ヒゲジイのアル中よもやま話

断酒を始めて早7年目。このブログは回復プロセスの記録と脳のリハビリを兼ねて綴っています。やはり、まだチョット変ですかネ?

飲酒当時の不自由 断酒後の不自由(下)

2016-06-24 18:06:17 | PAWS
 断酒を始めてから困ったことといえば、睡眠障害(頻回の中途覚醒)、記憶障害(想起障害を含む)、情動障害(ドライドランク)、心理的ストレス感受性の変化、思考プロセス障害といった症状だと思っています。いずれもアルコールの急性離脱後症候群(Post Acute Withdrawal Syndrome:PAWS)の症状です。

 断酒直後から始まった睡眠障害は断酒10ヵ月後までに解消されました。この睡眠障害を除き、いずれの症状も断酒3ヵ月後ぐらいから上の順に現れてきました。これらの中で、心理的ストレス感受性の変化などは、会話中に何か神経に触ることがあった場合に気付かされますが、そんなキッカケがない限り自覚することはなく、不自由など感じずに過ごせています。もしもあった場合は、“一息ついて 一歩引いて” です。

 断酒歴2年8ヵ月の今でも、日常的に不自由を覚えるのは記憶障害に含まれる想起障害と、思考プロセス障害です。

 記憶障害とは、物覚えが悪く、直近のことでも直ぐ忘れてしまう短期記憶の障害と、意図した目当ての言葉がなかなか頭に浮かんで来ない想起障害の二つからなります。短期記憶の方は大分改善し、最近はあまり苦にならなくなりました。

 その一方で想起障害の方は、まだまだ酷い状態のままです。言葉のイメージが喉まで出掛ってはいても、言葉として出て来ないので、もどかしいったらありません。それが随分時間が経ってから、歩いているときなどに、その言葉がポッと浮かび上がって来るのです。すぐに書きとめておかないと再び忘れてしまいます。記憶障害があれば大きな判断ミスを起しそうですが、今年の “十日戎” で味わった一風変わった奇妙な体験以外、今のところ心当たりなく過ごせています。

 思考プロセス障害とは、早い話、(体験談のような)まとまった話をしようとすると、なかなか考えがまとまらないことに尽きると考えています。話すにしろ、書くにしろ、いざ構えると言葉や文案が散り散りバラバラに頭の中を飛び交い、まとまりがつかないばかりか諄(くど)くもなります。論旨の展開にも相当難義しています。本筋から大きく逸れても、多くは気付きません。論理が混乱し、“てにをは” の類の助詞の使い方さえ分からなくなることもしょっちゅうです。

 こんな状態ですから、早々に疲れてボーッとしてしまい、集中力が長続きしません。パソコンが固まるように思考停止となってしまいます。意図した言葉そのものが出て来ない、あるいは複数の候補は出て来るものの、最適な言葉がなかなか頭に浮かんで来ないことが原因の一つのようです。ですから、思考プロセス障害は、根底に想起障害があってのことと考えています。

 以上のことは、これまで幾度かこのブログで記事にしてきました。詳細は文末の記事リストから参照していただくことにし、ここでは私が採っている対処の方法を述べてみようと思います。どうやってこれらの障害と折り合い、凌ごうとしているかです。

 まず、想起障害への対処の方法についてです。

 メモに書き残す
 いの一番に採るべき手立ては、「メモを残す」に尽きます。何しろ時や場所を選ばず、不意に言葉が浮かんで来ます。歩いていたなら、立ち止まってでも手帳に書きとめておかないと忘れてしまいます。メモ用紙がなかったら、レシートの裏でも、駅や役所の申し込み用紙でも何でもいいのです。とにかく浮かんで来た言葉や文案を書きとめます。断片的でも構いません。後で十分思い起こさせてくれます。

 体験談の場に身を置く
 私は、自助会AAのミーティングから帰るやいなや、直ぐにテーマや話題を思い返しては、自分なりに考えをまとめて書き残すようにしています。ミーティングの場で想ったことをさらに敷衍し、自分の考えを補足・修正するのです。体験談の場では切実な言葉が語られます。そのような場に身を置くことは記憶機能を刺激します。メンバーの体験談を聴いていると、記憶の奥から蘇る言葉があり、貴重な “気付き” も得られます。体験談の場に身を置くことは、想起障害の手当てとして打って付けだと考えています。

 次いで、思考プロセス障害への対処の方法についてです。

 思考プロセス障害のリハビリには文章を書くことしかないと考えています。そのため、ほぼ毎日頭を捻ってはキーボードを叩き、ブログの原稿作成に励んでいます。書いたものなら、変な箇所は眼で見てはっきり分かります。書きながらでも、読み返してみては、違和感がなくなるよう、何度も何度も修正を繰り返しています。なかなかうまくいきませんが、他に妙案はなさそうなのです。だから、ひたすら励むだけです。

 その際、ボーッとして考えに行き詰まり始めたら、そこで直ぐに切り上げ、できれば睡眠をとることにしています。ボーッとしてきたら、脳が疲れて思考停止となる兆しと考えています。無理して続けても徒労に終わるだけです。睡眠をとった後は不思議なくらい捗ります。

 その他、私が日常的に実践していることは、最短でも4 km以上の距離を毎日歩くことです。路上のゴミ拾いを兼ねていますが、血糖値の管理によいというばかりでなく、社会貢献ができているという意識で気分が充実し、精神衛生上も欠かすことができません。

 一般的に以下のことが脳の記憶機能に好影響を及ぼすと知られています。体験談を聴くことも、文章作成や毎日の歩きも、これらにピッタリ当てはまっています。
 ○ 手や耳などの器官を刺激して記憶したものは長く保持されやすい
 ○ 軽い運動は脳の血流をよくして記憶を司る海馬の脳細胞を増やす
 ○ 歩くことは前頭葉の働きを活発にしてくれる


***********************************************************************************
 読者の中には、断酒後の不自由と聞いて、飲酒欲求やドライドランク、“空白の時間” を期待した方もおられたことと思います。

 今しがた見たばっかりの変な夢を思い出し、どうやら潜在的な飲酒欲求が深層心理にあるようだと思わせられたことはありました。が、病的な飲酒欲求に見舞われたことはありません。

 一方、飲酒欲求を誘うのがドライドランクや “空白の時間” です。

 ドライドランク、特にハイテンションになった場合は、その場で自覚することはまずありません。それが過ぎた後で、「危なかったぁ!」と胸をなで下ろすぐらいのものです。一度でも自覚できれば分かりますから、即座にこれは変(?)と気付けるまで、ひたすら用心するしかありません。

 “空白の時間” は厄介ですが、うまく逸らすには、一日単位・一週単位で生活リズムを規則正しく刻むこと、これに尽きると考えています。専門クリニックの充実した教育カリキュラムの組み方と、休日にも生活リズムを乱さないよう心掛けたお蔭で、どうにか “空白の時間” を逸らすことが出来ています。ありがたいことです。


主に想起障害と思考プロセス障害について述べた記事をリストしてみました。こちらもご参照ください。

 「アルコールPAWS(急性離脱後症候群) ― 断酒してボケが始まった?」(2015.8.28)
  この記事ではPAWSを概観し、想起障害と思考プロセス障害の事例を紹介しています。

 「あなたは “脳組”? それとも “肝組”? (下)」(2016.01.01)
  この記事では、記憶障害と価値判断にまつわるエピソードを紹介しています。

 「“物忘れ” ― 単なる健忘? それとも認知症?」(2016.01.29)
  この記事では、“病識のない”認知症と記憶障害の違いについて述べています。

 「再びアルコールPAWS(急性離脱後症候群)について(上)」(2016.2.12)
  この記事では、私が経験したPAWSの各症状を概観しています。

 「再びアルコールPAWS(急性離脱後症候群)について(中)」(2016.2.19)
  この記事では、“心理的ストレス感受性の変化”と思われるエピソードを紹介しています。

 「再びアルコールPAWS(急性離脱後症候群)について(下)」(2016.2.26)
  この記事では、“十日戎”での一風変わった奇妙なエピソードを紹介しています。

 「アルコールPAWSの一つ “思考プロセス障害” の軛(くびき)」(2016.5.20)
  

ランキングに参加中。是非、下をクリックして順位アップに応援お願いします!
クリックしますと、その日の順位が表示されます。
にほんブログ村 メンタルヘルスブログ
    ↓    ↓
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする