「酒に陶然と酔いつつ心境の天真を楽しむ」
書を始めるきっかけは人それぞれ。
私はたまたま中川一政氏の「裸の字」展を観て、こんな風にまっすぐに心に届く
書が書きたい!と思ったから。
母に相談すると、私の性格も考慮し、母とは書風も会派も縁遠い、けれどご縁を
頂けたので、前衛書家の第一人者であるI先生の下を訪ねた。
I先生に於かれては、全くの素人は願ご遠慮というのが本当の所だったと思う。
なぜか父に付き添われ、ご自宅の書斎に通されてしばし禅問答のような会話。
「あなたは薬が欲しいのか、それとも処方箋が欲しいのか」
脳天気で怖いもの知らずだった私は、即答した。
「処方箋でいいです」 それに対して大家のI先生は
「はい、わかりました」 と子供を諭すように笑顔でおっしゃった。
「いいです」はないだろう・・って、随分あとになって冷や汗をかいた覚えがある。
けれどその後も世間知らずの私は、雲の上の存在のI先生を何故かライバルと
勘違いして、思うままの作品をあれこれ書いて「見て見て・・どう?」とばかりに
ウキウキしながらお教室に通っていた。
私の人生は、I先生に巡り会えたことで、大きく変わった。
会派の中であるいは師と同じ書風を求める世界にいたら、
私は今頃、書をやめていたと思う。
けれど私ごときの未熟者に対しても、書への情熱と常に新しいものへの探究心を
隠さず惜しまず示して下さったI先生の、どこまでも純粋で天真なお心、
そして愛情の深さのお蔭と、深く深く感謝の日々です。
一生かかっても先生の足元にも及ばないけれど、書への情熱、天真な心だけは
忘れずに、書を通して一人でも多くの方と、関わっていけたらと思っています。
書を始めるきっかけは人それぞれ。
私はたまたま中川一政氏の「裸の字」展を観て、こんな風にまっすぐに心に届く
書が書きたい!と思ったから。
母に相談すると、私の性格も考慮し、母とは書風も会派も縁遠い、けれどご縁を
頂けたので、前衛書家の第一人者であるI先生の下を訪ねた。
I先生に於かれては、全くの素人は願ご遠慮というのが本当の所だったと思う。
なぜか父に付き添われ、ご自宅の書斎に通されてしばし禅問答のような会話。
「あなたは薬が欲しいのか、それとも処方箋が欲しいのか」
脳天気で怖いもの知らずだった私は、即答した。
「処方箋でいいです」 それに対して大家のI先生は
「はい、わかりました」 と子供を諭すように笑顔でおっしゃった。
「いいです」はないだろう・・って、随分あとになって冷や汗をかいた覚えがある。
けれどその後も世間知らずの私は、雲の上の存在のI先生を何故かライバルと
勘違いして、思うままの作品をあれこれ書いて「見て見て・・どう?」とばかりに
ウキウキしながらお教室に通っていた。
私の人生は、I先生に巡り会えたことで、大きく変わった。
会派の中であるいは師と同じ書風を求める世界にいたら、
私は今頃、書をやめていたと思う。
けれど私ごときの未熟者に対しても、書への情熱と常に新しいものへの探究心を
隠さず惜しまず示して下さったI先生の、どこまでも純粋で天真なお心、
そして愛情の深さのお蔭と、深く深く感謝の日々です。
一生かかっても先生の足元にも及ばないけれど、書への情熱、天真な心だけは
忘れずに、書を通して一人でも多くの方と、関わっていけたらと思っています。