67camper's Blog

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マッコイ・タイナーのピアノ

2007-11-09 07:03:48 | jazz & vocal
Reaching Force/McCoy Tyner
(Impulse IMP-88083 jp.reissue)


 ジャズをきき始めた70年代ピアノシーンを考えて見ると,進歩的なジャズ喫茶ではハービー・ハンコック,マッコイ・タイナー,キース・ジャレット,チック・コリアの4人の作品が次から次へとターンテーブルに載ったものです。電気サウンド,シンセサイザー,ソロピアノ,バイブとのデュオ、オーケストレイションいずれも意表をつく新作ばかりでいささか食傷気味だった。中にはキースのケルンコンサートのように座っている間にリクエストによって何度もきかされるアルバムもありましたが、どれもこれも席を立つきっかけになるものばかりだったようなきがします。マッコイも前衛的になったり,大編成だったりであまり面白くなかった気がします。コルトレーンカルテットでのプレイやこれ以前のジャズテットでの爽快なピアノを後で知るにつけ、彼の素晴らしさを時代に逆行する格好で好きになって行った気がします。

  特にインパルスに吹き込まれた諸作はどれも好きなのですが,モード奏法でコルトレーン色の強い演奏と顔に似合わないリリカルなピアノを聴かせてくれるトリオフォーマットの作品がいいですね。特に本日アップのリーチング・フォースこそ彼の最高傑作だと思っています。メンバーはヘンリー・グライムスのベースとロイ・ヘインズからなるトリオです。A-1のタイトル曲はコルトレーン色の強い演奏,続くGoodbyeのバラードプレイとの対比が素晴らしい。特にこのGoodbyeはマッコイのテイタム風なリリカルなピアニスティックな魅力に溢れた名演と思います。B面のブルース"Blues Back"はマッコイのオリジナルで彼のコンポーザーとしての実力も見えますし、音量豊かなグライムスのベースソロがまた良いですね。他のスタンダード,“Old Devil Moon"や”Have Yo Met Miss Jones"と言った選曲の趣味の良さもポイントが高いですね。ロイの多彩なスネアやブラシも聴きモノですよ。

 所有盤は当然の国内盤ですが,最もマッコイらしいと個人的に感じているアルバムですね。