ヒゲジイのアル中よもやま話

断酒を始めて早7年目。このブログは回復プロセスの記録と脳のリハビリを兼ねて綴っています。やはり、まだチョット変ですかネ?

アルコール急性離脱後症候群(PAWS) ―― 断酒してボケが始まった?

2015-08-28 19:27:27 | PAWS
 断酒を始めて1年10ヵ月が経ち、憑きモノとも言うべき妄想から脱却できて、一過性に襲って来る情動不安定からも解放されて1年経った現在、平常心のままで過ごす毎日を送っています。

 そんな今、日常生活で何が悩ましいかと問われれば、迷わず記憶機能の劣化、特に言葉の想起能力の低化と答えることにしています。モノ忘れの酷さと中々言葉を思い出せない辛さのことです。アルコールが残した毒性の残滓なのか、あるいは加齢が原因なのか、その両者が原因とも考えられるので一層切なくて悩ましいのです。

 専門クリニックの教育プログラムで、断酒を継続中の今の時期にみられる症状として、急性離脱後症候群(Post Acute Withdrawal Syndrome:PAWS)というものがあることを知りました。症候群という名称どおり病状は以下のように多岐にわたるようです。

【急性離脱後症候群】
 症状は、断酒開始後3~6ヵ月目で最も強くなり、6ヵ月~2年で回復する。

 ○思考プロセス障害(脳の働きにムラがある;頑なで諄(くど)い思考、
  因果関係を理解できない)
 ○情動障害(情動の揺れ)
 ○記憶障害(短期記憶の障害)
 ○睡眠障害
 ○身体的協働性に問題
 ○ストレス感受性に変化


 今の私に最も顕著に当て嵌まるのが、3番目の “記憶障害” と1番目の “思考プロセス障害” だと思います。この順番は、私が自覚し始めた順番です。

 断酒を始めて3ヵ月後ぐらいから顕著に自覚し始めたのがモノ忘れの激しさ、つまり “記憶障害” でした。日常生活で自覚するようになった事例を順に挙げると、以下のようになります。掲げた順番は、先に挙げた事例が改善してあまり気にならなくなってから、新たに次の事例がはっきり自覚されるようになったという順番です。


1)名前を告げられても、その端から失念し覚えられない。
2)すぐにメモしようとしても、メモする内容を失念し思い出せない。
3)つい今し方決めたことでも、その場から眼が離れた途端に失念し、
  無意識に習慣的な別の行動に移ってしまう。
4)人前で発表中に、続けて話そうとした次の話題を失念し話が飛ぶ。


 いずれにも共通しているのが短期記憶の障害という点です。この内、1)と2)については、今は大分改善して気にならなくなっています。3)と4)については現在進行形の悩みです。ただし、4)は習慣的飲酒が始まる以前から、大勢の前で発言する緊張のためによくあったことでもあり、アルコール問題とはあまり関係ないのかもしれません。

 私が特に注意すべきと考えているのは3)です。3)はその場から一時的でも(視線が)離れた時にいつでも起こりうることで、無意識に習慣的な別の行動に移っていることが多々あります。無意識に習慣的な別の行動に移ることを私は自動行動と呼ぶことにしていますが、自動行動には危険を伴うことも多々あります。たとえば、別件に気を取られて少しの間ガス・コンロを離れた隙に、ヤカンを掛けていることを忘れてしまい、ヤカンを空焚きしたことがありました。しかも、性懲りもなしに同じことを何回も経験しています。幸い熱センサー付きのガス・コンロだったので事なきを得ましたが、その度に肝を冷やしました。“ガス・コンロでヤカン空焚き” 事件以外にも、次のようなことが始終あります。


 ○自販機でつり銭に気を取られて商品を取り忘れ
 ○受診後、他のことに気を取られて医療費支払(会計)をせずそのまま帰宅
 ○ヴェランダで喫煙する時、喫煙終了後にアルミサッシ戸を開け放つのを
  失念

 火を使う場合などには、意識が途切れないようにその場に付きっ切りでないと危なくて仕方ありません。断酒経験の結構長い人でも無意識のうちに再飲酒していた話などは、長年の飲酒習慣が身体に染みついた自動行動そのものとも見えるので、この短期記憶の障害によるものかもしれません。

 専門クリニックの院長はあまり心配しなくてもよいと言います。これらの記憶障害は飲酒時代にもあったことで、アルコールの作用で隠されていて気付かなかっただけで、断酒したことで顕在化したのだと言うのです。回復するのか聞きそびれてしまいましたが、そこそこ回復するものの、結構長引くのではないかと勝手に解釈しています。

 実は、今最も悩ましく感じているのは “思考プロセス障害” です。“思考プロセス障害” の特徴は、頑なで諄(くど)い思考や、因果関係を理解できないことにあるそうです。いずれもこのブログを記述する作業でしばしば痛感させられているところです。“話しことば” を使う会話でなら、障害を強く自覚することはなかったと思いますが、“書きことば” を使うブログならではの悩みだと考えています。会話では、目当ての言葉が出て来なくても、チョット変(!?)ぐらいで済ませられますが、書いたものは後から読み返すことが出来るので、異常だと分かるのです。

 頭の中で考えている時は “話しことば” を使います。考えを “書きことば” に変換するには、“書きことば” 特有のルールに合わせる必要があります。“書きことば” には、漢語的表現を優先使用するとか、修飾語の順序や読点の打ち方などに特有のルールがあり、会話とは異なる別の思考回路が必要です。この思考回路の変換にもアルコールが障害を残しているとも考えられます。そんな大袈裟なものではなく、単なる注意力散漫のせいなのかもしれませんが・・・

 実のところ、“思考プロセス障害” には記憶障害の一部、“想起障害” が間違いなく絡んでいると考えています。“想起障害” とは目当ての言葉を思い出すのに時間がかかることを言います。いわば、旧式 “蛍光灯” 状態のことです。“意気投合” などはありきたりの四文字熟語ですが、意味が分かっていながら目当てのこの熟語が思い浮かばず、もどかしい思いのまま2~3日苦しんだこともありました。

 記述しているときに、“思考プロセス障害” によると思われる次のような事例がよくあります。


 ○目当ての言葉とは別の、(意味が)近似な言葉だけがランダム(無秩序)
  に複数想起
 ○慣用的な言い回しを近似な言葉の代用で表現
  (例:当然の帰結→当然の結末)
 ○的確な言葉が思い浮かばないので近似な表現の繰り返しで代用
 ○翻訳調のぎくしゃくしたぎごちない表現(諄い言い回し)
 ○直近に使用した(近似な)言葉に引き摺られ、不自然な表現や論理から
  ズレた論旨展開
 ○不自然な助詞の使い方
 ○“書きことば” 特有のルールから外れた記述(失念からか?)


 “書きことば” 特有の思考回路が鈍くなっていることに加え、“想起障害” も絡んでいるので、回復過程にある私には二重に高いハードルが設定されているようなものです。私は “思考プロセス障害” のことを、上記のように理解しています。実例を見ないことには、お分かりいただけないと思います。次回は、過去の投稿文から “思考プロセス障害” によると思われる実例をお見せする予定です。


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