享保15年、藩の不正を告発した瓜生新兵衛(岡田准一)は、追放の憂き目に遭う。藩を追われた後、最愛の妻
篠(麻生久美子)は病魔に侵され、死を前に最後の願いを夫に託す。それは、かつては新兵衛の友人で良きライバル
でもあり、篠を奪い合った恋敵でもあった榊原采女(西島秀俊)を助けてほしいというものだった。
『永遠の0』などの岡田准一が主演を務め、カメラマンのみならず『劔岳 点の記』で監督もこなした木村大作氏と
組んだ時代劇です。 期待しない訳はありません
藩の不正を暴くというのは多くの作品に多く見られますが、本作はそこに男女の三角関係を絡ませたところが新しい!
また、死期間近の麻生久美子演ずる妻の願いを叶えようとするということから物語は始動するのですが、先ず女性の
言葉ありきであり、言って見れば女性主導の物語となって居るのですが、時代劇でこのような構成のものは今までに
あったでしょうか?しかも主人公は妻が本当に自分を愛していたのかと、うじうじ悩んだりする!
本作には女性への敬意が通底しているように思われ、時代劇でありながら女性の登場人物が皆生き生きしています。
冒頭5分見て最初に良いな~と思ったのは挿入されている音楽でした。音楽担当の加古 隆氏はテレビ番組のメイン
テーマや映画音楽で数多くの印象的なメロディを生み出していますが今回の音楽も実に情景にマッチしてい。メました。
(中学生時代は映画音楽にはまって居ました)インテーマは抒情的かつ美しいメロディで、聴くたびに引き込まれる。
映像ですが、木村大作監督はカメラマン出身だけあって、映像が本当に素晴らしい!日本の、溜息が出るような美しい
風景がいくつもあったし、麻生に岡田が身を寄せるシーンなども構図が斬新でした。
キャスティングも特に女優陣の麻生久美子、黒木華、富司純子を選べた段階で、成功は約束されていたも同然です。
四季折々の風景の美しさ。お城や神社、木造建築のたたずまい。質素ながらも家族や藩を大事に暮らしているさま。
悪事に逆らうもかなわぬ思いを内に秘め一見静かな面持ちながらも、実は強烈なさま。三歩さがって男を立てる、女性の美。
どれもこれも日本人なら心に染み入る、わびさびとも言えるもの。
私たちが先祖から受け継いだ伝統を、こんなにも見せてもらえて木村大作監督に感謝です
静寂の中にも強い想いが溢れている作品でした ☆☆☆☆