ヒゲジイのアル中よもやま話

断酒を始めて早7年目。このブログは回復プロセスの記録と脳のリハビリを兼ねて綴っています。やはり、まだチョット変ですかネ?

“自立は、依存先を増やすこと 希望は、絶望を分かち合うこと”

2019-10-11 05:53:27 | 自助会
 以前、『アル症の回復には複数の依存先を』(2019.5.31投稿)という記事をブログに掲載したことがあります。産経新聞だったか、新聞のコラムに触発されて書いた記事でしたが、該当する記事も著者もわからずじまいでした。

 それが、ひょんなことから著者がわかりました。熊谷晋一郎氏という東京大学先端科学技術研究センター准教授で、小児科医でもある方です。熊谷氏は、『当事者研究』という研究領域に携わる研究者であり、自身も脳性麻痺の当事者だそうです。

 因みに『当事者研究』とは、障害や病気の当事者が、グループで経験を分かち合いながら自身の困りごとを探求することで問題を解決していこうとする試みのことだそうです。

 ところで、アルコール依存症(アル症)者の回復には、グループで集まって自身の体験を語り合うことが最も有効と言われています。

 そのアル症者の自助グループAAは1935年に設立されたコミュニティー(共同体)ですが、ミーティング・ハンドブックの序文にはこうあります。

「アルコホーリクス・アノニマス(AA)は、経験と力と希望を分かち合って共通する問題を解決し、ほかの人たちもアルコホリズムから回復するよう手助けしたいという共同体である。」

 これはまさしく上記『当事者研究』の概念そのものです。熊谷氏は、自身の障害を克服して自立する道を探求した結果、AAの設立理念とほぼ同じ結論に至ったようです。あるいは最も古く設立されたAAの理念に即発されての結論だったのかもしれません。

 なぜ障害者が自助グループとして集まることが大切か、その自助グループがいかに障害者の回復・自立に有効か、今回は熊谷氏の口演をまとめた記事からそのエッセンスを引用してご紹介します。

 ● 健常者はさまざまなものに依存できていて、障害者は限られたものにしか依存できていない。依存先を増やして、一つひとつへの依存度を浅くすると、何にも依存してないかのように錯覚できます。“健常者である”(=“自立”)というのはまさにそういうことなのです。
 ● おもらしをするという “絶望” が、誰かと分かち合うことで “希望” に変わったんです。
 ● トラウマというのは、自分の経験に意味をつけられていない時に起こるもの。似たような経験をした当事者同士で経験を分かち合えば、自分や相手にとって1回きりの経験でも、2回になります。「あなたもそうか」、と自分の経験に当てはめることが、1回性の出来事に意味をつけて、物語にしていく。
 ● 「わたし」という存在は、わたしがたった一人で考え続けてもいっこうにその正体が見えてこない。「あなた」という他者と隣り合い、お互いの共通点や違いを見出すことを通して、はじめて「わたし」の輪郭が浮かび上がってくる。
 ● 理想と現実のギャップをそのままにして、仲間と言葉で埋めるんです。言い換えれば、「愚痴を言う」。そうした時間を重ねるなかで、次第に回復の糸口が見えてくる。
 ● そうした困難の渦中にいる人と支援者が1対1で近づき過ぎると、薬物に代わる新たな共依存を再生産しかねない。比較的似た経験をした「当事者」同士が(グループで)集まることの価値はそこにある。
 ● 「回復とは、回復し続けること」少しずつ回復していくプロセス自体が回復。

 詳細については次の2つの記事をご参照ください。物書きのプロがまとめた記事ですから、とてもわかりやすい内容になっています。
自立は、依存先を増やすこと 希望は、絶望を分かち合うこと
絶望だって、分かち合えば希望に変わる。熊谷晋一郎さんが語る「わたしとあなた」の回復の物語



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