きのうの記事「今週は東京都現代美術館(その2)」のつづきです。
5段階評価で★★★(2.5点)と、かなりテンション低めの常設展「MOTコレクション」の感想をば…。
現在、MOTコレクションは3部構成になっていて、順路に沿って並べますと、
1a) アメリカの絵画 1950s
2) 特集展示「岡﨑乾二郎」
1b) アメリカの絵画 1960s
3) クロニクル 1945, 1951,1957
といった具合。1)と2)が1Fの常設展示室、3)が3Fの常設展示室での展示でした。
別に、展示点数が多ければ良いわけではありませんが、1) アメリカの絵画1950s・1960sは、展示が非常に少なかった…。
特に1950sの方は、ロスコ、デ・クーニング、ノーランド、ルイスの作品が各1点(図らずもリンク先に川村記念美術館が2点。さすがです)。
あの展示では、MOT自慢の縦横ともに巨大な壁面がもったいない…。
この記事を書いている作業中、つい1ヶ月前にノーランドさんが亡くなられたことを知りました。亡くなられてから49日(しじゅうくにち)にもなっていません。合掌…
また、1960sの方も、「出品作品リスト」では22点ということになっていますが、この中にウォーホルの「マリリン・モンロー」の連作(以前、「マドンナ発 ウォーホル経由 モンロー行き」で触れました)が10点含まれていますので、実質もっと少ないイメージです。
でも、1960sの方は許します(?)。ウォーホルの「マリリン・モンロー」、ウェッセルマンの「浴槽コラージュ #2」を見られたし、やはりなんと言っても、リキテンスタインの「ヘア・リボンの少女」を見られたのですから。
「マンガだ」「おもちゃだ」と、一部から蔑まれているポップアートですが、そんな方々には是非、実物をご覧いただきたいと思います。
特に、ウェッセルマンの「浴槽コラージュ #2」は、実物を観ずには何も語れないと思います。
何せ、この作品のパーツの大部分が実物なのですから(お嬢さんは実物ではありません)。
また、リキテンスタインの「ヘア・リボンの少女」だってそうです(と、も一回載っけちゃおう)。
目の前に、121.9cm四方のこの絵があることを想像してみてください。
絵に近づいて細部を眺め、5mくらい離れて観て、10mくらい離れて観て…。
離れて観ている時に、自分と「ヘア・リボンの少女」との間に、観客が割って入ったりなんかしたら、ますますこの絵の存在感が引き立ちます
。
かなりのめり込んで書いています。判っていただけますか?
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「アメリカの絵画」の1950sと1960sの間に割り込んでいる(MOTの意図が不明。ただスペースの都合だけか?)「特集展示『岡﨑乾二郎』」は、ピンと来なかったもので
、省略して、3Fの展示室に話題を移します。
と、その前に、常設展示室中央の大吹き抜けに展示されているエルネスト・ネトの「リキッド・フィンガー・タッチ」と、3階に向かう階段(吹き抜けをの~んびりと眺めながら3階に行けるエスカレーターがあればよかったのに)の前にあった中ハシ克シゲの「OTOMI」は良かったぁ~。
「リキッド・フィンガー・タッチ」は、ちょっとぬめぬめした液体に漬けた手を持ち上げたときに、手からしたたる液体がモチーフになっているのではないかと想像していますが、すごく有機的というか、アナログというか、自然なもの(サイバーアーツジャパン展ではほとんど無かったもの)を感じました。
ここに載せた写真(190円もしたMOTのポストカード)では判りませんが、実際は純白のしたたりとベージュのしたたりがあって、その微妙なコントラストがまた有機的で、アナログで、自然でした。
また、中ハシ克シゲさんの「OTOMI」は、解説カードから写真(モノクロ)をお借りして、、と、、
なんじゃこりゃ? とお思いでしょう。
粋な黒塀 見越しの松に…
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の「お富さん」です。って、ご存じない方も多いでしょう。
私の祖母は、三波春夫さんとか村田英雄さんとか春日八郎さんとかの歌が大好きで、幼少のみぎりにはよく聴かされました。
おかげで、私は「いきなくろべえ みこしのまぁつに…」と、その意味も判らずに歌っていた(他のレパートリーには「王将」があった)らしいです
。
それはともかくも、この「OTOMI」、金属を使って黒塀と松を再現した楽しい作品です。
私、作者の中ハシ克シゲさんは初めて聞くお名前だと思っていたのですが、家に帰ってから解説カードを見ますと、
西洋近代の彫刻概念への懐疑から出発した中ハシは、植木、鯉、和傘、力士(小錦)といった「日本的なもの」の典型をモチーフとした立体作品を制作してきた。
とあります。「力士(小錦)」って、もしかして、5年前に福岡市立美術館で観た真っ黒の彫刻、実物の1.5~2倍はあろうかというあのお相撲さんの彫刻か? う~む…です。
例によって、激しく中途半端ですが、きょうはこの辺で…。
つづき:2010/02/10 今週は東京都現代美術館(その4)