きのうの「今週は東京都現代美術館(その3)」のつづき、常設展「MOTコレクション」の後編です。
MOTコレクションは、1階と3階に別れています。もっとも、東京都現代美術館(MOT)の2階にはカフェがあるだけで、要は1階が2階分の高さを持っているということらしい。
だったら、カフェを「中2階」と表示したらよさそうなものですが…。
さて、MOTコレクションの後半は、「クロニクル1945, 1951, 1957-戦後日本美術を見直す」と題する日本の作品群でした。
HPからこの展示の意図を紹介しますと、
「クロニクル」は、今期より新たにシリーズ化される展示です。当館のコレクションは、東京府美術館(1926年開館、1943年に東京都美術館と改称)ならびに東京都美術館(新館1975年開館)から引き継いだ約3,000点をもとに形成されています。東京府(都)美術館が実に多くの展覧会場であったことから、当館の収蔵作品にはその歴史が反映されており、それゆえ戦後の日本美術をめぐる様々な問題がはらまれているといえます。
「クロニクル」シリーズは、収蔵品を主たる手がかりとして、戦後の日本美術を見直し、考え直すことを目的としています。今期は、「1945,1951, 1957」という3つの年に焦点を当て、各展示を契機として、戦後の日本美術における戦争の問題、新人作家の問題、海外の美術動向との交流の問題などについて考えていきます。
だそうです。
MOTのコレクションは、その多くが上野の東京都美術館から引き継がれたもの(その結果、東京都美術館はコレクションを持たない「貸しスペース」になったそうな)。この企画常設展(ややこしい)「クロニクル」は、東京都が昔から持っていたコレクションを紹介するものということらしい。
「クロニクル」を観て思ったのは、現代美術(コンテンポラリー・アート)をコレクションすることって難しいな、ということでした。発表から十数年経って、見る眼が落ち着いてから購入したものならともかくも、まだ絵の具が乾いていないような状態で購入された作品が、十数年後も輝きを維持しているというのは相当難しいことだと思います。
「クロニクル」で展示されていた約60点の作品の中に、「持って帰りたい」作品は1点もありませんでした。どこから来るのでしょうか、このつまらなさは…。時代を超えて「新しさ」を伝える力を持った作品はほとんど無かったように感じています。
「アメリカの絵画 1950s」について、「たった4点しか展示されていない」とぼやいた私でしたが、「クロニクル」の1951と1957の70点の作品を観たあとでは、「たった4点」のとてつもなく大きな存在感
をひしひしと感じましたです。
ということで、単一の美術館建築としては日本一の延べ床面積(おそらく展示容積は飛び抜けて日本一)を誇るMOTに寒々しさを覚えた私でございました。
2010/02/11 今週は東京都現代美術館(その5)