒットを果たしました。そのオリジナルとなったのが、この作品です。
今回は「岡谷まち歩き古本市」の特別企画として行われました。 弁士ハルキさんは『岡谷スカラ座』で3回目となります。
2回目の「チャップリン」が行けなかった(涙)置いといて・・・
ここで見られる『オペラ座の怪人』には当然、音はありません。しかし、それを上回っている映像表現の豊かさがあります。光と陰の使い方は、むしろ現代
の映像作品に欠けているのでは?とさえ思えます。サイレント映画には映画の本質が詰まっています。勿論サイレントなのですがそこを『弁士』のハルキ
さんと音楽を 新垣 隆さんが補っているのですが・・・前回も感心しましたが今回は更に感動物でした。新垣さんのピアノ演奏は本当に元々入っていた?
と、思えるほど違和感なく映画に馴染んでいました。
見所としては、劇場でのオペラのシーン、そして同じ劇場で、シャンデリアが客席に落ちる場面があり、2004年度版でもこのシーンは挿入されています。
オリジナル版の落下シーンもなかなかの迫力があり、サイレントにもかかわらず、落下前のギシギシする音、落下後のガラスが砕け散る音、観客の逃げ
惑う音が聞こえるようです。そして、さらに優れている映像描写は、陰の使い方ですした。怪人をそのまま見せるのではなく、殺される者を、狙いを定めて
忍び寄るシーンでは陰だけでサスペンスと恐怖を表現しています。更に、地下水道のシーンがあります。怪人がクリスティーナ(メアリー・フィルビン)を
地下の隠れ家に誘拐する時に使うゴンドラ、そして地下水道の造形の美しさと、揺れる水面から映える光の反射が壁に映る、なんとも言えない柔らかさ
には目を見張ります。水の匂い、閉所での音の反射、僅かながら差し込む光が作り出す人物とゴンドラの陰は、映画ファンにはたまらないものだと思い
ます。
今回は弁士「ハルキ」さんが最後にオペラを歌っていただきました!!本当に素晴らしかった こちをスタンディングオベーションするべきだったなと・・
又、機会があれば是非にも観たい無声映画。。。。私以上にハマっているのが我が女房です。。。。 (弁士・ハルキさんがお気に入りのようです)
ちなみに『オペラの怪人』と書いてありますが間違いでは無いですよ~ 日本で最初に上映される際この様に和訳され『座』は抜けていたそうです。