システム的種概念(承前)
■ 種概念を定義すること
要は、話が逆なのである。有性生物体においては、生物体の両性ともに同一の種に属する(=或る一つの同じシステムからそれらが産出される)から、交配すれば子生物体ができるのであって、交配可能だからとか、隔離されているという事態でもって種を『定義する』ということは、話があべこべなのである。個々の生物体を分類するための判定基準を与えることではなく、種的性質から結果する事態(の一部)を指示するのではなく、「~とは何か」に必要かつ十分に答えることが、定義するということである(マーナ・ブーンゲ『生物哲学の基礎』も参照せよ)。
■ 発生制御
一方、或る種タクソンを自然界の存在状態に沿って(つまり自然分類を与えるように)定義することは、現段階ではまだ不可能である。そのためには、発生制御が分子レベルで明らかになる必要がある。急速に研究は進んでいる。しかし、生物分類の旧来的仕事もまた必要である。というのは、たとえば形態的形質を記載し、種差を解明することは、発生学者ではないからである。観測された生物体の個体変異が種差に相当するかどうかの基準が、発生上の制御メカニズムが解明されたら、自動的に種的差異が出てくるかどうか、それは不明である(したがって経験的に試験するのだ)。発生システムが成立することと、種の規定の成立とは別個の事態である。たとえば種が出現するとき(或る種システムが創発し、そのシステムが作動して少なくとも1個体の生物体が産出されるとき)、〔何を言おうとしていたのか、思い出したら書き継ぐことにする……〕
繰り返せば、親生物体も子生物体も種システムそのものの一部ではない。
■ 形相因・質料因・作動因
生物体が一つの種システムによって(「種システムから産出される」とすると、その種システムは素材(質料)も内部に用意しているように受け取れるので、「によって」と用心深く言わなければならない。もとより、卵という存在形態で、発生初期から生物体は素材も用意されている。しかし概して、親生物体内部に備えるシステムによって子生物体が産出されることは決して無い。一つは、原則的にたとえば核酸や蛋白質の素材は生物体外部から取り込まれるからである。
もう一つは、すべての制御は生物体において行なわれているのか、という問題である。たとえば、蛋白体が或る立体構造を取ることは、細胞内の条件によって一意的に決まるとしても、腕の形態までが説明できるかという問題である。これは体節構造であるとか、発生初期の分化よりも少なくとも一つ下位の制御の問題である。というより、体節構造を持つ身体の形態はいかにして決まるのか、という問題である。〔不勉強なので展開はここまでにする。〕
■ 種概念を定義すること
要は、話が逆なのである。有性生物体においては、生物体の両性ともに同一の種に属する(=或る一つの同じシステムからそれらが産出される)から、交配すれば子生物体ができるのであって、交配可能だからとか、隔離されているという事態でもって種を『定義する』ということは、話があべこべなのである。個々の生物体を分類するための判定基準を与えることではなく、種的性質から結果する事態(の一部)を指示するのではなく、「~とは何か」に必要かつ十分に答えることが、定義するということである(マーナ・ブーンゲ『生物哲学の基礎』も参照せよ)。
■ 発生制御
一方、或る種タクソンを自然界の存在状態に沿って(つまり自然分類を与えるように)定義することは、現段階ではまだ不可能である。そのためには、発生制御が分子レベルで明らかになる必要がある。急速に研究は進んでいる。しかし、生物分類の旧来的仕事もまた必要である。というのは、たとえば形態的形質を記載し、種差を解明することは、発生学者ではないからである。観測された生物体の個体変異が種差に相当するかどうかの基準が、発生上の制御メカニズムが解明されたら、自動的に種的差異が出てくるかどうか、それは不明である(したがって経験的に試験するのだ)。発生システムが成立することと、種の規定の成立とは別個の事態である。たとえば種が出現するとき(或る種システムが創発し、そのシステムが作動して少なくとも1個体の生物体が産出されるとき)、〔何を言おうとしていたのか、思い出したら書き継ぐことにする……〕
繰り返せば、親生物体も子生物体も種システムそのものの一部ではない。
■ 形相因・質料因・作動因
生物体が一つの種システムによって(「種システムから産出される」とすると、その種システムは素材(質料)も内部に用意しているように受け取れるので、「によって」と用心深く言わなければならない。もとより、卵という存在形態で、発生初期から生物体は素材も用意されている。しかし概して、親生物体内部に備えるシステムによって子生物体が産出されることは決して無い。一つは、原則的にたとえば核酸や蛋白質の素材は生物体外部から取り込まれるからである。
もう一つは、すべての制御は生物体において行なわれているのか、という問題である。たとえば、蛋白体が或る立体構造を取ることは、細胞内の条件によって一意的に決まるとしても、腕の形態までが説明できるかという問題である。これは体節構造であるとか、発生初期の分化よりも少なくとも一つ下位の制御の問題である。というより、体節構造を持つ身体の形態はいかにして決まるのか、という問題である。〔不勉強なので展開はここまでにする。〕