原発反対かつ電気料金値上げ反対!?

2012-05-07 13:23:50 | 雑感
原発の問題でちょいと気になる点がある。

原発を停止し火力発電でまかなう場合,化石燃料を大量に使うことになるので,温暖化の問題にどう対応するかと言う問題が出てくる。皮肉な話だが,元々原発は火力発電に比べ「クリーン」エネルギーだったわけである。放射能汚染の危険性の代わりに二酸化炭素の増加等の環境問題が再燃する。

更に化石燃料に頼る場合,2,3兆円以上の原料調達コストが上乗せされる。最近,日本人の悪いところが出ているなと感じるのは,「原発反対,でも電気料金上げるのは許さない」という身勝手な意見が目立つことである。確かに東電はド派手にしくじっったが,あくまでもそれは原発の安全性に関する責任問題であって,だから電気代も安いまま,という事にならないはずである。調達コストがかかる以上値上げは不可避である。それでも値上げは許さない,というのであれば,税金で補うと言うのか?電力を使う以上,その分の費用は計上される。「電気は使う,値段は安く」というのは東電が悪いとかいう問題とは別である。しかも節電等の「つつましい生活」はやはり嫌だ,というのでは話にならない。

電力供給量が減れば,当然経済は停滞するし生活水準は下がるのは避けられない。関西圏の低迷だけで年間を通じたGDPの大きな下げ要因になってくる。「生活レベルは今までどおり=電気は使う=でも東電が全部悪いから値上げは許さない=当然原発も駄目」,なんて無理な話である。どこか我慢しなければならないということが分かっていないような気がしてならない。東電の責任問題とは別の話である。

今の日本は,東電を全てのスケープゴートにしてしまえば良い,という底意地の悪さが露呈しているように思う。東電の体質は確かに酷いと思うが,一方で,電力調達を見事にやってのけているのも事実である。真夏以上に厳しいと言われていた今冬も乗り切り,今度の夏も計画停電無しで乗り切ろうとしているのは,東電管轄内の関東圏である。今エライ騒ぎになっているのは関電管轄の関西である。

原発の是非は,原発問題だけ切り出して単独で判断すべきことではない。経済水準,生活水準にも直接影響する問題である。正に国民的議論が必要なわけだが,肝心の政府が1年経っても何の道筋案すら出せない体たらくであるから仕方ない。政治家が原発問題・電力問題は,全て東電のせいにすればよし,で1年来てしまったツケがいま出てきている。

それから,原発の稼動を停止させても,すぐ無害な施設になるわけではない。今津波が来たらどっちにしろえらい事になる。いずれ施設をどうするかと言う問題も出てくる。莫大な費用と長い時間ががかかる問題である。

何せセンスティブな問題であり,何かと誤解されやすいテーマについて書いて見ましたが,東電を擁護するとか原発賛成とかいう話ではないので,きちんと文意を汲み取っていただければと(笑)

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