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《生命/生物、生活》を、システム的かつ体系的に、分析し総合し統合する。射程域:哲学、美術音楽詩、政治経済社会、秘教

福島原発事故112:小出裕章氏の発言の非公式まとめ

2011年05月02日 23時58分57秒 | 生命生物生活哲学
2011年5月2日-8
福島原発事故112:小出裕章氏の発言の非公式まとめ場所


 2011年5月2日(月)のMBS(毎日放送)ラジオのたね蒔きジャーナルに出演した、小出裕章氏の論評を文章にした、非公式のまとめが下記にある。

http://hiroakikoide.wordpress.com/

 内閣官房参与を辞任した小佐古教授は、小出氏の喧嘩相手で、

  「浜岡原発についての静岡県のアドバイザーとして、浜岡原発は絶対安全だと言ってきた人。」

とある。
 しかし、今回の辞任時の発言については、大変まともであり評価するとのこと。

  「以前ならこのようなことを言う人ではなかったから、意外。でも今回の発言は正しいと思う。彼を支持したい。」

 原子力安全委員会について、

  「・(原子力安全委員会は学校の件で助言をするにあたって議事録も作らず2時間で持ち回りで済ませたそうが、そういう体質なのか?)昔からそうだった。これまで私がたたかってきた裁判等で明らかになったのは、彼らが自主的な審査をせずに結論を出しているということ。これが初めてではない。」

 水棺について、

  「・(水棺に向けて注水量を増やしたがうまくいっていないようだが?)予想通り。本当に水棺ができるのならいいが、それを行うことで格納容器の破損の可能性が増えるし、もともと漏洩しているからそもそも無理ということもあるし、空気層が減ることで水素爆発の可能性も高まる。

   ・(格納容器を満たすだけの量の水を注いでいるのになぜ水位が上がらないのか理由が分からないと東電は言っているが?)それは簡単で、漏れているということしかありえない。何日か経ったら認めると思う。」


福島原発事故111:住民の放射線被曝線量

2011年05月02日 01時32分37秒 | 生命生物生活哲学
2011年5月2日-3
福島原発事故111:住民の放射線被曝線量


 小佐古敏荘氏による、2011年4月29日付けの「内閣官房参与の辞任にあたって(辞意表明)」という文書が、下記に掲載されている。
http://www9.nhk.or.jp/kabun-blog/200/80519.html


  「1.原子力災害の対策は「法と正義」に則ってやっていただきたい
   〔略〕
    例えば、住民の放射線被ばく線量(既に被ばくしたもの、これから被曝すると予測されるもの)は、緊急時迅速放射能予測ネットワークシステム(SPEEDI)によりなされるべきものでありますが、それが法令等に定められている手順どおりに運用されていない。
   〔略〕
   文部科学省所管の日本原子力研究開発機構によるWSPEEDIシステム(数10kmから数1000kmの広域をカバーできるシステム)のデータを隠さず開示し、福島県、茨城県、栃木県、群馬県のみならず、関東、東北全域の、公衆の甲状腺等価線量、並びに実効線量を隠さず国民に開示すべきである。

 
   2.「国際常識とヒューマニズム」に則ってやっていただきたい

   年間20mSv近い被ばくをする人は、約8万4千人の原子力発電所の放射線業務従事者でも、極めて少ないのです。この数値を乳児、幼児、小学生に求めることは、学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズムからしても受け入れがたいものです。年間10mSvの数値も、ウラン鉱山の残土処分場の中の覆土上でも中々見ることのできない数値で(せいぜい年間数mSvです)、この数値の使用は慎重であるべきであります。

   小学校等の校庭の利用基準に対して、この年間20mSvの数値の使用には強く抗議するとともに、再度の見直しを求めます。〔略〕」
http://www9.nhk.or.jp/kabun-blog/200/80519.html


 いずれも当然のことである。政府は、国民の健康軽視と情報隠蔽という態度のようである。




福島原発事故110:数値シミュレーションと実地試験

2011年05月02日 01時22分07秒 | 生命生物生活哲学
2011年5月2日-2
福島原発事故110:数値シミュレーションと実地試験


 東京電力の「原子力 > おたずねに答えてQ&A」の一つに、津波についての質問に答えている文章がある。

  「津波に対して発電所は大丈夫ですか?

   原子力発電所の津波評価においては、「安全設計審査指針」,「原子力発電所の津波評価技術(土木学会)」の考えに基づき、敷地周辺で過去に発生した津波はもとより、過去最大の津波を上回る、地震学的に想定される最大級の津波を数値シミュレーション解析により評価し、重要施設の安全性を確認しています。
   具体的には、数値シミュレーション解析により求まった津波の最高水位に満潮時の水位を加えた水位においても、重要な施設の運転に支障のないこと、また、津波の最低水位から干潮時の水位を差し引いた水位においても原子炉の冷却に支障のないことを確認しています。」
http://www.tepco.co.jp/nu/qa/qa08-j.html

 
 土木学会が採用した地震学的想定は、間違いだったということか? あるいは、「数値シミュレーション解析」という手法がインチキなのか?
 ここでの確認は机上の確認、つまり頭での想像による確認ということだろう。
 確認は実際に(実験で)やってもらいたい。むろん、自然による試験 testによって、原子炉の冷却に支障があったわけだ。


福島原発事故109:世界最高水準の原子力技術でも、空に地に海に放射性物体は撒き散らされた

2011年05月02日 00時11分52秒 | 生命生物生活哲学
2011年5月2日-1
福島原発事故109:世界最高水準の原子力技術でも、空に地に海に放射性物体は撒き散らされた

 本の帯(または腰巻き)に、

  「CO2排出量は石炭火力のわずか2.5%。
   地球温暖化を防ぐ、唯一の切り札!」

とある、豊田有恒『日本の原発技術が世界を変える』から引用する。

  「日本の原子力技術が、世界最高の水準にあることは、周知徹底されているとは言いがたい現状である。〔略〕
   日本の原発の非常停止は、運転7000時間あたりわずかに0・07回という、世界で最も少ない数値を示している。〔略〕
   なぜ、日本の原発が、これほど安全で慎重に運転されているかといえば、世界各国の追随を許さない高い技術があるからである。しかしながら、こうした事実が世間に知らされていないため、いまだに原子力は、誤解と偏見にさらされている。かつてのように、原発が明日にでも爆発するかのような、ありえない危険を煽りたてる報道は、さすがに影を潜めるようになったが、それでも、原子力に関する報道が、公平正大に行なわれているとは思えない。」(豊田有恒 2010: 3-4頁)。

 世界最高水準の原子力技術で安全かつ慎重に運転されていても、(原子炉内部で発生した水素で)爆発するときは爆発するということらしい。


  「原子力は、巨大産業である。〔略〕特に、最近の温暖化の流れのなかで、各国がゼロエミッション(炭酸ガスの放出ゼロ)を目指す時代、発電の際に炭酸ガスを出さない原子力は、大いに期待されている。〔略〕安全な原子力を、日本が輸出することは、世界に貢献する道なのである。」(豊田有恒 2010: 5頁)。

 「発電の際」だけは、二酸化酸素は出さないらしい。代わりに「微量」の毒物を出したり、ときには大量の放射性廃棄物を出す(これまででチェルノブイリの(1割程度ではなく)半分程度、今後は3倍ほどになるかもしれないと考える人もいる[要文献])。二酸化炭素排出よりも、それ自体が毒物である放射性物体を大量生産してしまうことが問題である。このことだけで、核分裂型の原子炉は運転するべきでないし、作るべきではない。

 広瀬隆氏に触れたところがある。

  「当時、某電力の重役で、のちに参議院議員になる加納時男氏にお目にかかった際、H・T氏と対談したことを、お話しした記憶がある。加納氏は、H・T氏の強烈なカリスマ性に脅威を感じて、「週刊プレイボーイ」の誌上で対決した。〔略〕結局、さしものH・T氏も、専門家の該博な知識の前に、ぐうの音も出なかったらしい。
 H・T氏の著書は読んでいるので、ぼくも感じたのだが、反対という結論が既定の事実としてあり、センセーショナルに煽りたてて、強引な結論に持っていこうとしているため、杜撰なところが少なくない。」((豊田有恒 2010: 49頁)。

 原発は安全だという結論が既定のものとしてあると、そういうふうに考える人にとっては「想定外」の事故が起きるのであろう。
 世界最高水準の原子力技術でも、空に地に海に放射性物体は撒き散らされた。閉じ込めなければならない危険な物体を作り出すような科学技術で電力を得ようとするのは、お粗末かつ杜撰な設計思想である。

 なお、加納時男氏について、ウィキペディアに、

  「東京電力福島第一原発事故の数日後、運営していた全てのホームページ閉鎖。現在行方不明。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8A%A0%E7%B4%8D%E6%99%82%E7%94%B7

とある。

 
 ところで、この本の初版第一刷は、
  2010年12月10日
であり、初版第二刷は、
  2011年4月25日
である。福島第一原発で事故が起きてから、第二刷を決めたのであろうか?

 
[T]
豊田有恒.2010.12.日本の原発技術が世界を変える.祥伝社[祥伝社新書225].