昨日の「今週は東京都現代美術館(その1)」のつづきです。
常設展の他、有料の企画展が3本も同時開催だけに、観覧料が複雑。
複数の展示がセットになっていたり、割引になったりとしますので、東京都現代美術館(MOT)へお出かけの際は、あらかじめどの展示を観るのか決めていった方がよろしいと思います。
で、私が買った観覧券は常設展(単品料金:500円)、サイバーアーツジャパン展(同:1,000円)、MOT アニュアル2010展(同:1,000円)がセットになったもの。
常設展は企画展のチケットで観られますので、500円お得です。
それにしても、何とも質実剛健というか、実用一辺倒というか、遊び心のかけらもないチケットですなぁ
。
ちなみに、チケット売場の係員さんが、「レベッカ・ホルン展のチケットも半額になりますよ」と教えてくれたような気がしますけれど、私にその気がなかったため、話半分に聞いていました。もし「MOT全館制覇
」を目指す場合には、窓口でご確認くださいませ。
この日、私は3本の展覧会を観たことになりますが、5段階評価すれば、こんな感じです(★:1点、★:0.5点)。
サイバーアーツジャパン展 ★★★
常設展 ★★★
MOTアニュアル2010展 ★★★★★
この評価から察せられるように、ちと微妙だった久しぶりのMOTの見聞記を見た順に書き散らしてみましょう。
まず、「サイバーアーツジャパン-アルスエレクトロニカの30年」展。
この展覧会はチラシによりますと、
メディアアートの世界的祭典「アルスエレクトロニカ」(オーストリア・リンツ市)の30周年を記念して、日本のアート&テクノロジー、メディア芸術領域の特集展を開催します。
だそうで、エレクトロニクス技術大活躍の展覧会でした。最近の映画でのCGの多用やら、バーチャル体験的なイベントやらを冷ややかに見ている私としては、面白い作品が1/3、「まぁまぁかな」の作品が1/4、残り5/12が「ふ~ん…」と、いうことで、★★★の評価なわけです。
もう一つ、私の評価を下げているのは、展覧会につきものの「出展目録」がなかったこと。
鉛筆を借りて(展示室内で使える筆記具は鉛筆のみ)メモってくれば良かったデス。
展覧会のHPやチラシに載っている作品は良しとして、このブログで紹介しようと思っても、作者もタイトルも判らない作品がいっぱいある…
どうして「出展目録」がないんだぁ
で、地下2階の入口から左側の体育館のような吹き抜けの展示室に歩を進めると、何やら白いものが上からヒラヒラと落ちてきます。
あれは何? どこから降ってきているんだ?
この「白いもの」、葉っぱの形をした紙(葉脈もエンボッシングされています)で、両面に目が描かれています。
2枚だけ拾ってきてしまいました。
葉っぱは1種類だけだと思っていたところ、自宅でしげしげと見ると、2枚が微妙に違います。
どちらも、片面に開いた目が描かれて、反対面には閉じた目が描かれていることは一緒ですが、拾ってきた2枚に描かれた目の向きが違う!(上の写真をクリックすると、この2枚の葉っぱの裏側をご覧いただけます)
少なくとも、右目と左目の2種類あるようです。
この葉っぱが、高さ5mほどの白い円柱から吹き上げられているのでした。床に大量に散らばっている「落ち葉」を、円柱の側面に開けられたスリットから入れると、それが円柱の最上部から吹き上げられて、ヒラヒラと舞い落ちるという仕組み。
これは面白い作品でした。が、作者もタイトルも判りません…。
これまた作者・タイトルとも不明ながら、非常に興味を惹かれたのが、トラス構造体がグニョグニョと動いている作品。
トラス構造体というのは、下の写真(大阪・万博記念公園にある「お祭り広場の大屋根」)のように、三角形を組み合わせた構造体です。
本来ならばがちっと固定されているはずのトラス構造体が、直径2cmほどのアルミのパイプと黒い筒で構成された骨組みだけの物体が、意思を持っているかのように、グニョグニョと動くのですよ。
説明によりますと、物音を関知すると、空気圧を利用した「人工筋肉」(黒い筒の中?)が作動して、構造体全体が動いているのだとか。
他には、児玉幸子さんの磁性流体(磁石に反応する液体)を使った「Morpho Tower」とか、クリスタ・ソムラー&ロラン・ミニョノーの「Life Writer」は楽しい作品でした。
「Life Writer」は上の動画で見て判るかどうか…。
旧式のタイプライターで文字を打つと、虫が現れてその文字を食べてしまって、その虫が増殖するというもの。実は、紙に文字を打っているかのように見せかけて、真上から紙に画像を映写しているのですよ。
これは旧式の手動タイプライターだから面白い。仮に電動タイプライターだったら興ざめだし、ましてPCのキーボードだったりしたら、まるでつまらない…。
このように、気に入った作品もあったものの、総じて低調な展覧会だった気がします。
アトラクションとしては標準以上のモノばかりなのでしょうけれど、あのすべてを芸術と呼ぶのはどうかと思ったりして…。
思いつきや奇をてらうことも「個性」のひとつですが、どこまで突き詰めて考えて、丹精込めて作品を仕上げていったのか、はなはだ疑問に思う作品が多かったと感じています。
メデイアアートはまだ歴史の浅いジャンルですので、今後どれだけ化けるか楽しみではあります。
あ"、書き忘れた 明和電機の展示、ケースのガラスにホコリが目立っていました。ちゃんと掃除してるのかな
つづき:2010/02/09 今週は東京都現代美術館(その3)